目次
『行政情報法制の現代的構造(学術選書218)』
友岡史仁(日本大学法学部教授) 著
【目 次】
は し が き
凡 例
初 出 一 覧
序─行政情報法制の現代的構造と展望
Ⅰ 行政情報法制の相関関係
Ⅱ 利活用の視点と保護法益
1 必要な価値基準と新たな保護法益
2 デジタル化問題と実際の課題
Ⅲ 情報公開争訟の多様化
1 抗告訴訟と国賠訴訟
2 現代的特質
Ⅳ 実践と新展開―デジタル化の進展と自治体事例の課題
1 デジタル化と行政手続
2 自治体事例の進展がもたらす課題
◇第1部 行政情報の公開・管理・利活用の理論―実践的展開事象◇
第1章 行政過程のデジタル化と情報公開・公文書管理法上の課題
は じ め に
Ⅰ 行政文書のデジタル化と情報公開法
1 行政過程と「組織共用性」
2 意思形成過程との整合化問題
Ⅱ デジタル化の実践に伴う課題―メール文書の組織共用性を中心に
1 メール文書の特質
2 形式的アプローチ
3 実態的アプローチ
4 当面の実践的課題
Ⅲ 行政文書管理のデジタル化と展望
1 現用文書の保存期間と紙媒体との関係
2 電子決裁と文書管理
お わ り に
第2章 オープンデータ法制の構築と課題
Ⅰ は じ め に
Ⅱ 日本におけるオープンデータ法制化の具体的経緯
1 「オープンガバメント」と「オープンデータ」
2 日本におけるオープンデータ法制化の特徴
Ⅲ データの共有財産的価値から見た課題
1 著作権の存在と個別実定法
2 日本における二次利用の仕組み
Ⅳ 既存の行政情報法制との関係
1 情報公開制度から見たオープンデータ
2 個人情報保護制度から見たオープンデータ
お わ り に
◇第2部 情報公開争訟の理論的検証◇
第3章 行政運営情報と公務員情報
は じ め に
Ⅰ 行政運営情報の多面的検討
1 不開示情報のカテゴリー
2 該当性判断の特徴(一般論)
3 批判手段の実態と課題―公金支出関連情報を素材にして
Ⅱ 公務員の職務遂行上の「個人情報」
1 問題の所在
2 開示基準の設定による場合―行政機関情報公開法における態様
3 解釈をめぐって
Ⅲ 「部分開示」制度の課題
1 制度枠組みと相手方識別情報との関係
2 「部分開示」制度の解釈問題
お わ り に
第4章 情報公開争訟における国家賠償請求事例
第1節 情報開示請求手続と国家賠償法の違法性
は じ め に
Ⅰ 事例の特徴
Ⅱ 文書廃棄の場合
1 問 題 事 例
2 検討―「情報公開請求権」の侵害からのアプローチ
Ⅲ 不作為の場合
1 問 題 事 例
2 検 討
お わ り に
第2節 不開示決定の違法性を原因とした国家賠償請求訴訟
は じ め に
Ⅰ 「国賠違法」のとらえ方(一般論)
1 違法性の理解
2 議論の実益─過失要件との関係
Ⅱ 情報公開訴訟における「国賠違法」の判断類型
1 具体的類型
2 検討の前提
Ⅲ 事例分析と比較検討
1 問題の所在
2 間接攻撃(併合請求)型および直接攻撃型の場合
3 間接攻撃(確定判決)型の場合
お わ り に
◇第3部 行政情報争訟の判例研究◇
第5章 情報公開対象論
第1節 「公文書」性(電子メールの該当性)―大阪高裁平成29年9月22日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 「公文書」該当性に係る判断基準
2 「個人的メモ」と組織共用性(一般)
3 電子メールと組織共用性
第2節 法人情報(省エネルギー法11条に基づく定期報告書)―最高裁平成23年10月14日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本判決の意義
2 ②事件判旨における行政機関情報公開法5 条2 号イの「害するおそれ」に係る審査方法について
3 本判決における判断構造の検討(①・②事件共通)
4 行政機関情報公開法5条2号但書(公益義務開示)の該当性
第3節 審議検討・事務事業情報①(監査請求の使途文書)―最高裁平成21年12月17日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 「事務事業情報」の判断基準
2 監査委員の調査権と相手方との信頼保護
3 政務調査費制度における議員の“自律性”との関係
第4節 審議検討・事務事業情報②(新司法試験考査委員会会議資料)―東京地裁平成27年10月27日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本判決の位置付け
2 審議検討協議情報(5条5号)の該当性(争点1)
3 事務事業情報(5条6号)の該当性(争点2)
第6章 開示決定・争訟手続論
第1節 文書不存在①(国立大学附属病院の会議議事録)―東京地裁平成18年10月2日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 開示請求権の性質と損害賠償請求権
2 開示請求権の侵害と国賠法上の違法性
3 被告大学および文科省の各職員の職務行為の違法性
4 損害の発生について
第2節 文書不存在②(沖縄返還「密約」文書)―東京高判平成23年9月29日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本件の意義
2 文書不存在に係る主張立証責任
3 「知る権利」との関係
4 文書不存在に係る理由提示の程度
5 文書不存在の違法性と国賠違法
第3節 部分開示①(新旧住居表示の対照表)―大阪地判平成20年7月17日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 部分開示の対象―判例の射程との関係
2 住居表示の個人情報としての該当性
第4節 部分開示(訴えの利益の消長)―東京高裁平成30年2月28日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 情報公開訴訟と「(狭義の)訴えの利益」の関係(一般)
2 本判決の検討
第5節 公益的開示(県警捜査費支払証拠書)―高松高裁平成18年9月29日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本件条例における公益上の理由による義務的開示について(一般論)
2 本件条例の当てはめ
3 特別監査結果報告書の考慮
第6節 存否応答拒否①(供応に係る支出証拠書)―東京高裁平成20年5月29日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 存否応答拒否の概念
2 理由提示の程度
第7節 存否応答拒否②(学齢簿登載通知書)―さいたま地裁平成19年4月25日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 本件における「学齢簿登載通知書」の判断
2 本件条 例における存否応答拒否の構造と判断
3 開示決定の義務付け訴訟について
第8節 期間経過(行政機関情報公開法11 条に基づく「相当の期間」の経過)―東京地裁平成19年12月26日判決
Ⅰ 事実の概要
Ⅱ 判 旨
Ⅲ 検 討
1 行政機関情報公開法11条における「相当の期間」の意味
2 本件における外務大臣による開示決定等の違法性
3 「通知」の処分性
◇第4部 行政情報における個人情報保護法制の課題―情報公開・公文書管理法制に照らして◇
第7章 情報公開・個人情報保護の基本的考え方─公文書管理制度に照らして
は じ め に
Ⅰ 情報二制度間の関係性(概略)
Ⅱ 情報公開制度の仕組み─公文書管理制度と対比しながら
1 情報公開の必要性
2 開示対象として
3 開示の仕組み
Ⅲ 個人情報保護の仕組み─制度の仕組みと公文書管理
1 個人情報が保護される必要性
2 個人情報保護制度の仕組み(概観)
3 補足―特定歴史的公文書等の保存・管理の視点から
お わ り に
第8章 地方公共団体における情報公開・個人情報保護制度に見る共通の制度課題
は じ め に
Ⅰ 数値から見える制度的諸課題
1 情報公開に関する諸課題
2 個人情報保護条例に関する諸課題
3 総 括
Ⅱ 両制度における共通課題
1 問題の所在
2 自治体と密接な関係がある場合―特別地方公共団体・公社・地方独立行政法人
3 指定管理者の場合
Ⅲ 残された共通課題―外部委託の場合
1 問題の所在
2 情報公開制度との関係
3 個人情報保護条例における課題
お わ り に
第9章 個人情報保護に係る目的外利用等をめぐる課題
は じ め に
Ⅰ 目的外利用等に関する仕組み
1 概 要
2 問 題 場 面
3 利用停止請求の意義と実態
Ⅱ 自治体固有の制度的課題―目的外利用等の範囲に係る制御方法
1 課題の設定
2 範囲拡大の制御方法
3 裁量型と第三者機関型の比較
Ⅲ 目的外利用等の関連裁判例
1 問 題 整 理
2 利用停止請求の場合
3 損害賠償請求の場合
お わ り に
第10章 自治体個人情報保護制度へのインパクト─デジタル改革関連法を視野に
は じ め に
Ⅰ データ利活用をめぐる国・自治体一元化のインパクト
1 データの利活用と自治体
2 広義のオープンデータ化の推進機能として
Ⅱ 公的部門規律との区別
1 地方公共団体の機関
2 地方独立行政法人―規律移行法人を中心に
3 補論―条例要配慮個人情報との関係
Ⅲ 自治体合議制機関との関係
1 問題の所在
2 審査会について
3 審議会について
お わ り に
◇第5部 外国法における行政情報法制―イギリスとアイルランド◇
第11章 環境情報・環境管理に関する行政情報法制
第1節 環境情報法制から見る「行政的正義」
は じ め に
Ⅰ イギリスにおける環境情報法制に係る二類型
Ⅱ イギリス固有型の環境情報法制
1 規制枠組みの変遷(概略)
2 「登録制度」
3 「汚染目録」制度
Ⅲ 国際条約・EU型の環境情報法制
1 概 要
2 FOIAと2004年EIRとの関係
3 2004年EIRの概要―実体的内容を中心に
4 「公的機関」の範囲をめぐる解釈問題
お わ り に
第2節 環境管理とデジタル化
Ⅰ は じ め に
Ⅱ 環境管理制度とデジタル化の関係
1 「登録簿」制度との関係
2 「汚染目録」制度との関係
Ⅲ 行政環境情報制度とデジタル記録管理
1 一般行政情報法制と環境情報
2 データ記録管理と利活用
Ⅳ お わ り に
第12章 公文書の管理と保存
Ⅰ はじめに―公文書管理と保存の変遷
Ⅱ 現行制度の概要
1 1958年公記録法
2 2000年情報自由法
3 1998年データ保護法
Ⅲ 現行公文書管理の仕組み
1 作成と管理
2 処分―記録の選別と廃棄
3 移 管
4 非現用文書の利用と閲覧
Ⅳ お わ り に
第13章 医療個人情報の保護と研究目的に係る利活用
は じ め に
Ⅰ 医療個人情報の利活用と本人同意
1 「コモンロー上の秘密保持義務」の意義
2 がん登録制度の立法化と一般個人情報保護法の限界
Ⅱ 医療個人情報の利活用制度に係る法的課題
1 がん登録制度における利活用の手続的問題
2 NHS内における「情報共有」と個人情報保護
お わ り に
第14章 アイルランドの情報公開制度―1997年情報自由法の検討
Ⅰ アイルランドにおける情報公開制度の沿革
1 国内における制度成立前史
2 外国法制の影響
3 1997年情報自由法成立以降
Ⅱ 1997年情報自由法の主要概念
1 アクセス権
2 公 的 機 関
3 記 録
Ⅲ 請求から決定に至る手続
1 請 求 手 続
2 決 定 手 続
3 個人情報の訂正請求
Ⅳ 除外記録とその解釈
1 種類と特徴
2 除外記録の内容と個別解釈
3 部分開示・存否応答拒否・公益的開示
Ⅴ 救 済 制 度
1 実施機関における「内部審査」
2 情報コミッショナーとその審査
Ⅵ まとめに代えて─わが国への示唆
1 概 念
2 除 外 記 録
3 救 済 手 続
事項索引
判例索引
答申例索引