目次
『刑事法学の系譜』
浅田和茂・井田 良・白取祐司・長井 圓・丸山雅夫・吉田敏雄 編集
【目 次】
はしがき
1 被害感情と責任非難〔井田 良〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 被害感情と刑罰
1 被害感情は科刑の駆動力となりうるのか
2 被害感情とその量刑における考慮
3 被害感情は死刑制度の根拠になるか
Ⅲ 責任非難と犯罪予防
1 「二元的刑罰理論」の基本的考え方
2 再 考―刑法は何のためにあるのか
3 刑法による行動制御のメカニズム
4 刑法は何を保護するのか
5 実害対応型の応報刑論から規範保護型の応報刑論へ
Ⅳ おわりに―二元的な刑罰理論を克服するために
2 責任主義の系譜〔浅田和茂〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 結果責任と責任主義
1 ローマ法からザクセンシュピーゲルまで
2 中世イタリア法学からカロリナ刑法典まで
3 カルプツォフ,ボェーマーとその後
Ⅲ 責任論と責任主義
1 帰属論から責任論へ
2 心理的責任論と責任主義
3 規範的責任論と責任主義
Ⅳ 保安処分と責任主義
1 保安処分論
2 二元主義と責任主義
Ⅴ 責任主義の現状と課題
1 結果責任の残滓
2 予防と責任
Ⅵ おわりに
3 今日における刑罰の体系と刑罰論についての覚え書き〔松宮孝明〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 今日の刑罰体系と「二元主義」
1 今日の刑罰体系
2 「二元主義」
Ⅲ 今日の刑罰論
1 「応報刑」と「目的刑」の二項対立?
2 刑罰の弊害回避としての執行猶予
3 刑罰正当化根拠としての「特別予防」の不適格性
4 執行猶予の限界を画すもの
5 刑罰正当化根拠としての威嚇・抑止的一般予防の不適格性
6 「応報の目的」
Ⅳ 「自由刑の単一化」
1 「拡大された懲役刑」
2 「国連被拘禁者処遇最低基準規則」
3 「刑罰の目的」と「処遇の目的」の分離
Ⅴ 若年受刑者に対する刑事政策
1 若年受刑者を対象とする処遇原則の明確化と処遇内容の充実
2 若年受刑者と処遇の強制
Ⅵ 展 望
4 因果的決定論の系譜―原因なき意志に未来はあるか―〔長井 圓〕
Ⅰ 序―問題の提起
1 人間の尊厳と自由な意思(意志)
2 コロナ禍と自由主義・民主主義の危機(因果律による不法抑止)
3 自由主義と意思の自由
Ⅱ 内田文昭先生の意思自由論(1977年,1999年)
1 「ささやかな意思の自由」と「やわらかな決定論」
2 「経験的自由意思論」と非決定論・決定論の止揚
Ⅲ 非決定論と決定論との対立―争点の検討
1 今日の問題状況
2 今日の論争点
Ⅳ 刑法の基礎理論との関係
1 個別行為責任論の破綻
2 性格責任論への批判
Ⅴ 決定論をめぐる系譜―哲学・科学の基礎
1 多元的世界観の意志自由論
2 B.スピノザの「神即自然」必然論(1675年)
3 形而上学から経験科学へ(啓蒙主義)
4 D.ヒュームの必然的結合論(1739年)
5 I.カントの二元的意志自由論(1787年)
6 J. S.ミルの柔らかな決定論(1847年)
7 現代の科学・哲学での決定論
Ⅵ 決定論をめぐる系譜―結びに代えて
1 西欧刑法学の継受
2 決定論を巡る論証の作法(一般論)
3 刑法学での論証の加重(具体論)
4 決定論をめぐる系譜―日本刑法学の基礎(未完)
5 規範論の系譜〔山中敬一〕
Ⅰ 刑法における行為規範と制裁規範
1 両概念の意義と近代法の原理
2 罪刑法定主義と行為規範
3 両概念の詳細な区別
Ⅱ 三段階犯罪論と構成要件論の展開
1 18世紀までの犯罪論
2 ビンディングの犯罪論
3 ベーリングの構成要件論の登場
4 構成要件論の犯罪論展開における意義
Ⅲ 現代における行為規範論と制裁規範論の展開
1 犯罪論における行為規範と制裁規範
2 宮本英脩の犯罪論と鈴木茂嗣の犯罪論体系
Ⅳ 構成要件の規範的意味
1 わが国における構成要件論の位置づけ
2 規範論の観点からの学説の分析・批判
3 構成要件と行為規範・制裁規範論の課題
4 「構成要件該当行為」と「結果および因果関係」の分離論の登場
Ⅴ 犯罪論における行為規範と制裁規範(私見)
1 犯罪論構想と構成要件
2 違法論と許容規範
3 責任論と決定規範
Ⅵ ま と め
6 構成要件論の系譜〔丸山雅夫〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 学派の対立と構成要件論
Ⅲ ドイツにおける構成要件論の展開
1 構成要件論の萌芽
2 ベーリングの構成要件論
3 M・Eマイヤーの構成要件論
4 メツガーの構成要件論とその後の展開
Ⅳ わが国における構成要件論の継受と発展
1 構成要件論の自覚的な展開まで
2 小野清一郎博士の構成要件論
3 瀧川幸辰博士の構成要件論
4 その後の展開
Ⅴ 構成要件の機能をめぐる議論
1 構成要件論と構成要件の機能
2 構成要件の推定機能
Ⅵ むすびに代えて
7 違法論の系譜〔曽根威彦〕
Ⅰ はじめに―違法論変遷の概観
Ⅱ 違法性の実質―実質的違法性論
1 形式的違法性と実質的違法性
2 規範違反説と法益侵害説
Ⅲ 主観的違法論と客観的違法論
1 犯罪論体系における違法と責任の関係
2 主観的違法要素の理論
Ⅳ 行為無価値論と結果無価値論
1 行為無価値論の登場と結果無価値論の復活
2 行為無価値論の展開と結果無価値論の再評価
3 犯罪論の新動向と違法論の現状
Ⅴ おわりに―刑法は法益保護法か法益侵害法か
8 不作為犯論の系譜―「作為と不作為の区別」を中心に―〔松尾誠紀〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 保障人的地位(作為義務)
1 これまでの議論の展開
2 近時の学説の動向
Ⅲ 作為と不作為の区別
1 問題の所在
2 作為と不作為の区別基準
3 作為犯優先処罰原則
4 作為と不作為の区別をめぐる議論にある課題
Ⅳ おわりに
9 法人処罰論の系譜―戦後から今日までの動向を中心に―〔川崎友巳〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 立 法
1 戦後昭和期
2 平 成 期
Ⅲ 判 例
1 戦後昭和期
2 平 成 期
Ⅳ 学 説
1 戦後昭和期
2 平 成 期
Ⅴ む す び
10 客観的帰属論の系譜〔松原芳博〕
Ⅰ 意 義
Ⅱ 客観的帰属論の日本への導入・展開―規範的考慮と類型論
Ⅲ 広範な問題領域における客観的帰属論の展開―正犯性,自己答責性,社会的役割
Ⅳ 因果関係をめぐる判例と客観的帰属論
Ⅴ 客観的帰属論に対する批判
Ⅵ 若干のコメント
11 わが国の承諾論とゲールズの二元説―なぜわが国においてゲールズの二元説は受け入れられなかったのか―〔佐藤陽子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ わが国における二元的理解とゲールズの二元説
1 わが国における二元的理解
2 わが国におけるゲールズの二元説
3 わが国におけるゲールズの二元説への批判
Ⅲ ゲールズの二元説
1 議論の開始点
2 同意と合意の法的性質
3 合意の本質
4 合意に分類される犯罪類型
5 要件論(欺罔に基づく承諾)
Ⅳ なぜゲールズの二元説は受け入れられなかったのか
Ⅴ おわりに
12 「故意は主観的違法要素か」という問いについて―主観的違法要素論の系譜学的考察―〔松澤 伸〕
Ⅰ 方 法 論
Ⅱ 初期の言説
Ⅲ 戦後の言説
Ⅳ 結果無価値論と主観的違法要素
Ⅴ 主観的違法要素としての故意についての言説
1 一般的主観的違法要素であるとするもの
2 一般的主観的違法要素ではないとするもの
Ⅵ 言説の細分化
1 言説❶からの発展
2 言説❷からの発展
3 言説❸からの発展
4 その後の状況
Ⅶ 補 論―裏の言説
Ⅷ 主観的違法要素論の帰趨
Ⅸ 2つのエピソードと3つの最高裁判例―近時の実務を眺めつつ
Ⅹ おわりに―「読み」としての刑法学?
13 「原因において自由な行為」をめぐる日本の刑法学説の50年―構成要件モデル・責任モデル・例外モデルの「三国志」―〔杉本一敏〕
Ⅰ はじめに
1 検討の前提
2 3つの理論的モデル
Ⅱ 理論モデルの萌芽(1960年前後~1970年代)
1 構成要件モデルの萌芽―間接正犯モデル(定型的道具理論)
2 全体観察説
3 責任モデルの萌芽―意思決定の実現過程としての行為
4 刑法改正準備草案,改正刑法草案の「みずから招いた精神の障害」規定
5 理論構成の「併存」アプローチの先駆け
6 小 括
Ⅲ 理論モデルの分化(1980年代~2000年代)
1 構成要件モデルの純化
2 例外モデルの登場
3 責任モデルの純化
4 小 括
Ⅳ 結びにかえて
14 故意論の系譜〔長井長信〕
Ⅰ はじめに
1 故意をめぐる議論の概要
2 本稿の課題
Ⅱ 故意の体系的地位
1 問題の所在
2 判 例
3 学 説
4 小 括
Ⅲ 違法性の意識
1 問題の所在
2 判 例
3 学 説
4 小 括
Ⅳ 未必の故意
1 問題の所在
2 判 例
3 学 説
4 故意の認定
5 小 括
Ⅴ おわりに
15 過失論の系譜〔本間一也〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 戦前の状況
1 モノグラフィーの公刊
2 学説の状況
Ⅲ 戦後の状況①(1945年~1959年)
1 井上正治の問題提起
2 井上vs.秋山・平野論争
3 沢登佳人の研究
4 目的的行為論に基づく人的不法論からの応答
5 藤木英雄の「新過失犯論」
6 小 括
Ⅳ 戦後の状況②(1960年~1969年)
1 福田平の「人的不法論を基礎とした過失犯論」
2 大塚仁の「注意義務の判断基準に関する折衷説からの基礎づけ」
3 内田文昭の「過失犯の実行行為論」
4 「人的不法論に基づく過失論」に対する平野の批判
5 伝統的過失論に基づく井上祐司の「新過失論批判」
6 「信頼の原則」の浸透
7 小 括
Ⅴ 戦後の状況③(1970年~1979年)
1 「新・新過失論」
2 平野の「実質的に危険な行為論
3 小 括
Ⅵ 戦後の状況④(1980年~1989年)
1 新旧過失論争の展開
2 「新旧過失論争」の意義
3 小 括
Ⅶ 戦後の状況⑤(1990年~1999年)
1 「行為無価値論型過失論」の動向
2 「結果無価値論型過失論」の動向
3 小 括
Ⅷ 戦後の状況⑥(2000年~2010年)
1 「行為無価値論型過失論」の動向
2 「結果無価値論型過失論」の動向
3 小 括
Ⅸ おわりに
1 過失犯の構造をめぐる議論の現状とその評価
2 今後の課題
16 過失不作為犯の系譜〔山本紘之〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 過失犯における作為と不作為
Ⅲ 管理監督過失と不作為犯論(1990年台半ばまで)
1 作為義務と注意義務の関連
2 主体の選定
3 進言義務
4 小 括
Ⅳ 回収義務をめぐる議論(1990年代後半以降)
1 作為義務と注意義務の関連
2 主体の選定
3 進言義務
4 小 括
Ⅴ まとめと展望
17 責任能力論の系譜―わが国における限定責任能力概念(刑法39 条2項)についての史的考察―〔箭野章五郎〕
Ⅰ はじめに
1 今日広く受け入れられていると解される理解
2 限定責任能力(39条2項)
3 本稿の対象・方法
Ⅱ 責任能力をめぐる言説
1 旧刑法下での諸見解―前史:明治20年代までの諸見解
2 明治34年頃から昭和6年頃
Ⅲ 限定責任能力の程度
1 現行刑法制定過程の議論と「程度」に関する可能な解釈
2 限定責任能力と精神障害者の処遇
18 未遂犯論の系譜〔城下裕二〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 現行刑法典制定直後まで
Ⅲ 昭和期以降の議論
1 各学説の基本的立場
2 客観説の内部での展開
3 若干の考察
Ⅳ 近時の理論動向
1 「犯行の進捗度」説の展開
2 若干の考察
Ⅴ おわりに
19 不能犯論の系譜―明治期における不能犯論の展開―〔原口伸夫〕
Ⅰ 本稿の問題意識
Ⅱ 旧刑法の制定とその制定過程における草案の不能犯規定
Ⅲ 旧刑法下における学説1 ―明治前期の不能犯学説
Ⅳ 旧刑法下における学説2 ―新派刑法学の影響と不能犯学説
Ⅴ 旧刑法下における学説3 ―ドイツ刑法学の影響と不能犯論
Ⅵ 旧刑法から現行刑法へ
Ⅶ 不能犯に関する旧刑法下の判例
Ⅷ おわりに―今後の課題
20 わが国における正犯論とその現代的課題〔照沼亮介〕
Ⅰ 本稿の目的
Ⅱ 正犯と「実行行為」をめぐる混乱
Ⅲ 介在者・被利用者の状態「のみ」を基準とする見解とその問題点
1 規範的障碍説
2 遡及禁止論
3 小 括
Ⅳ 正犯論における個別の問題
1 「正犯概念」の意義
2 過 失 犯
3 不作為犯
4 身 分 犯
Ⅴ おわりに
21 共犯(教唆犯と幇助犯)の処罰根拠〔吉田敏雄〕
Ⅰ 共犯の概念
Ⅱ ドイツ語圏刑法学における共犯の処罰根拠論
1 責任共犯理論(堕落理論)
2 修正責任共犯理論(=不法共犯理論=脱一体化理論)
3 惹起(因果)理論
Ⅲ 日本刑法学にける処罰根拠論
1 責任共犯理論
2 修正責任共犯理論
3 純粋惹起理論
4 従属性本位の惹起理論
5 混合惹起理論
Ⅳ 混合的惹起理論とその若干の帰結
1 正犯者の不法と共犯者の不法の関係
2 共犯者の独自の行為不法
22 共同正犯論の系譜〔内海朋子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 共同正犯一般
1 犯罪共同説と行為共同説
2 刑事未成年者との共同正犯関係
3 共謀共同正犯―黙示の意思連絡
Ⅲ 共同正犯成立の時間的限界
1 承継的共同正犯
2 共同正犯関係からの離脱
3 正当防衛の共謀と共同正犯関係からの離脱
Ⅳ 過失共同正犯
23 罪数論の系譜〔只木 誠〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 競合論の起源と刑罰思想
Ⅲ 最高裁判所時代における競合形式の議論
1 牽 連 犯
2 連 続 犯
3 観念的競合
4 混合的包括一罪
5 連続的包括一罪
Ⅳ 今日的課題
1 かすがい理論
2 共犯の罪数
3 競合論の明示機能
4 罪数判断は「法理」か
5 罪数論と手続法
Ⅴ おわりに
24 量刑論の系譜〔岡上雅美〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ ドイツにおける量刑論の系譜―フォイエルバッハ,カントおよびリストの量刑論
1 フォイエルバッハの心理強制説と量刑論
2 カントの刑罰正当化論と量刑論
3 リストの量刑論
Ⅲ 結びに代えて
25 行刑論の系譜〔中島広樹〕
Ⅰ 行刑の意義
Ⅱ 小原行刑論の基本的思想
Ⅲ ゼーバッハの行刑論
Ⅳ 小河滋次郎の行刑論
Ⅴ 正木行刑学の時代へ
Ⅵ 小河監獄学と正木行刑学との比較
1 分房制と累進制
2 賃金制と作業賞与金制など
3 受刑者の人権
Ⅶ 戦中戦後の矯正行刑(行刑の迷走と科学化)
Ⅷ 行刑の法律関係化
Ⅸ 行刑の人道化
Ⅹ 行刑の社会化
Ⅺ おわりに
26 財産犯論の系譜〔伊藤 渉〕
Ⅰ 財産犯をめぐる刑法学の課題
1 財産犯の行為客体に関する問題点
2 財産犯の行為態様に関する問題点
3 財産犯としての実質的被害に関する問題点
4 財産の法的要保護性に関する問題点
Ⅱ 財産犯の保護法益をめぐる全般的な議論
Ⅲ 財産的損害の実質をめぐる議論
1 総 説
2 財物の価値
3 財産上の利益の具体性
4 詐欺罪における財産的損害
5 横領罪・背任罪における財産的損害
Ⅳ 財産の法的要保護性をめぐる議論
1 総 説
2 違法な取引と財産犯の成否
3 刑法242条の適用の限界
4 権利行使と財産犯の成否
Ⅴ 結 語
27 領得罪論の系譜〔穴沢大輔〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ これまでの領得
1 Unterschlagung(基本的領得行為)の形成過程と領得
2 利欲意思(die gewinnsüchtige Absicht)と領得
3 領得の意義―元来の意味における領得―
4 領得の機能
Ⅲ これからの領得
1 利益の領得
2 営業秘密侵害罪における領得
Ⅳ おわりに
28 詐欺罪・背任罪論の系譜〔品田智史〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 詐欺罪論の系譜
1 財産犯総論分野における詐欺罪固有の議論
2 詐欺罪における財産的損害
3 欺く行為
4 交付行為
5 三角詐欺の問題
6 詐欺罪の諸事例類型について
Ⅲ 背任罪論の系譜
1 背任罪の本質論
2 背任罪の主体(事務処理者)の確定
3 図利加害目的
4 その他の背任罪に関する議論
Ⅳ むすびにかえて
29 詐欺罪の規範論的構造〔高橋則夫〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 間接正犯類型としての詐欺罪
Ⅲ 詐欺罪における「行為と結果」
1 詐欺罪における「結果」
2 詐欺罪における「行為」
Ⅳ 詐欺罪における「行為規範と制裁規範の結合」
1 行為規範と刑罰法規の関係
2 詐欺罪における規範内容
Ⅴ おわりに
30 横領罪論の系譜―横領罪の罪質,不法領得の意思及び保護法益―〔伊藤 司〕
Ⅰ はじめに
1 旧刑法典と現行刑法典の横領罪の条文
2 現行刑法典への立法理由
Ⅱ 旧刑法典の横領罪の判例・学説
1 旧刑法典の判例
2 旧刑法典の学説
Ⅲ 現行刑法典の横領罪の判例・学説
1 現行刑法典の判例
2 現行刑法典の学説
Ⅳ おわりに
1 所有権(及び占有)の侵害と不法領得の意思
2 刑法の独自性と共罰的事後行為説
3 結びにかえて
31 公共危険犯論の系譜〔星周一郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 旧刑法における公共危険犯論
1 概 説
2 旧刑法典における公共危険犯と放火罪規定
3 旧刑法期の放火罪論の学説における展開と大審院判例
Ⅲ 現行刑法典の制定と公共危険犯論
1 現行刑法制定期における公共危険犯論
2 公共の危険をめぐる学説における議論の推移
3 抽象的危険犯論と具体的危険犯論
4 放火罪における公共の危険と公共危険犯の現代的展開
Ⅳ 犯罪体系論と公共危険犯論―構成要件論と違法性論
1 構成要件と違法性の機能分担―形式的構成要件論における公共危険犯論の展開
2 構成要件要素危険内在説の展開―実質的構成要件論の意義
Ⅴ 公共危険犯論のこれから―むすびに代えて
32 変死者密葬罪の系譜―証拠隠滅罪との関係で―〔京藤哲久〕
Ⅰ 検討の対象
1 変死者密葬罪理解の現在
2 変死者密葬罪の必要性
Ⅱ 変死者とは
1 変死者概念と証拠隠滅罪との関係
2 行政検視を含む考え方の問題点
3 検視を経ない罪か変死者を密葬する罪か
Ⅲ 変死者密葬罪の沿革
1 変死者密葬罪は違警罪の横滑りの規定か
2 旧刑法の制定まで
3 現行刑法の制定まで
4 小 括
Ⅳ フランス刑法典
1 当時のフランス刑法
2 現在のフランス刑法
Ⅴ 死体を隠匿する罪
1 「死体を隠匿する罪」の沿革
2 「死体を隠匿する罪」とTatbestandの概念
3 最 後 に
33 公訴・公判法理論の系譜〔藤本幸二〕
Ⅰ ドイツ法における公訴概念の確立と日本の継受
1 古代ローマ
2 中世ドイツ
3 近世から近代
4 日本における刑事手続の近代化
Ⅱ 公訴法の理論史
1 治罪法期の公訴法理論
2 明治刑事訴訟法期の公訴法理論
3 大正刑事訴訟法期の公訴法理論
4 現行刑事訴訟法下の公訴法理論
Ⅲ 公判法の歴史
1 治罪法期の公判法理論
2 明治刑事訴訟法期の公判法理論
3 大正刑事訴訟法期の公判法理論
4 現行刑事訴訟法下の公判法理論
Ⅳ おわりに
34 裁判員法の系譜〔安村 勉〕
Ⅰ 視点の設定
1 戦前の陪審制
2 裁判員法の制定過程のその目的
Ⅱ 最高裁の立場
1 被告人の権利としてではない裁判員制度
2 裁判員裁判における評議のあり方
Ⅲ 民主主義的基盤としての裁判員制度
1 トクヴィルの陪審制論
2 アメリカ合衆国最高裁判所判例に見るトクヴィル
3 熟議民主主義・討議民主主義と多数決主義
Ⅳ 民主主義教育の場としての裁判員制度
1 参政権との関係
2 最高裁のいう「良識ある結論」
3 控訴審と裁判員裁判
Ⅴ おわりに
内田文昭先生 略歴
内田文昭先生 主要著作目録