目次
『現代民事手続法の課題 ― 春日偉知郎先生古稀祝賀』
加藤新太郎・中島弘雅・三木浩一・芳賀雅顯 編集
【執筆者一覧(掲載順)】
安西明子/加藤新太郎/川嶋四郎/河野憲一郎/菅原郁夫/中島弘雅/林道晴/三上威彦/我妻学/坂本恵三/須藤典明/髙田昌宏/本間靖規/金子宏直/越山和広/芳賀雅顯/村上正子/山本和彦/三木浩一/山木戸勇一郎/上江洲純子/岡伸浩/小原将照/河崎祐子/北島(村田)典子/倉部真由美/佐藤鉄男/杉本和士/玉井裕貴/濱田芳貴/安達栄司/川嶋隆憲/工藤敏隆/定塚誠/中村芳彦/ロルフ・シュテュルナー/アストリッド・シュタッドラー/アレキサンダー・ブルンス
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【目 次】
・はしがき
◆第Ⅰ部 判決手続◆
◆1◆ 証 拠
◆1 当事者間の負担分配から見た事案の解明〔安西明子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 証明責任を負わない当事者の主張・立証
Ⅲ 文書提出命令の手続
Ⅳ 結びに代えて
◆2 民事訴訟における論証責任論〔加藤新太郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 民事訴訟の類型と論証責任を意識しない実務の傾向
Ⅲ 原理的な問題との関係
Ⅳ 論証責任論の効用
Ⅴ 結 び
◆3 私文書の成立の真正に関する「二段の推定」についての覚書――その意義の再確認と限界について〔川嶋四郎〕
Ⅰ はじめに――問題の所在
Ⅱ 最高裁昭和39年5月12日判決
Ⅲ 最高裁昭和39年判決の時代背景
Ⅳ 民訴法228条4項の位置づけと法的性質
Ⅴ 「第1段目の推定」における経験則の脆弱性――多様な反証成功事例
Ⅵ 署名の真正と押印の真正――署名代理(あるいは筆跡偽造)と「二段の推定」の問題
Ⅶ 司法研究報告書『民事訴訟における事実認定』等における警鐘
Ⅷ おわりに――自由心証主義の実質化を希求して
◆4 民事訴訟における証拠の機能――その体系的位置づけの可能性〔河野憲一郎〕
Ⅰ 序
Ⅱ わが国における従来の議論とその問題点
Ⅲ ドイツにおける民事訴訟の手続構造と証拠の収集
Ⅳ 証拠収集手続の体系化の試み
Ⅴ 結 語
◆5 当事者尋問再考〔菅原郁夫〕
Ⅰ はじめに――問題点の所在
Ⅱ ガス抜き効果についての研究
Ⅲ 民事訴訟利用者調査からの示唆――当事者尋問の副作用
Ⅳ 分析結果からの示唆
Ⅴ 最 後 に
◆6 調査嘱託に対する回答拒絶と不法行為の成否〔中島弘雅〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 調査嘱託制度の概要
Ⅲ 先例としての東京高判平成24年10月24日
Ⅳ 調査嘱託の不当拒絶と不法行為の成否
Ⅴ おわりに
◆7 提訴前の証拠収集についての展望――「証拠保全の実務」と提訴前証拠収集処分の立案作業を踏まえて〔林 道晴〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「証拠保全の実務」に至る経緯
Ⅲ ドイツの独立証拠調べ手続の調査
Ⅳ 提訴前の証拠収集処分手続の立法
Ⅴ 今後の提訴前の証拠収集の在り方
◆8 民事訴訟における新種媒体の証拠調べとPDFファイルの証拠力〔三上威彦〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 文書の証拠調べ
Ⅲ 新種証拠の取扱い
Ⅳ PDFファイルの証拠力
Ⅴ おわりに
◆9 イギリスにおける患者に対して誠実に対応する義務と新たな医療事故調査制度〔我妻 学〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 医療安全に関する世界的な取組み
Ⅲ イギリスにおける医療安全の問題と医療事故調査
Ⅳ 患者に誠実に対応する義務
Ⅴ イギリスにおける新たな医療事故調査制度
Ⅵ おわりに
◆2◆ 訴え・判決
◆10 債務不存在確認の訴えと給付の反訴〔坂本恵三〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 債務不存在確認の訴えと当該債務の履行を求める給付の訴えの関係
Ⅲ 債務不存在確認の訴えと給付の反訴の処理
Ⅳ おわりに
◆11 民事裁判における判決理由の告知と実践的工夫〔須藤典明〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 判決の言渡しに関する民事訴訟法などの規律
Ⅲ 判決理由の要旨を告知することの意義
Ⅳ どのようなメモを作成していたか
Ⅴ 理由の要旨を口頭で告知するための実践的工夫
Ⅵ おわりに
◆12 証拠調べ後の裁判官交代と直接主義の原則――ドイツ法との比較に基づく一考察〔髙田昌宏〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツ民事訴訟法における裁判官の交代と直接主義の原則
Ⅲ ドイツ法からの示唆――まとめと今後の課題
◆13 身分訴訟における判決効拡張再論〔本間靖規〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツ法の過去と現在
Ⅲ 日本法との関係――若干の比較
Ⅳ おわりに
◆14 民事訴訟費用の裁判と費用額確定処分〔金子宏直〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 訴訟費用の負担に関する原則と手続
Ⅲ 平成8年民事訴訟法改正と民事訴訟費用の裁判等
Ⅳ ドイツ法における費用額確定手続
Ⅴ 訴訟費用の裁判等の手続の性質
Ⅵ 訴訟費用額の確定に関する裁判例
Ⅶ 直接取立の場合の費用額の確定
Ⅷ 訴訟費用の負担の裁判の理由
Ⅸ 結 語
◆3◆ 国際民事訴訟
◆15 外国判決の承認と間接管轄の判断基準〔越山和広〕
Ⅰ 序 論
Ⅱ 判例基準の確認
Ⅲ 判例における事案の解決
Ⅳ 考 察
Ⅴ 結 論
◆16 外国判決不承認による不当利得――国際司法摩擦との相克〔芳賀雅顯〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツでの議論
Ⅲ 日本法の解釈
Ⅳ むすび――司法摩擦との関係
◆17 ブリュッセルⅡa規則の改正案に見るEUにおける子の奪取事案の解決枠組み〔村上正子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ EUにおける子の奪取事案の解決枠組み
Ⅲ ブリュッセルⅡa規則の改正案
Ⅳ むすびにかえて――日本法への示唆
◆18 国際裁判管轄に関する若干の問題〔山本和彦〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 絶対的強行法規と合意管轄
Ⅲ 仲裁合意と国際保全管轄
Ⅳ 本案の国際裁判管轄がない場合の審判前の保全処分
◆第Ⅱ部 民事執行・倒産手続◆
◆1◆ 民事執行
◆19 不当執行に基づく債権者の損害賠償責任〔三木浩一〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 仮執行の場合
Ⅲ 保全執行の場合
Ⅳ 強制執行の場合
Ⅴ 担保権実行の場合
◆20 引換給付判決の執行開始要件としての反対給付の提供の意義について〔山木戸勇一郎〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 引換給付判決の強制執行の実施の実体法的な正当化根拠
Ⅲ 各説から導かれる帰結の整理
Ⅳ 検 討
Ⅴ おわりに
◆2◆ 倒 産
◆21 イギリスにおける倒産時の労働契約の取扱い――再建型倒産手続における議論を中心に〔上江洲純子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ イギリス倒産制度の概要
Ⅲ 会社管理手続における労働契約の取扱い
Ⅳ イギリス労働法における解雇の取扱い
Ⅴ 会社管理手続と剰員整理解雇の関係
Ⅵ おわりに
◆22 破産管財人の受託者的地位――信託的構成の再評価と管理機構人格説との調和〔岡 伸浩〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 法定信託(受託者)説をめぐる考察
Ⅲ 破産管財人の受託者的地位に関する考察
Ⅳ 信認関係の構成要素
Ⅴ 信託法理の展開と破産法への投影
Ⅵ まとめに代えて
◆23 破産手続における求償権の取扱い〔小原将照〕
Ⅰ 本稿の目的
Ⅱ 平成29年決定について
Ⅲ 全部義務関係の対象と実体法の理解
Ⅳ 破産法における事後求償権の取扱い
Ⅴ 考 察
◆24 「債権者平等原則」の法的性質――破産判例の変遷を中心に〔河崎祐子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「債権者平等原則」の生成――第一期(~1970年代)
Ⅲ 「債権者平等原則」の変容――第二期(1970年代~1990年代)
Ⅳ 「債権者平等原則」の定着――第三期(1990年代~)
Ⅴ おわりに
◆25 裁判例における事業再生目的〔北島(村田)典子〕
Ⅰ 民事再生手続と事業の再生
Ⅱ 民事再生手続利用の可否・民事再生法の規定
Ⅲ 当事者の合意と民事再生手続
Ⅳ おわりに
◆26 個人再生手続における別除権協定の問題点〔倉部真由美〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 別除権協定において弁済が約された債権の法的性質
Ⅲ 個人再生手続における別除権協定の締結
Ⅳ むすびに
◆27 破産者の憲法的不自由はこれでよいのか〔佐藤鉄男〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ わが国における破産者の人権制限の概要
Ⅲ 破産者の身体的不自由――居住制限を中心に
Ⅳ 破産者の職業選択の不自由(資格制限)
Ⅴ 破産者にはプライバシーがない?――郵便物管理
Ⅵ 破産情報をめぐる公私ジレンマ――官報公告の光と陰
Ⅶ 終わりに
◆28 破産手続・再生手続終了後の留保所有権者による私的実行の可否〔杉本和士〕
Ⅰ はじめに――問題状況の確認と本稿の検討対象
Ⅱ 破産手続終了後の留保所有権の処遇
Ⅲ 再生手続終了後の留保所有権の処遇
Ⅳ おわりに
◆29 仮想通貨交換業者の破産手続における利用者の仮想通貨返還請求権の取扱い――MTGOX破産事件を素材として〔玉井裕貴〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ MTGOX倒産事件の概要――2つの下級審裁判例
Ⅲ 仮想通貨の法的性質
Ⅳ 破産手続における仮想通貨返還請求権の取扱い
Ⅴ 結びにかえて
◆30 別除権協定の規律事項に係る議論の土俵に関する再考察〔濱田芳貴〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 別除権協定の規律事項に係る実践的な要請について
Ⅲ 別除権協定の規律事項に係る法理面での許容性いかん
◆第Ⅲ部 ADR・仲裁手続◆
◆31 仲裁判断取消申立ての裁量棄却について――仲裁人の開示義務違反の場合,ドイツ法の新展開〔安達栄司〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 仲裁判断取消し(および承認)における裁判所の裁量権
Ⅲ 日本法への示唆
◆32 ADR前置合意の効力に関する一考察〔川嶋隆憲〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 議論の状況
Ⅲ 若干の考察
Ⅳ 結びに代えて
◆33 オーストラリアにおける金融ADR――ワンストップ・サービスへの統合経過〔工藤敏隆〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 業界団体による自主的な紛争解決手続(1990年代)
Ⅲ 政府の認可による紛争解決手続の分立と統合(2000年代から2010年代)
Ⅳ 単一の業態横断型ADR(2018年11月以降)
Ⅴ おわりに
◆34 労働審判制度が民事訴訟法改正に与える示唆〔定塚 誠〕
Ⅰ 労働審判制度と春日偉知郎先生――平成15年夏
Ⅱ 民事訴訟実務の現状と評価
Ⅲ 多くのみなさんに使っていただける民事訴訟を目指して――なぜ,民事裁判は,国民の「迅速な裁判」のニーズに応えられていないのか
Ⅳ 労働審判制度が今般の民事訴訟法改正に与える示唆
Ⅴ 最後に
◆35 医療ADRにおける専門性と日常性〔中村芳彦〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 医療ADRの現状とその類型
Ⅲ 医療専門性の位置づけと役割
Ⅳ 法的専門性の位置づけと役割
Ⅴ 手続専門性と対話専門性の果たす役割
Ⅵ 訴訟と医療ADRの交錯
Ⅶ おわりに――これからの方向性をめぐって
◆第Ⅳ部 ドイツ民事訴訟手続◆
◆36 国際的な展開からみた民事訴訟における証拠収集の要件〔ロルフ・シュテュルナー〔訳・芳賀雅顯〕〕
〈原題〉Die Voraussetzungen einer Beweiserhebung im Zivilprozess im Spiegel der internationalen Entwicklung〔Rolf Stürner〕
Ⅰ 序 論
Ⅱ 大陸の訴訟モデルとコモンロー訴訟モデルの相反する出発点
Ⅲ 2つの事例研究――ドイツの事案(Daktari und Flipper)とアメリカ合衆国の事例(Ashcroft)
Ⅳ 基本問題および法的に理解困難な基本問題の構造
Ⅴ ALI/UNIDROITのTransnational Civil Procedureによる解決と将来的な法発展を通じた解決の確認
Ⅵ 一般的な事実主張および特定されていない証拠の申出に基づく事案解明を克服するためのドイツ民事訴訟法の手段
◆37 ドイツ裁判所の専門化〔アストリッド・シュタッドラー〔訳・芳賀雅顯〕〕
〈原題〉Die Spezialisierung deutscher Zivilgerichte〔Astrid Stadler〕
Ⅰ ドイツ裁判所構成法における新ルールとその背景
Ⅱ 専門化の必要性はあるのか?
Ⅲ 専門性の現実的な獲得
Ⅳ 複数の専門領域にまたがる部
Ⅴ 結 語
◆38 民事訴訟の主たる目的としての権利実現〔アレキサンダー・ブルンス〔訳・芳賀雅顯〕〕
〈原題〉Rechtsverwirklichung als Primärzweck des Zivilprozesses〔Alexander Bruns〕
Ⅰ 民事訴訟の目的論の意義
Ⅱ 基本的立場
Ⅲ 推奨に値する民事訴訟の主たる目的の決定
Ⅳ ま と め
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・春日偉知郎先生 略歴
・春日偉知郎先生 業績一覧