目次
『契約における約束』
マーティン・ホグ 著
櫻本正樹・太矢一彦・清水 宏 監訳
【目 次】
・日本語版序文
序 文
《本書を読み始める前に》/太矢一彦
裁判所名の略語表記
判例索引
法令索引
◆第1部 理論的・歴史的導入◆
◆1 約束の概念
1.約束とは何か
(a)約束の定義
(b)約束―客観的に存在する現象か、人間が作り出したものか?
(c)約束の定義の構成要素を分析する
(i) 約束は単なる内心にとどまるプロセスではない―確約を示す言語行為としての約束
(ii) 約束とは約束者が行為を確約することである
(iii)非現実的な確約や約束者が明らかに行えないものは約束に値しない
(iv) 約束は未来に関係するものでなければならない
(v) 約束は他の当事者に有利になるように約束するものでなければならない
(vi) 定義の構成要素でないもの
2.約束に関連する3つの重要な性質―無償性、条件性、一方性
(a)無償性
(b)条件性
(c)一方性
3.約束とは異なる類似した行為について
(a)誓 願
(b)宣 誓
(c)威 迫
(d)贈与(恵与)
(e)保証(担保)
(f)合 意
4.文化的に普遍的で重要な考えとしての「約束」
5.暫定的結論
◆2 義務としての約束―道徳と法
1.はじめに―義務の一種としての約束
2.道徳と法における義務の分類
3.道徳上の義務としての約束―約束の慣行
(a)道徳的約束、不道徳な約束、あるいは道徳と無関係な約束とはなにか
(b)約束の慣行における道徳性の源
(i) 徳のある行為としての約束―自然法の伝統
(ii) 意思に基づく行為としての約束―人格的自律性の尊重
(iii)約束の「契約理論」
(iv) 帰結主義(功利主義)
(v) 信頼理論
(vi) 約束の道徳的価値をめぐる競合する理論への結論
4.道徳的拘束力を有する約束違反に関する権限と制裁
◆3 約束をめぐる観念の歴史的展開
1.ローマ法
(a)要式契約―問答契約
(b)不要式契約
(c)ローマ法の小結
2.中世の契約法
(a)大陸法思想
(b)イギリス法
(i) 金銭債務訴訟
(ii) 捺印契約訴訟
(iii)初期イギリス契約法における一方性と双方性
(iv) 引受訴訟
(v) 約因法理
3.北方欧州自然法学派
(a)フーゴー・グロティウス
(b)ザムエル・フォン・プーフェンドルフ
(c)ジェームズ・ダルリンプル(ステア子爵)
4.18-19世紀
(a)イギリス法
(b)スコットランド法
(c)大陸法系
(i) ドイツ法
(ii) ロベール・ポティエ
5.20世紀の契約理論と実践
6.復活した意思理論
◆第2部 現 代 法◆
◆4 契約の成立
1.契約交渉の解消に伴い契約締結前に無駄となった出費
(a)契約締結前に無駄となった出費に対するコモン・ローの解決策―約束的禁反言と財産権的禁反言
(i) 約束的禁反言―約束に基づく原則か、信頼に基づく原則か
(ii) 約束的禁反言と契約交渉の失敗
(iii)財産権的禁反言と契約交渉の失敗
(iv) 禁反言と契約前の出費に関する結論
(b)契約締結前に無駄となった出費に対する大陸法制の解決策―契約締結上の過失と契約交渉の不誠実な解消
(c)契約締結前に無駄となった出費に関する混合法制での解決策―契約が有効に存在するとの黙示の保証による責任
(d)契約締結前責任の問題に関する他の解決策
(e)契約締結前責任に関する結論
2.契約締結前の情報提供義務
3.申込みと承諾
(a)条件付き約束としての申込みと承諾
(b)条件の一方的指図としての伝統的な申込みと承諾モデル
(c)申込みと条件付き約束との区別
(d)申込みと承諾の約束的分析において問題となる事案
(e)申込みに拘束力を認める見解
4.オークション/競争入札に関する条件の強制
5.確定申込みあるいは撤回できない申込み
(a)確定申込みの特徴
(b)懸賞の約束
6.オプション
7.基本合意書および予備契約
(a)契約の意図
(b)将来の契約を想定した予備的な契約
(c)正式な契約への期待
(d)契約以外の何らかの意思表示をすること
(e)真の意味での一方的約束としての意図
8.契約の成立における錯誤
(a)錯誤のルールを特徴づける方式の選択
(b)選択される方策の実行可能な分類を構築すること
(i) ローマ法
(ii) コモン・ロー
(iii)混合法制
(iv) ドイツ法
(v) 約束的錯誤に対する理想的なアプローチとは
9.契約の成立における財物強要
(a)イギリス法
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)財物強要に関する結論
10.黙示条項
11.約 因
(a)コモン・ロー
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
12.方式の要件―約束することに対する不当な制限か
◆5 第三者の権利
1.契約に関する第三者の権利に対する検討
2.法制史的な背景
3.現代契約法における第三者の権利
(a)コモン・ロー
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
(e)契約のもとでの第三者の権利に関する結論
4.権利の譲渡
(a)イギリス法
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
5.移転させられた損失
(a)イギリス法
(b)混合法制
(c)ドイツ法
6.第三者に関する結論
◆6 契約上の救済
1.契約上の救済によって保護される「利益」
2.約束の相互性および履行留保
(a)コモン・ロー
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
3.履行の強制
(a)イギリス法
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
4.契約に関する約束の完全履行または実質的履
(a)役務提供契約
(b)物品売買契約
5.差止命令
6.損害賠償
(a)履行利益以外の契約上の損害および利益
(b)損害賠償は単に契約違反によるものか、それとも過失によるものか
(c)イギリス法
(d)混合法制
(e)ドイツ法
(f)モデル法
7.損害賠償額の予定―制裁条項
(a)イギリス法
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
8.不履行による契約解消
(a)解消権の歴史的起源
(b)イギリス法
(c)混合法制
(d)ドイツ法
(e)モデル法
9.不履行による契約解消に伴う原状回復
(a)イギリス法
(b)混合法制
(c)ドイツ法
(d)モデル法
10.信義誠実と契約上の救済
◆7 契約上の権利の放棄
1.用 語
2.双方的あるいは一方的な放棄
3.契約上の権利を行使しない引受けの性格付け
4.明示的な契約または約束による権利放棄
(a)コモン・ロー
(b)混合法制
(c)ドイツ法
5.猶予、約束的禁反言、およびパーソナル・バー
(a)コモン・ロー
(i) コモン・ローにおける猶予
(ii) エクイティにおける猶予とイギリス法における約束的禁反言
(iii)アメリカのコモン・ローにおける約束的禁反言
(iv) コモン・ローにおける約束的禁反言についての結論
(b)混合法制
(i) 南アフリカ
(ii) ルイジアナ州
(iii)スコットランド
(c)ドイツ法
6.モデル法および権利の放棄
◆第3部 将 来◆
◆8 契約法における約束の未来
1.現代法における約束の限定的な役割
2.今後考えられる法の発展
(a)総 説
(b)コモン・ロー
(c)混合法制
(d)ドイツ法
(e)国家を超えた法モデルの発展
3.約束の未来についての結論
・訳者あとがき
参考文献
索 引