目次
『錯覚の医事法学―よき医療とよき司法のための提言』
川﨑富夫((医)厚生医学会健康医学研究所所長) 著
【目 次】
はしがき
第1章 序 論
1 錯覚の医事法学
2 医と法の立場の相違
3 対話の重要性
4 徒労の半世紀
5 対話のために
6 対話の視線
7 視点を定める
8 対話の架け橋
用語解説
第2章 医療裁判論
1 医療訴訟の問題点
2 鑑定ガイドブック
3 鑑定事例A
4 鑑定事例B
5 鑑定の意図
6 鑑定の限界
7 手続的真実と実体的真実
8 公的鑑定医の使命
9 実体的真実の追究
10 医と法の交流
用語解説
第3章 医療システム論
1 判例解説
2 未熟児網膜症とは
3 網膜症訴訟
4 姫路日赤事件
5 最高裁判決
6 判決の矛盾
(1) 安全性と有効性
(2) 実験的医療と実践的医療
(3) 医療の質
(4) 医療の諸段階
(5) 医療学派
(6) 保険医療
(7) 経皮的血中酸素濃度管理
(8) 厚生省研究班
(9) 医療環境
(10) 医療連携
(11) 訴訟バイアス
7 医療システムへの無理解
用語解説
第4章 医療水準論
1 医療水準とは
2 水準の意味
3 善管注意義務
4 高度の注意義務
5 変動する医療水準
6 最善の注意義務
7 医学水準
8 保険医療とあるべき医療水準
9 救済システムとの混同
10 事 件 例
11 事件関連の用語
12 争点「医学的な医療水準」
13 争点「注意義務違反」
14 争点「説明義務違反」
15 医療水準からの脱却
用語解説
第5章 医療契約論
1 医療は契約ではない
2 医療システム
(1) 公衆衛生
(2) 医療専門職
(3) trial and error
3 医療契約論の混乱
(1) 契約合意前の応招義務
(2) 隔離と強制収容
(3) 無名契約
(4) 結果債務
(5) 不法行為構成と債務不履行構成
4 “最善” と “期待”
(1) 最善を尽くす
(2) 期待権と期待感情
(3) 意外な結果の回避
5 顚末報告
(1) 法の顚末報告
(2) 医の顚末報告
(3) インフォームド・コンセント
6 姫路日赤事件における契約論
(1) 判決の誤謬
(2) 証明責任の分配操作
(3) 誤謬の機序
(4) “こじつけ” の論法
7 契約論の誤導入
用語解説
第6章 医療責任論
1 医療責任論の出現
2 医療の分類責任
3 医療へのアクセス責任
4 善きサマリア人の法
5 航空機内の医療責任
6 ボランティア医療の責任
7 医療の信頼責任
8 医療の倫理責任
9 新ミレニアムの医師憲章
10 扶氏医戒之略
11 医療情報の保護責任
12 医療の説明責任
13 医療情報の処理責任
14 医療における役割責任
15 自由意志と医療責任
16 権利意識と医療責任
17 医療責任と司法責任
18 訴訟バイアスと責任回避
19 医療責任とトリレンマ
用語解説
第7章 医療安全論
1 安全な医療とは
2 安全の確保
3 安全と危険
4 安全とリスク
5 安全と安心
6 危機管理の心理
7 患者心理におけるリスク
8 リスクから危険へ
9 医療におけるリスクと危険
10 専門分化と安全
11 システム窓口としての医師
12 信頼とリスク
13 医療安全の進化と新たなリスク
14 医療システムの安全
15 医療安全のコスト
用語解説
第8章 医療安心論
1 安心な医療とは
2 法の医療安心
3 フィードバックシステムと安心
4 愛着と安心
5 安心と不安
6 不安と恐怖
7 安心の起源
8 複合システムの安心
9 信頼と安心
10 医療システムへの信頼
11 医療担当者への信頼
12 信頼への跳躍
用語解説
第9章 医療信認論
1 現代日本の健康観
2 近代日本の健康観
3 医療システムの理解
4 信頼の分析
5 法の信頼と医の信頼
6 信頼の学び
7 信頼の振る舞い
8 はかない振る舞い
9 信用とは何か
10 信任と信認
11 翻訳の信頼
12 信託の始まり
13 信託の展開
14 信託概念の拡張
15 信認関係(confidential relation)
16 医療と信認
17 医師患者関係は契約ではなく信認
用語解説
第10章 医療行為論
1 医療行為とは
2 医療行為と法
3 医師に要請される医療行為
4 医療行為のひとくくり
5 行わないという医療行為
6 話を聞くだけという医療行為
7 見るだけという医療行為
8 届け出るという医療行為
9 異常死体の届出
10 医療行為と医療関連死
11 医療行為の範囲
12 医療行為と医療損傷
13 医療行為と権利侵害
用語解説
第11章 医療合法論
1 正当業務としての医療行為
2 医療侵襲と医療傷害
3 医療行為は違法か
4 医療侵襲は法益侵害か
5 医療行為傷害説の誤謬
6 医療行為と犯罪行為
7 傷害罪容疑の爪切り事件
8 違法性という魔法の言葉
9 手術意図と犯罪意図
10 医療行為と犯罪可能性
11 違法性を問われる医療行為
用語解説
第12章 医療認識論
1 認識の相違
2 法と医の認識の相違
3 法律用語としての意思
4 意思と意思表示
5 インフォームド・コンセントと共同意思決定
6 民法における意思の解釈
7 翻訳過程での用語の混乱
8 医療における意思表示
9 意思表示と自己決定権
10 医療における意思と故意
11 医療における過誤と錯誤
12 医療過誤の曖昧性
13 医療ミスと医療エラー
14 医療ミスと医療事故
15 医療ミスが問われるとき
用語解説
第13章 医療期待論
1 医療への期待
2 予測と予見
3 期待と希望
4 期待権について
5 期待権の侵害
6 期待権の司法的認知
7 期待権侵害理論の普及
8 期待の背景
9 期待から見る正義論
10 良質な医療を受ける権利
11 医療リスクの直視
12 予期と期待
13 予期の二重性
14 ダブルコンティンジェンシー
用語解説
第14章 終 論
1 認識の相違は解消されない
2 認識の相違のモデル化
3 多義図形から導かれる履歴効果
4 モデル画像による分析
5 グレーゾーンの存在
6 紛争処理システム
7 第三の道の模索
8 ネガティブ・ケイパビリティ
9 知らないを知る
10 原初状態への回帰
11 正義を果たす
用語解説
第15章 附論(用語理解のために)
1 用語理解のためのDIKW 分類
2 用語理解のための医学分類
3 用語理解のための法学分類
4 用語解説の見取り図(一覧)
あとがき
用語索引