目次
『国際刑事手続法の体系 ― 「プレミス理論」と一事不再理原則』
越智 萌(京都大学白眉センター/法学研究科特定助教) 著
【目 次】
・はしがき
◆序 論
◇第一節 国際刑事手続法の体系に関する問題
第一項 中核犯罪に対する国際刑事司法の取組み
第二項 国際刑事手続法の意義
◇第二節 本研究のアプローチ
第一項 本研究の目的
第二項 本研究の意義
第三項 検証方法
◇第三節 本書の構成
◆第一部 問題背景と理論◆
◆第一章 国際刑事手続法の発展
◇第一節 国際刑事手続法の定義
第一項 国際性の三つの意味
第二項 機関の国際性を重視する傾向とその妥当性
第三項 中核犯罪に対する手続法としての国際刑事手続法
◇第二節 国際刑事司法機関の設置
第一項 国際軍事法廷と国内軍事委員会の併用
第二項 国連中心の多国主義的構想
第三項 国連や地域的機構と協力した現地主義的構想
第四項 国内の司法制度を利用する一国主義的構想
◇第三節 国際刑事手続法の概念に関する三つの立場
第一項 国際法の一部とする立場
第二項 諸規則の単なる総称とする立場
第三項 独自の法体系とする立場
第四項 国際刑事手続法の体系性の理解の必要性)
◇小 括
◆第二章 体系性と独立性の指標
◇第一節 法体系に関する様々な視点
第一項 比較法学における法体系
第二項 社会学における法体系
第三項 分析法学における法体系
第四項 共通かつ独自の適用法の承認手法の存在という指標
◇第二節 国際刑事手続法の諸形式と共通かつ独自の適用法の候補
第一項 条 約
第二項 派生法
第三項 国内法
第四項 国際法,一般原則,判例法,人権基準
第五項 共通に適用される法形式
◇小 括
◆第三章 一般原則のプレミス理論
◇第一節 一般原則の分類
第一項 国際法体系における一般原則
第二項 国際刑事法における一般原則の分類
第三項 国際刑事法の一般原則と国際法の一般原則の異同に関する諸説
◇第二節 一般原則のプレミス理論
第一項 法の一般原則に関する転置の理論
第二項 国際刑事法における転置
第三項 プレミス理論とその正統性
◇第三節 一般原則に反映された国際刑事法のプレミス
第一項 修正の事例
第二項 選択の事例
第三項 国際刑事手続の事実上および規範的プレミス
◇小 括
◆第二部 一事不再理原則に関する前提的考察◆
◆第四章 一事不再理原則の国際法上の位置付け
◇第一節 一事不再理規範の本質
第一項 理論的根拠
第二項 一事不再理効の原理に関する諸説
◇第二節 一般国際法としての一事不再理
第一項 慣習国際法性
第二項 法の一般原則性
◇第三節 諸法における一事不再理
第一項 国内法
第二項 同一司法権内での一事不再理を定める条約
第三項 国家間での一事不再理を認める条約
第四項 国家と国際刑事司法機関の間の一事不再理を規定する条約等
◇小 括
◆第五章 二重裁判に影響される国際刑事手続のプレミス
◇第一節 国際刑事手続の事実上のプレミス
第一項 司法権の併存
第二項 司法権の併存の規律に関する既存研究の限界
◇第二節 刑事手続の規範的プレミス
第一項 正義の追求
第二項 刑事人権の保障
◇第三節 国際刑事手続に特殊な規範的プレミス
第一項 刑罰主権の尊重
第二項 真実の確定
第三項 平和の促進
◇小 括
◆第三部 国際刑事手続法の一般原則としての一事不再理◆
◆第六章 一事不再理効の範囲
◇第一節 通常の刑事司法における一事不再理効の範囲
第一項 一事不再理効の範囲を示唆する用語
第二項 用語から離れた同一性判断基準
第三項 同一性判断基準の二つの決定要素
◇第二節 国際刑事司法機関の規程上の一事不再理規定
第一項 主要な国際刑事司法機関の規程
第二項 学説における解釈の幅
第三項 判 例
第四項 起草過程――二つの要請と中核犯罪基準
◇第三節 国際刑事司法における同一性判断基準の決定要素の特徴
第一項 学説の整理
第二項 制度的要素と実質的要素
第三項 通常の刑事司法との比較における特徴と一般国際法性
◇小 括
◆第七章 裁判外終結の一事不再理効
◇第一節 裁判外終結
第一項 代替的な司法の形態
第二項 恩赦の歴史と実行
第三項 恩赦の理論的根拠
◇第二節 恩赦に関する諸規範の発展
第一項 恩赦付与の奨励
第二項 国家間での恩赦の尊重
第三項 違法な恩赦の無効
◇第三節 国際刑事司法における裁判外終結の取扱い
第一項 ICTY判例における議論の萌芽
第二項 ICCによる国家の不訴追決定の尊重
第三項 恩赦排除規定を持つ規程
第四項 代替的アカウンタビリティの伴わない恩赦の無効
第五項 恩赦の後訴遮断の効力に関する国際刑事法の一般原則
◇第四節 恩赦に関する国際刑事法の一般原則と一事不再理の関係
第一項 確定判決の要否
第二項 恩赦による後訴遮断効
第三項 国際刑事手続のプレミスの反映
◇小 括
◆第八章 一事不再理の適用例外
◇第一節 国内法における一事不再理適用例外と再審制度
第一項 再審制度
第二項 一事不再理適用例外との関係
◇第二節 国際刑事司法機関の諸規程における一事不再理適用例外
第一項 ICTY型
第二項 ICC型
第三項 一事不再理適用例外規則の原理
◇第三節 一般原則としての一事不再理適用例外
第一項 ECCCにおけるサリ事件――処罰徹底のための一般原則としての適用
第二項 11月3日決定の根拠――国際人権法における刑事手続に対する制限的措置の排除
◇第四節 処罰徹底を原理とする一事不再理適用例外の妥当性
第一項 一事不再理原則の原理と裁判徹底と処罰徹底の原理
第二項 刑事人権の視点からの問題性と処罰徹底原理の抑制
◇小 括
◆結 論
◇第一節 国際刑事手続法の体系性と独立性
第一項 検証過程のまとめ
第二項 分析結果
◇第二節 本研究の含意
第一項 国際刑事手続法の体系性と独立性を認識する意義
第二項 他の法分野への含意
〈付 録〉
一事不再理規定一覧
1 国内法における一事不再理規定
1-1 自国内
1-2 外国判決の効力
1-3 引渡法
1-4 国際裁判所との協力法
2 国際人権文書
3 武力紛争関連条約
4 国際刑事司法協力関連条約
4-1 引渡条約
4-2 刑事共助条約
4-3 その他
5 国際刑事司法機関の一事不再理規定
6 一事不再理規定の諸草案
6-1 人類の平和と安全に対する罪の法典
6-2 ICTY規程
6-3 ICC規程
・判例一覧
・文献一覧
・あとがき