目次
『環境法入門―対話で考える持続可能な社会』
辻 信一(福岡女子大学国際文理学部教授) 著
【目 次】
はしがき
本書の特徴
序 章
1 環境に価値を置く社会の到来
2 環 境 法 化
3 不確実な状況での法規制
4 今こそ環境法を知ろう
第1章 法律とは何か
コラム1-1:心の目
1 法律とは何か
◆対 話
〚法律の存在意義〛
〚法律の特徴〛
〚社会契約説〛
2 法律の始まり
◆対 話
〚法律の誕生〛
3 成文法の登場
コラム1-2:ローマ法大全
◆対 話
〚成文法の登場〛
〚法律解釈の始まり〛
4 慣 習 法
(1) 慣習法とは
(2) 民法における慣習の位置づけ
(3) 商法における慣習の位置づけ
(4) 刑法における慣習の位置づけ
◆対 話
〚今日の慣習法〛
5 判例と判例法
◆対 話
〚判例の影響力〛
〚判例と先例拘束性の原則〛
〚わが国における判例の重要性〛
6 条理と裁判
(1) 条 理 と は
(2) 法 の 欠 缺
◆対 話
〚慣習と条理〛
7 法律の解釈
(1) 解釈の方法
(2) 解釈の手掛かり
(3) 解釈において考慮すべき点
◆対 話
〚解釈の重要性〛
〚電気窃盗事件〛
〚文理解釈とその限界〛
〚類推適用〛
第2章 環境法の特徴
1 環境保全と環境法
コラム2-1:共有地の悲劇
◆対 話
〚共有地の悲劇の背景〛
〚地下水利用による地盤沈下〛
2 持続可能な発展
◆対 話
〚成長の限界と石油危機〛
〚地球環境問題の登場〛
〚ブルントラント報告の意義〛
3 予 防 原 則
◆対 話
〚アメリカにおける予防原則〛
〚順応的管理〛
4 汚染者負担原則
(1) 汚染者負担原則とは
(2) 汚染者負担原則の考え方の発展
(3) 汚染者負担原則の拡大と拡大生産者責任
◆対 話
〚OECDの汚染者負担原則〛
〚公共事業による環境回復〛
第3章 公害対策の歩み
1 足尾鉱毒事件
◆対 話
〚鉱山による公害の始まり〛
〚田中正造の尽力〛
〚足尾鉱毒問題の調停〛
2 煤煙低減対策
コラム3-1:「公害」の由来
◆対 話
〚熱管理による煤塵の低減〛
〚わが国における燃焼指導〛
3 水質二法の制定
◆対 話
〚水質二法以前のわが国の法令〛
〚ばい煙規制法の制定〛
4 公害対策基本法の制定
◆対 話
〚公害対策基本法の意義〛
〚調和条項の背景〛
第4章 水俣病の教訓
1 水俣病とは
◆対 話
〚水俣病の被害〛
2 水俣病発生時の対応
水俣病発生時の年表(1956年~1959年)
(1) 水 質 二 法
(2) 漁業調整規則
(3) 食品衛生法
コラム4-1:ネコを用いた二つの実験
◆対 話
〚水俣病の拡大防止の可能性〛
〚水俣病と水質二法〛
〚漁業法および漁業調整規則〛
〚水俣病と食品衛生法〛
〚法令の不適用と水俣病の拡大〛
3 水俣病被害者の救済
水俣病被害救済の年表(1968年~2009年)
(1) 被害者救済法の成立経緯
(2) 被害者認定の問題点
(3) 政治決着の試み
(4) 水俣病事件関西訴訟最高裁判決
(5) 水俣病特別措置法の制定
◆対 話
〚救済されない被害者〛
〚水俣病の政治決着〛
〚水俣病事件関西訴訟〛
〚水俣病特別措置法の制定〛
第5章 水質汚濁対策
1 水質汚濁対策の特徴
(1) 水質汚濁対策の全体像
コラム5-1:水循環基本法と雨水の利用の推進に関する法律
(2) 環 境 基 準
コラム5-2:BODとCODの違い
(3) 排 水 基 準
(4) 公害防止協定
(5) 生活排水対策
コラム5-3:利根川取水停止事件―前駆物質の規制は必要か
◆対 話
〚環境基準と排水基準〛
〚地下水の汚染防止〛
2 総 量 規 制
◆対 話
〚閉鎖系水域における総量規制〛
〚水質の総量規制が直罰主義ではない理由〛
〚総量規制基準の決定方法〛
3 無過失責任
◆対 話
〚無過失責任の対象〛
〚無過失責任の根拠〛
第6章 大気汚染対策
1 大気汚染対策の全体像
◆対 話
〚最近の大気汚染対策〛
〚事業者の自主的取り組み〛
〚都市部の自動車排ガス対策〛
2 ばい煙規制
(1) K 値 規 制
(2) 硫黄酸化物と窒素酸化物の総量規制
(3) 直 罰 主 義
◆対 話
〚ばい煙対策の重要性〛
〚大気と水質の総量規制の違い〛
3 粉じん規制
◆対 話
〚アスベストの用途〛
〚アスベスト使用禁止の経緯〛
〚アスベスト被害の救済〛
4 揮発性有機化合物(VOC)対策
(1) VOCとは
(2) VOCの規制
◆対 話
〚VOC規制が直罰主義ではない理由〛
〚VOC規制における予防原則の適用〛
5 有害大気汚染物質対策
(1) 有害大気汚染物質とは
(2) 規制の経緯
◆対 話
〚有害大気汚染物質対策における予防原則の適用〛
〚VOC規制と有害大気汚染物質対策との違い〛
6 自動車排ガス規制
(1) 大気汚染防止法による自動車排ガス規制
(2) 自動車NOx・PM法による規制
コラム6-1:PM2.5とは
◆対 話
〚自動車排ガス中の有害物質発生のメカニズム〛
第7章 土壌汚染対策
1 土壌汚染対策の特徴
(1) ストック汚染
(2) 状 態 責 任
コラム7-1:ブラウンフィールド
◆対 話
〚土壌汚染対策の開始〛
2 土壌汚染対策法の概要
(1) 対象となる土地
(2) 規制の内容
(3) 汚染者負担原則の修正
コラム7-2:状態責任と汚染者負担原則の修正
◆対 話
〚土壌汚染対策法とダイオキシン類対策特措法との違い〛
〚遡及適用〛
〚所有者の責任〛
〚健康被害への限定〛
コラム7-3:掘削除去の抑制
第8章 景観の保全
1 景観の保全
コラム8-1:所有権と景観保全
◆対 話
〚公共の福祉による制約〛
〚建築協定〛
2 景観をめぐる訴訟
(1) 国立景観訴訟最高裁判決
(2) 鞆(とも)の浦景観訴訟
(3) 国立景観訴訟と鞆の浦景観訴訟との違い
◆対 話
〚景観利益における個人の価値観〛
〚景観の社会的評価〛
3 景観を守る法制度
(1) 景 観 法
(2) 都市計画法、文化財保護法などによる景観保全
(3) 古都保存法などによる景観保全
コラム8-2:個人の財産権の尊重
◆対 話
〚景観計画〛
〚景観計画区域における制限〛
〚美観地区と景観地区の違い〛
〚歴史的景観の保護〛
第9章 自然環境の保全
1 景観の保全から生物多様性の保全へ
◆対 話
〚生物多様性の保全の始まり』
〚法律による生物多様性の保全〛
2 自然環境保全法と自然公園法
(1) 自然環境保全法
コラム9-1:自然環境保全法の制定
(2) 自然公園法
◆対 話
〚自然公園法と自然環境保全法〛
〚財産権と公益との調整〛
〚自然公園における生物多様性の保全〛
3 自然再生推進法
(1) 制定の背景
(2) 基 本 理 念
(3) 概 要
コラム9-2:森林経営管理制度の導入
◆対 話
〚順応的管理〛
〚透明性の確保〛
第10章 循環型社会の形成
1 循環型社会とは何か
◆対 話
〚循環型社会〛
〚二重の基本法〛
〚廃棄物とリサイクル〛
〚循環型社会形成の仕組み〛
2 循環型社会形成推進基本法
(1) 制定の背景
(2) 概 要
◆対 話
〚廃棄物と廃棄物等〛
〚熱回収の位置づけ〛
〚拡大生産者責任〛
3 廃棄物処理法
(1) 全 体 像
(2) 廃棄物とは何か
コラム10-1:おからは産業廃棄物か
(3) 廃棄物処理業の許可
(4) 産業廃棄物の中間処理施設と最終処分場
コラム10-2:福津市最終処分場事件
(5) 一般廃棄物の中間処理施設と最終処分場
(6) 不法投棄対策
コラム10-3:硫酸ピッチの不法投棄
コラム10-4:豊島における産業廃棄物不法投棄事件
◆対 話
〚不要物とは〛
〚産業廃棄物処理業と一般廃棄物処理業の許可要件の違い〛
〚産業廃棄物焼却施設の差止め〛
4 容器包装リサイクル法
(1) 制 定 経 緯
(2) 概 要
コラム10-5:ライフ事件
◆対 話
〚負担の不平等〛
〚ライフ事件と拡大生産者責任〛
〚事業者から市町村への資金の拠出〛
5 有害廃棄物の越境移動対策
(1) バーゼル条約
(2) バーゼル法
◆対 話
〚再使用製品の輸出〛
コラム10-6:プラスチック資源循環促進法の制定
第11章 化学物質の管理
1 化学物質のリスク
(1) 化学物質のリスクとは
コラム11-1:予想外だったDDTによる環境汚染やフロンによるオゾン層破壊
(2) 化学物質のリスク評価
(3) 化学物質の有害性と閾値
コラム11-2:複合汚染はあり得るのか
◆対 話
〚有用な物質に潜むリスク〛
〚生涯にわたる摂取〛
〚複合作用〛
2 法律による化学物質管理
(1) 工業製品による環境汚染の発生
コラム11-3:PCBによる環境汚染問題
(2) 法律による化学物質管理
コラム11-4:既存化学物質問題とは
◆対 話
〚環境残留性と生体蓄積性〛
〚既存化学物質問題〛
〚PRTR制度の意義〛
第12章 原子力発電
1 原子力発電は必要か
(1) 原子力発電の必要性と利点
(2) 原子力発電の問題点
コラム12-1:伊方原発訴訟における技術的・専門的審査
◆対 話
〚わが国の原子力発電所数〛
〚稼働原発数〛
〚原子力の監督機関の再編〛
2 原子力発電の仕組みと核燃料サイクル
(1) 原子力発電の仕組み
(2) 核燃料サイクル
(3) 高速増殖炉
(4) 放射性廃棄物
◆対 話
〚プルトニウムの純度〛
〚プルサーマル〛
〚使用済み核燃料〛
3 福島原発事故
(1) 事故の発生
(2) 周辺地域の汚染
コラム12-2:チェルノブイリ原発事故
◆対 話
〚福島第一原発の立地場所〛
〚非常用ディーゼル発電機の設置場所〛
〚汚染原因〛
〚除染〛
〚避難からの復帰〛
第13章 気候変動への対応
1 気候変動問題とは何か
(1) 温暖化はなぜ起こる?
(2) 気候変動問題
コラム13-1:緩和策と適応策
◆対 話
〚温室効果ガスである水蒸気〛
〚地球温暖化が生態系に与える影響〛
2 気候変動枠組条約
(1) 条約の成立
コラム13-2:IPCC
(2) 条約の内容
コラム13-3:枠組み条約
◆対 話
〚IPCC評価報告書〛
〚枠組み条約〛
3 京都議定書
(1) 京都議定書の採択
(2) 京都メカニズム
コラム13-4:共通だが差異ある責任
(3) 京都議定書の成果
◆対 話
〚京都議定書の意義〛
〚京都議定書の第二約束期間〛
〚京都メカニズムの意図〛
〚京都議定書からのアメリカの離脱〛
〚京都議定書の効果〛
4 パ リ 協 定
(1) パリ協定の成立
(2) パリ協定の意義
(3) パリ協定の主な内容
(4) パリ協定の課題
◆対 話
〚パリ協定に対するアメリカの動向〛
〚パリ協定での国際協力〛
〚パリ協定の課題〛
5 国内での取組み
(1) 政府による取組みの開始
(2) 京都議定書目標達成計画
コラム13-5:わが国の排出量取引制度
(3) パリ協定の成立とわが国の対応
(4) 地球温暖化対策計画と報告制度
コラム13-6:わが国の炭素税
(5) カーボンニュートラルの理念の明示
コラム13-7:カーボンニュートラル
(6) 省エネ法による取組み
コラム13-8:アメリカのCAFE規制と日本のトップランナー制度
(7) 再生可能エネルギーの普及
(8) 気候変動適応法の制定
◆対 話
〚カーボンニュートラルの根拠〛
〚カーボン・オフセット〛
〚カーボン・クレジット〛
〚トップランナー制度の目標基準値〛
〚FIP制度導入の意義〛
第14章 生物多様性の保全
1 生物多様性とは何か
コラム:14-1:生態系サービス
◆対 話
〚絶滅危惧種〛
〚絶滅危惧種の保護と生物多様性の保全〛
2 国際的取組み
(1) 生物多様性条約
(2) カルタヘナ議定書
(3) 名古屋・クアラルンプール補足議定書
(4) 名古屋議定書
(5) ワシントン条約
(6) ラムサール条約
◆対 話
〚伝統的知識〛
〚派生物〛
〚遡及適用問題〛
3 国内での取組み
(1) 生物多様性基本法
コラム14-2:生物資源管理の基本原則
(2) 生物多様性地域連携促進法
(3) カルタヘナ法
(4) 外来生物法
◆対 話
〚地球温暖化防止と生物多様性の保全との関係〛
〚生態系サービスと持続可能な発展〛
〚里山の重要性〛
〚アンブレラ法と横断条項〛
第15章 SDGsへの対応
1 持続可能な開発と国連環境開発会議
(1) 先進国と発展途上国の対立
(2) 持続可能な発展の提唱
(3) 国連環境開発会議の開催
◆対 話
〚「開発」の明示〛
〚リオ宣言における経済開発〛
〚アジェンダ21における経済開発〛
2 わが国の環境基本法の制定
(1) 背 景
(2) 特 徴
(3) 主 な 内 容
(4) 今後の課題
◆対 話
〚基本法におけるプログラム規定〛
〚環境基本法における予防原則の扱い〛
〚持続可能な発展と調和条項〛
〚市民参加〛
3 わが国における環境影響評価
(1) 環境影響評価とは
(2) 環境影響評価法の概要
(3) 環境影響評価法の役割
◆対 話
〚事業者による環境影響評価の実施〛
〚戦略的環境アセスメント〛
〚市民の意見提出〛
4 SDGsの提唱と展開
(1) ミレニアム開発目標(MDGs)
(2) 持続可能な開発目標 (SDGs)の採択
(3) SDGsの世界的目標
(4) 目標に付随する169の達成基準項目
(5) SDGsの5つのP
◆対 話
〚SDGsにおける市民の行動〛
〚目標の多様性〛
5 SDGsに対するわが国の取組み
(1) SDGs実施指針
(2) SDGsアクションプラン
コラム15-1:マイクロプラスチック問題
(3) SDGs未来都市
(4) ジャパンSDGsアワード
◆対 話
〚SDGsと地方創生〛
〚SDGsと環境教育〛
〚わが国の達成度〛
6 企業の取組み
(1) SBTと企業活動
(2) RE100イニシアティブ
(3) わが国の経団連の取組み
◆対 話
〚SDGsとESG投資』
〚わが国企業の課題〛
第16章 環境紛争の解決
1 裁判による解決
(1) 民 事 訴 訟
コラム16-1:環境権はなぜ認められないのか
(2) 行 政 訴 訟
〖判例〗小田急高架訴訟最高裁大法廷判決(平成17年12月7日)
〖判例〗医薬品ネット販売規制省令事件訴訟最高裁判決(平成25年1月11日)
〖判例〗泡瀬干潟事件(第2次)訴訟福岡高裁那覇支部判決(平成28年11月8日)
〖判例〗二風谷(にぶたに)ダム事件訴訟札幌地裁判決(平成9年3月27日)
コラム16-2:厚木基地をめぐる民事訴訟と行政訴訟
◆対 話
〚大阪空港訴訟〛
〚もんじゅ訴訟〛
2 公害調停制度等
(1) 公害等調整委員会
(2) 公害苦情相談員
コラム16-3:足尾鉱毒事件と公害調停
◆対 話
〚スパイクタイヤによる粉じん被害の調停〛
〚豊島事件の調停〛
終 章
1 毎日の生活の中の環境法
2 国際情勢に連動する環境政策
3 SDGsの先にあるもの
《参考》環境法を学ぶための教科書・参考書
(1) 入 門 書
(2) 基 本 書
(3) 判 例 集
事 項 索 引(巻末)
判 例 索 引(巻末)