目次
『フランス労働法概説』(法律学の森シリーズ)
野田 進(九州大学名誉教授) 著
【目 次】
◆第Ⅰ編 労働法の基本原理◆
◆第1章 フランス労働法の世界
第1節 労働法の体系と構成
1 本書の構成
2 労働法の主要規範
(1) 労働法典
(2) 憲法と労働法規範
(3) EU法・国際法
(4) 判 例
第2節 現代労働法の骨格形成
1 現代労働法を形成した基本立法
(1) 4つの分岐点
(2) マティニョン協定と立法(1936年)
(3) 戦後労使関係法制(1950年)
(4) オルー法(1982年)
(5) エル・コームリ法(2016年)とマクロン・オルドナンス(2017年)
第3節 「規範の逆転」と社会的対話
1 規範序列の逆転
(1) 労働法の新たな建築様式
(2) [Ⅰ 公序]の領域
(3) [Ⅱ 労働協約]の領域=協約規範の優位
(4) [Ⅲ 補充規定]の領域
2 現代労働法形成へのインパクト
(1) 労働法改革とその動因
(2) 社会的対話
◆第2章 労働法の基本原理――自由と平等
第1節 労働者の人権と自由
第2節 労働関係における自由
1 企業内の労働者の自由
2 労働者の企業内意見表明権
(1) 制度の趣旨
(2) 意見表明権の行使
3 自由の制限への禁止
(1) 労働者の自由に関する一般規定
(2) 個人的領域への介入
(3) 労働者のデジタル情報の管理
第3節 差別の禁止または平等保障
1 差別禁止の規範構造
(1) 規範の全体像
(2) 「差別禁止」から「平等」の実現へ
(3) 「職業的」差別禁止から「男女間」平等へ。再び「職業的」平等へ
2 多様な属性による職業差別の禁止
(1) 基本規定
(2) 禁止される差別基準と差別行為
(3) 直接差別と間接差別
(4) 訴訟の提起と違反への制裁
3 男女間の「職業的平等処遇」の展開
(1) 法制の発展
(2) 禁止行為
(3) 訴 訟
第4節 ハラスメントの禁止
1 法制の概容
2 モラルハラスメント
(1) 定 義
(2) 該当性の主な要素
(3) 違反の効果
3 セクシュアル・ハラスメント
(1) 定義と法制
(2) 該当性の主な要素
4 共通規制
(1) 立証法則
(2) ハラスメント予防措置
◆第3章 労働市場と雇用
第1節 企業と雇用
1 職務分類と格付け
(1) 雇用の提供(求人)
(2) 職務分類
(3) 個別労働者の配置と紛争
2 職業カテゴリー
(1) 意 義
(2) 現場労働者と月給化措置
(3) 職員と現場労働者
(4) 幹部職員(カードル)
(5) 労働契約形態
第2節 雇用政策の諸制度
1 雇用政策の広がり
(1) 「失業との闘い」
(2) 雇用政策の展開
2 雇用保障の制度枠組
(1) 雇用公共サービス
(2) 雇用センター
(3) その他の機関
3 外国人労働者の雇用
(1) 政策理念の変遷
(2) 外国人労働者の入国原則
(3) 滞在資格と労働許可の一体化
(4) 使用者の義務と制裁
(5) 外国人労働者の労働条件
第3節 職業紹介
1 職業紹介の事業
2 求職活動
(1) 求職者登録
(2) 求職支援活動と登録抹消
第4節 失業者の所得補償
1 失業保険制度の展開
2 代替所得
3 失業保険給付
(1) 受給要件
(2) 支給額および支給期間
4 特定連帯給付
5 自営就業者給付
6 部分活動(部分失業)
(1) 意 義
(2) 部分活動の利用
(3) 部分活動補償手当
(4) 労働契約の変更と停止
第5節 雇用保障としての職業訓練
1 職業訓練の意義と制度構築
(1) 使用者の職業訓練の義務
(2) 職業訓練の制度構築
(3) 職業訓練の管理・運用
2 職業訓練個人口座
(1) 意義と目的
(2) 職業訓練個人口座の仕組み
3 転職プロジェクト
(1) 制度の意義と特徴
(2) 適用条件と審査
(3) 特別休暇
(4) 財政的支援
◆第Ⅱ編 個別的労働関係法◆
◆第1章 労働契約総説
第1節 労働契約論の生成と発展
1 「労働契約」論の生成
(1) 労働契約立法の生成
(2) 労働契約理論と従属性論
2 労働契約論への批判
(1) 「身分」と「擬似労働契約」
(2) 企業理論
(3) 企業理論の背景と後退
3 「労働契約」法
(1) 「労働契約」法の形成
(2) 労働契約法の自律性
第2節 労働契約の意義
1 労働契約の一般的性格と定義
(1) 労働契約の一般的特質
(2) 労働契約の定義の試み
2 従属的関係
(1) 従属性法理の確立
(2) 法的従属性の主要な判断指標
(3) その他の指標
(4) 従属性の判断方法
3 特定の就業者への労働法の適用
(1) 労働法典の適用の法定
(2) 第1タイプ=労働契約の推定
(3) 第2タイプ=労働法典の部分適用
(4) 第3タイプ=プラットフォームの「社会的責任」
(5) 契約アプローチと法適用アプローチの交錯
4 使用者の決定
(1) 使用者の意義
(2) 多様な三者間労働契約の方式
(3) 使用者責任の及ぶ範囲
◆第2章 労働契約の成立と内容
第1節 期間の定めのない労働契約の成立
1 緒 説
(1) 期間の定めのない契約の原則
(2) 採用の自由
(3) 採用の自由の制限
2 採用過程における自由の規制
(1) 「公的自由と雇用」
(2) 募集・採用における自由と平等
(3) 募集・採用過程の情報収集
3 労働契約の締結の形式的要件
(1) 契約書面と契約内容の証明
(2) 契約書の言語
(3) 採用にかかわる手続等
4 実体的要件
(1) 合意の交換と有効性
(2) 一般法(民法典)上の有効要件
(3) 労働契約の内容
第2節 当事者の権利義務
1 労働契約に基づく権利義務
2 使用者の義務
(1) 報酬支払い義務と仕事付与義務
(2) 信義に従った履行の義務
(3) 義務違反の帰結
3 労働者の義務
(1) 労務給付義務
(2) 付随的義務
第3節 労働契約の特別条項
1 労働契約の条項の意義
(1) 労働契約の「条項」の広がり
(2) 適法性――「契約的条項」と「参考的条項」
2 労働契約の各種の条項
(1) 試用条項
(2) 異動条項
(3) 研修費違約条項
(4) 目標条項・成果条項
(5) 競業避止条項
◆第3章 労働契約の展開
序 説
第1節 労働契約の変更
1 労働契約の変更の理論
(1) 緒 論
(2) 基本原理の展開
2 労働契約の変更法理の適用
(1) 労働契約の「本質的変更」から「労働契約の変更」へ
(2) 「労働契約の変更」の一般的基準
(3) 「労働契約の変更」該当性の判断
3 労働契約の変更の帰結
(1) 立法的解決(1993年の立法)
(2) 変更の承諾
(3) 変更の拒否
4 労働契約の変更と集団的成果協定
(1) 集団的成果協定の出現
(2) 集団的成果協定による労働契約の変更
(3) 集団的成果協定のもつ意味
5 テレワーク
(1) 立法規整と位置づけ
(2) 通常時テレワーク
(3) 非常時テレワークの実施
第2節 労働契約の停止
1 労働契約の停止の原因
(1) 労働契約の停止の意義
(2) 定義・要件・効果
(3) 停止の競合
2 傷病による労働契約の停止(=病気休暇)
(1) 病気休暇をめぐる諸原則
(2) 契約停止の開始
(3) 停止(病気休暇)の終了
(4) 停止期間終了後の解雇
(5) 労働者の再配置
(6) 労災職業病の場合の特例
第3節 労働契約の移転
1 使用者の法的地位の変更と労働契約の移転
2 適用範囲と要件
(1) 適用範囲:「使用者の法的地位の変更」の意味
(2) 要 件
3 法的効果=労働契約の移転
(1) 経済的解雇との関わり
(2) 移転前の使用者の義務
(3) 移転後の使用者の義務
(4) 本条違反の解雇の効果
(5) 雇用保護プランと本条適用
4 集団的労働関係上の義務
(1) 社会経済委員会の委員および組合委員
(2) 労働協約
(3) その他の義務
◆第4章 解 雇
序 説
(1) 解雇の労働法体系上の位置
(2) 「枠づけられた」終了原因
(3) 雇用政策としての終了法制
第1節 解雇規制の基本原理
1 解雇規制立法の発展
(1) 解雇権濫用法理の時代
(2) 解雇制限立法の生成・発展
(3) 解雇規制の緩和
2 解雇規制の概要
(1) 人的事由による解雇と経済的事由による解雇
(2) 解雇の法的規制
第2節 解雇の基本規制
1 「人的事由」による解雇
(1) 解雇の手続
(2) 解雇理由の適法性=「真実かつ重大な理由」
2 不適法な解雇の帰結(制裁)
(1) 解雇が「真実かつ重大な理由」によらない場合
(2) 解雇手続を遵守しない場合の制裁
3 解雇の無効
(1) 解雇の無効と復職の限定
(2) 無効な解雇の場合の補償手当
4 解雇通告の帰結
(1) 解雇予告および解雇手当
(2) 解雇予告
(3) 解雇手当
第3節 経済的解雇の規制
1 経済的解雇の概念
(1) 経済的解雇の規制課題
(2) 経済的解雇の定義
2 労働者の再配置と経済的解雇の正当性
(1) 労働者の再配置
(2) 経済的解雇の「真実かつ重大な理由」
(3) 被解雇者の選定基準
3 経済的解雇の実施
(1) 概 要
(2) 継続30日間に10人未満の集団的解雇の場合
(3) 継続30日間に10人以上の集団的解雇(=大量解雇)の場合
4 経済的解雇に付随する雇用調整措置
(1) 雇用保護プラン
(2) その他の付随措置
◆第5章 解雇以外の労働契約の破棄
第1節 序 説
1 労働契約の破棄
2 労働市場政策(GPEC)としての労働契約破棄
第2節 契約の本来的性質による破棄方式
1 辞 職
(1) 意義と立証=「辞職は推定されない」
(2) 辞職の効力と法的評価変更
(3) 辞職の自由の制限
2 合意解約
(1) 合意解約への懐疑
(2) 合意解約の適法性
(3) 合意解約の制限
3 破棄確認
(1) 一般的意義
(2) 労働者による破棄確認
(3) 使用者による破棄確認
(4) 全体的意義
4 裁判上の解除
(1) 判例の変遷
(2) 使用者による裁判上の解除
(3) 労働者による裁判上の解除
第3節 労働市場政策のための戦略的な破棄方式
1 約定解約
(1) 意 義
(2) 利用範囲
(3) 約定解約の実施
(4) 約定解約による契約破棄の帰結
(5) 争訟と評価
2 集団的約定解約
(1) 集団的約定解約の導入と意義
(2) 集団的約定解約の手続
(3) 効果=合意による契約破棄
(4) 集団的約定解約の法制度の意義
3 工事・オペレーション契約の破棄
(1) 工事・オペレーション契約の意義
(2) 適用範囲の拡張
(3) 部門協約等の要件
(4) 工事・オペレーション契約における破棄
(5) 工事・オペレーション契約の評価
4 引退の諸制度
(1) 引退制度の発展
(2) 引退措置
(3) 引退退職
◆第6章 有期労働契約・派遣労働契約
序 説
第1節 有期労働契約
1 無期契約原則とその実情
(1) 無期原則の動揺
(2) 有期労働契約の実情
2 有期労働契約の締結の条件
(1) 実体的条件
(2) 手続要件
3 有期労働契約の利用
(1) 契約の期間
(2) 労働条件における平等原則
4 有期労働契約の終了
(1) 期間途中の解約の制限と試用期間
(2) 期間満了による契約終了と不安定手当
(3) 契約の「更新」
(4) 契約終了後の新契約の締結
5 法違反の制裁=再性質決定
(1) 再性質決定
(2) 再性質決定の手続と手当支給
(3) 再性質決定の請求
(4) 期間の定めのない労働契約への回帰
(5) 罰 則
第2節 派遣労働契約(ミッション契約)
1 労働者派遣の法制と実状
(1) 法制の展開
(2) 統計的実情の概要
2 派遣企業と派遣可能事業
(1) 派遣の定義と派遣企業
(2) 派遣利用目的の限定列挙
(3) 利用提供契約
3 ミッション契約(派遣労働契約)
(1) 形式的要件・試用期間
(2) ミッション契約の内容、終期と期間
(3) 派遣労働者の地位と平等原則
(4) ミッション契約の終了
4 違反の場合の再性質決定
(1) 自動変換と規定違反変換
(2) 二重の再性質決定
第3節 その他の三者間労働契約
1 業としない労働力貸与
(1) 非営利貸与の一般方式
(2) 使用者グループの雇用方式
2 営利目的の労働力貸与(派遣を除く)
(1) 時間シェアリング労働
(2) 仲介社団および対人サービス社団
3 賃金移送
(1) 意 義
(2) 賃金移送の実施条件
(3) 労働者の役務提供
(4) 賃金移送企業との労働契約
◆第7章 就業規則と懲戒
第1節 使用者の労務指揮権と就業規則
(1) 使用者の労務指揮権と企業理論=「契約」対「企業」
(2) 法理の展開=「唯一判断者の法理」と「企業利益論」
(3) 立法的帰結
第2節 就業規則の規制
1 序 説
(1) 就業規則の形成と発展
(2) 1982年・2019年の法律
2 就業規則の作成義務と作成手続
(1) 作成義務と社会経済委員会への意見聴取
(2) 周知、意見聴取、届出の義務
3 就業規則の記載事項
(1) 記載事項の範囲
(2) 記載禁止事項・中立性条項
(3) 業務指示書等
4 就業規則の審査
(1) 行政的審査
(2) 司法審査
5 一方的債務負担
(1) 一般的意義
(2) 適用領域
(3) 法的位置づけ
第3節 懲戒権限と労働者の保護
1 序 説
2 懲戒処分
(1) 懲戒の意義と種類
(2) 金銭的制裁の禁止
3 懲戒的非行
(1) 業務命令・義務違反
(2) 個人領域での非行
(3) 正当な権利行使
4 懲戒処分の手続
(1) 面談手続
(2) 懲戒処分における「時効」
5 懲戒の審査
(1) 労働審判所での判断方法と処分取消
(2) 懲戒解雇の場合の特例
◆第8章 労働契約紛争の解決
第1節 労働契約紛争の解決システム
1 緒説――個別的労働紛争解決のフランス的特色
(1) 個別的労働紛争解決のフランス的特色
2 裁判制度の中の労働審判所
3 発展の概要
第2節 労働審判所
1 管 轄
(1) 労働契約に関する紛争
(2) 集団的労働紛争
2 労働審判所の組織
(1) 「局」および「室」への分属
(2) 裁判体
3 労働審判の手続
(1) 申 立
(2) 調停指導部
(3) 判定部と上訴
第3節 労働審判官
1 緒論――指名制度への転換
2 選任方法
(1) 指名制度
(2) 候補者リスト
3 活動と身分
(1) 研 修
(2) 任務の遂行
(3) 規律と身分保障
◆第Ⅲ編 集団的労働関係法◆
◆第1章 集団的労働関係の構造
第1節 利益代表システムとしての集団的労働関係
1 集団的労使関係の多様性と共通性
2 フランス集団的労働関係の特質
第2節 二元的代表システム
1 二元的代表システムの確立
2 二元的代表システムの変容
3 本編の構成
◆第2章 労働組合の法的地位
第1節 労働組合の概要
1 労働組合運動の発展
(1) 労働組合の設立および活動の自由(ワルデック・ルソー法)
(2) 労働組合運動の統一
(3) 労働組合運動の分裂と複数組合原則
2 労働組合の組織構造
(1) 労働組合(サンディカ)
(2) 労働組合組織の構成
第2節 労働組合の法構造
1 労働組合の法原則
(1) 「組合の自由」
(2) 組合権
2 労働組合の設立
(1) 自由設立主義
(2) 労働組合の構成員
(3) 使用者組合
(4) 労働組合の目的
(5) 組合規約の預託と法人格
3 組合加入と内部統制
(1) 組合加入の自由
(2) 内部統制
(3) 労働組合の財政
(4) 労働組合の解散と分裂
第3節 「最も代表的な」労働組合組織
1 「代表性」という問題
2 代表性の利益と判断基準
(1) 代表性の利益
(2) 代表性の判断基準
(3) 代表性の評価
第4節 組合活動
1 労働者の利益の擁護
2 企業外での組合活動
(1) 要求活動
(2) 公的活動と「社会的対話」
(3) 訴訟活動と訴権
3 企業レベルの組合活動
(1) 企業内の組合権の行使
(2) 組合支部の設立と活動
(3) 組合代表委員
(4) 企業レベルでの労働組合の役割のパラドクス
◆第3章 団体交渉・労働協約の基本構造
第1節 予備的考察
1 緒論(=本章および次章の概容)
2 立法の形成
(1) 概 容
(2) 規範的効力の承認:1919年法
(3) 拡張適用制度の導入:1936年法
(4) 制度の総合と基盤確立:1950年法
(5) 1950年法体制からの改変
(6) 「規範の逆転」
2 前提となる基本情報
(1) 団体交渉・労働協約の「レベル」
(2) 集合(会議体)方式の団体交渉
(3) 協約と協定の区別
(4) 「義務的交渉」の構造
第2節 労働協約の成立
1 締結当事者と要件
(1) 労働協約・協定の当事者
(2) 協約の形式および手続
(3) 多数派協定の要件と異議申し立て
2 労働協約・協定の共通条項と存続期間
(1) 労働協約の共通条項
(2) 労働協約・協定の存続期間
第3節 労働協約の適用
1 通常適用
(1) 適用開始
(2) 適用すべき協約の決定
(3) 普通適用の効力
2 「加入」による適用
3 拡張適用および拡大適用
(1) 拡張適用と拡大適用
(2) 拡張適用の要件と手続
(3) 拡張の省令とその効果
(4) 労働協約の「拡大」適用
第4節 労働協約の効力
1 即時的効力
2 強行的効力
(1) 強行的効力と有利原則
(2) 直律的効力(内容化体)の否定と契約の「抵抗力」
(3) 自動的効力と外部規律(置き換え)の法理
第5節 労働協約の改定と破棄
1 労働協約の改定
(1) 改定問題の複雑さ
(2) 改定の要件をめぐる制度経過
(3) 2016年法による現行制度
2 労働協約の破棄
(1) 協約破棄の複雑さ
(2) すべての当事者による破棄
(3) 労使の一部当事者のみによる破棄
(4) 報酬の維持
3 協約・協定の変動
第6節 労働協約の履行と確実化
1 労働協約の遵守義務
2 協約条項の履行と民事訴訟
3 労働協約条項の取消と「確実化」
(1) 労働協約における適法性の推定
(2) 無効宣告訴訟の出訴期間の制限
(3) 協約取消の遡及効の制限
4 刑事的・行政的制裁
(1) 刑事制裁
(2) 労働監督官の監督権限
◆第4章 各レベルの労働協約とその連結
第1節 部門協約および職際協定
1 部門協約の意義と役割
(1) 部門協約の意義
(2) 部門協約の「使命」とその縮減
2 部門協約の制定
(1) 部門交渉の義務
(2) 交渉方式
(3) 多数派協約の要件
3 部門協約の適用
(1) 適用範囲
(2) 部門の再構築
(3) 労働協約の使用者への拘束
(4) 部門協約の土地的競合
(5) 部門協定の適用監視と企業協定援助
4 職際レベルの交渉と協定
(1) 意 義
(2) 多数派協定の要件
第2節 企業レベルの交渉と企業協定
1 序説――企業協定への重点化
2 企業レベルの交渉単位
(1) 企業と事業所
(2) グループ交渉および「企業際」交渉
3 原則的な交渉方式と交渉担当者
(1) 《古典的な》交渉当事者
(2) 交渉担当者の構成
4 労働者が50人未満の中小企業での団体交渉の方式
(1) 経緯=「非典型」協定の発展
(2) 労働者が50人未満の企業での特例方式
5 労働者が50人以上の企業での交渉方式
(1) 中規模企業での交渉促進
(2) 交渉方式の段階
6 交渉事項
7 小 括
(1) 「労働組合不在の団体交渉」と「団体交渉不在の協定締結」
(2) 「レフェランダム」の合憲性
第3節 協約規範の適用序列と連結
1 概 説
(1) 適用可能性と規範の抵触
(2) 適用規範の決定
2 部門協約と企業協定の逆転
(1) 部門協約と企業協定の連結関係
(2) 「有利原則」から「同等性」へ
3 集団的成果協定――労働協約と労働契約の新たな関係
(1) 労働契約の「抵抗力」
(2) 集団的成果協定への統合
(3) 集団的成果協定の目的・対象事項および記載事項
(4) 交渉と有効要件
(5) 集団的成果協定の効力
(6) 「特種の事由」による解雇
◆第5章 従業員代表組織
第1節 従業員代表組織の展開
1 選出代表制度の発展
(1) 社会経済委員会の創設
(2) 二元的代表システムの確立と変容
2 社会経済委員会への統合
(1) 旧制度の概要
(2) 統合への動き
第2節 社会経済委員会の設置
1 設置の枠組みと人員基準
(1) 設置単位としての「企業」
(2) 従業員の人員基準
2 社会経済委員会の構成
(1) 基本構成
(2) 協定に基づく近接代表
(3) 専門部会
3 従業員選出委員の選挙
(1) 職業選挙の開始と実施方法確認協定
(2) 選挙前確認協定
(3) 選挙・被選挙資格
(4) 男女間の均等代表(パリテ)
(5) 投 票
第3節 社会経済委員会の権限と活動
1 序 説
2 社会経済委員会の社会・文化活動
(1) 社会・文化活動の意義
(2) 運営および財政
3 経済的活動と権限
(1) 総 説
(2) 一般的権限
(3) 周回的諮問および情報提供
(4) 限回的な諮問および情報提供
(5) 社会経済委員会の警告権
4 社会経済委員会の運営
(1) 運営規則および執務室
(2) 会議と議事日程
(3) 専門部会
(4) 運営のための資金および研修
(5) 鑑定の利用
5 労働者11~49人の企業における社会経済委員会の権限
(1) 一般的権限
(2) 警告権
(3) 運 営
6 グループ委員会および欧州企業委員会
(1) グループ委員会の設置
(2) グループ委員会の活動
(3) 欧州企業委員会
第4節 従業員代表委員の活動手段と地位保障
1 従業員代表委員の活動手段
(1) 移動および巡回の自由
(2) 専従時間と活動
2 従業員代表委員の地位保障
(1) 要保護労働者
(2) 従業員代表委員の解雇
(3) 許可制度の目的と「解雇」の意義
3 解雇の行政許可の手続
(1) 労働監督官署の審査手続
(2) 労働監督官署の許可の判断
(3) 許可決定に対する不服申立および行政訴訟
4 行政決定の契約に対する効力
(1) 復職の権利
(2) 復職権の法理の形成
(3) 金銭的損害の補償および罰則
第5節 企業審議会
1 企業審議会の意義と設置
(1) 意 義
(2) 設置のための企業協定
(3) 設置協定の内容
(4) 設置の実質的効果
3 企業審議会の構成と権限
(1) 構 成
(2) 権 限
(3) 企業審議会の拒否権
◆第6章 集団的労働紛争
第1節 労働争議法制の発展と特質
1 法制度の発展
(1) 法規範の概要
(2) 歴史的経緯
2 労働争議のフランス的特性
(1) ストライキを中核とする権利
(2) 個人的特質
(3) 一方的権利
第2節 ストライキの権利
1 ストライキの定義と適法性
2 労働の集団的な中止
(1) 労働の実質的停止
(2) 労働の中止がなされる場所
(3) 労働中止の時期と期間
(4) 労働の中止の予告
3 共同意思による労働中止
(1) 組合なしのストライキ
(2) 少数派従業員のスト
4 「職業的要求」
(1) 使用者の処分権限と政治スト
(2) 連帯スト
第3節 ストライキ権の行使
1 ストライキと労働契約
(1) 労働契約の停止
(2) 解雇の禁止
(3) 解雇の無効とその法的帰結
2 ストライキと賃金
3 ストライキ権の濫用
(1) ストライキ権の「通常の行使」
(2) ストライキ権の濫用に当たる場合
第4節 ストライキへの対抗手段
1 ストライキ参加者の代替
2 ロックアウト
(1) ロックアウトの原則禁止
(2) 例外的に正当と認められる場合
3 損害賠償訴訟
(1) 一般原則
(2) 労働組合の責任
(3) スト参加労働者の責任
第5節 集団的労働紛争の平和的解決
1 総 説
2 平和的解決の法制度
(1) 発 展
(2) 法制度の概要
3 紛争解決の実際的方式
(1) 協議あっせん
(2) 裁判上の調停
第6節 公共部門におけるストライキ
1 公務従事者のストライキの権利
2 すべての公務従事者についての共通規制
(1) 規制の適用対象
(2) ストライキ予告の義務
(3) 「波状スト」の禁止
(4) 賃金控除の特別規制
(5) 緊急徴用の可能性
3 特定の公役務に対する特別規制
(1) ストライキの禁止
(2) 最小業務の確保
◆第Ⅳ編 労働条件の規制◆
◆第1章 序説――労働条件保護の構図
第1節 労働条件規制の構成
第2節 特別の労働者の雇用と労働条件
1 障害者の雇用と労働条件
(1) 制度の発展
(2) 障害をもつ就業者(障害就業者)の雇用
(3) 差別禁止と「適切な措置」
妊娠状態および母性の保護
(1) 妊娠状態および母性という地位
(2) 妊娠状態等の女性の採用・配転・解雇
(3) 妊娠中の女性の保護・健康診査
(4) 深夜業制限・危険業務の制限
第3節 労働条件の監督機構
1 労働監督制度の発展
2 監督機構
3 任務と権限
(1) 多様な任務
(2) 犯罪事実の確認および行政過料
◆第2章 報 酬
第1節 報酬および賃金の意義
1 用語法――報酬と賃金
2 賃金の算定期間および「月給化」
3 報酬の範囲
(1) 基本賃金
(2) 代替賃金
(3) 付帯賃金
第2節 賃金額の決定
1 概 要
2 法定最低賃金
(1) 制度の展開
(2) SMICとその適用範囲
(3) SMICの決定と適用
(4) 最低月額報酬
(5) 最低賃金の違反
3 集団的および個別合意に基づく賃金
(1) 労働協約による最低賃金
(2) 部門協約と企業協定の関係
(3) 労働契約による基本賃金
第3節 報酬の平等
1 報酬の平等の規範的位置
2 男女間の同一価値労働同一報酬の原則
(1) 法制の生成
(2) 意 義
(3) 違反の効果と訴訟
(4) 制度の限界
3 労働協約を通じた男女間の賃金格差の是正
(1) 「結果債務」の導入
(2) 格差是正の実現義務
(3) 義務的交渉事項の徹底
4 同一価値労働同一賃金の適用拡大
(1) 高次の原則としての同一労働同一賃金
(2) 「平等取扱い原則」への広がり
(3) 労働協約の規制と平等処遇原則
第4節 賃金支払いの法的規制
1 賃金の支払い規制
(1) 通貨払い
(2) 月給払い
(3) 賃金控除
2 賃金支払いの証明
3 賃金債権の時効と差押禁止
(1) 支払いの推定から保護へ(1年または6ヵ月→5年)
(2) 雇用の確実化と時効(5年→3年)
(3) 賃金債権の部分的差押禁止
4 賃金債権の保全
(1) 概 要
(2) 先取特権
(3) 賃金保険
第5節 労働者の利益参加および関与
1 制度の発展
2 企業利益への参加
3 利益関与
◆第3章 労働時間・休日・祝日・パートタイム労働
第1節 労働時間
1 労働時間規制・時短の発展
(1) 健康・安全のための労働時間制限
(2) 取引目標としての労働時間
(3) 雇用政策としての労働時間
(4) 「三層構造」の労働時間規制
2 労働時間の意義
(1) 実働時間
(2) 束縛時間
(3) 換算時間
3 法定労働時間と超過勤務時間
(1) 法定労働時間
(2) 超過勤務時間
4 変形労働時間制・フレックスタイム制・喪失労働時間の回復
(1) 総 説
(2) 週労働時間の調整(変形労働時間制)
(3) 週労働時間の個別的時制(フレックスタイム制)
(4) 喪失時間の回復
5 最長労働時間の規制
(1) 継続労働時間の制限
(2) 1日の最長労働時間
(3) 週の最長労働時間
(4) 兼業の場合の最長労働時間
6 深夜業
(1) 総 説
(2) 「深夜業」と「深夜就業者」の定義
(3) 深夜業の規制
(4) ナイター労働
7 労働時間の一括制
(1) 総 説
(2) 労働時間数についての週、月単位一括制
(3) 労働時間数についての年間一括制
(4) 日数についての年間一括制
第2節 休息・祝日…
1 休 息
2 日ごとの休息(=勤務間インターバル)
3 週ごとの休息(=週休)
(1) 原 則
(2) 週休制・日曜休日制の例外
(3) 週休日の休業命令
4 祝日・「連帯の日」
(1) 5月1日以外の祝日
(2) 5月1日(メーデー)
(3) 「連帯の日」
第3節 パートタイム労働・間歇労働
1 序 説
(1) パートタイム労働の位置づけ
(2) 制度の発展
2 パートタイム労働者の定義と労働契約
(1) 定 義
(2) 労働契約
(3) フルタイムとパートタイム間の相互移行
3 パートタイム労働の実施
(1) 最短労働時間および補足勤務時間
(2) 労働時間の配分
4 平等取扱い、集団的権利
(1) 平等取扱い
(2) 従業員代表
5 間歇労働
(1) 意 義
(2) 間歇労働契約
(3) 労働時間・報酬
(4) 平等取扱い
◆第4章 休 暇
序 説
第1節 年次有給休暇
1 法制度の発展と適用対象
2 取得要件
(1) 適用対象と権利構成
(2) 年休基準年度
3 年次有給休暇の権利(=日数)
(1) 原 則
(2) 算定方法
(3) 追加日数
4 年休の取得方法
(1) 取得可能時期と取得日程
(2) 年休の継続取得と分割
(3) 休暇取得の年次性原則
5 休暇手当と休暇代償手当
(1) 休暇手当
(2) 休暇代償手当
第2節 家族関連休暇
1 妊娠・出産と労働契約の停止
(1) 意 義
(2) 母親休暇
(3) 父親休暇
(4) 養子休暇
2 育児親休暇および子の看護休暇等
(1) 育児親休暇
(2) 子の看護休暇・付き添い親休暇
3 その他の家族関連休暇
(1) 家族行事休暇
(2) 看取り休暇(=家族連帯休暇)
(3) 近親者支援休暇
第3節 多様な法定休暇および「時間貯蓄口座」
1 多様な法定休暇
(1) 法定休暇の全体像
(2) サバティカル休暇
(3) 公益的・政治的・軍事的な社会参加のための休暇
(4) 職業訓練・起業活動休暇
2 時間貯蓄口座
(1) 口座への積立
(2) 口座の利用
◆第5章 労働者の健康および安全
第1節 労働者の健康と安全の確保
1 健康および安全の規制
(1) 健康・安全の規制と労働契約
(2) 労働法典の定め
2 労働における健康(衛生)および安全法制の展開
(1) ILO条約による促進
(2) 欧州共同体の要請
(3) 国内法の整備
(4) 衛生から健康へ
第2節 予防の一般原則
1 序 説
2 使用者の一般的予防義務
(1) 一般的予防義務
(2) 個別の予防義務
3 判例による「安全結果義務」
(1) 判例法の形成と発展
(2) 安全結果義務の射程
4 労働者への情報提供と安全教育
5 労働者の義務
第3節 警告権と退避権
1 労働者個人の警告・退去権
(1) 一般原則
(2) 警告権および退避権の行使の条件
(3) 警告権・退避権の行使の帰結
2 社会経済委員会の警告への展開
3 公衆の健康および環境に関する警告権
第4節 健康・安全の確保体制
1 内部的体制と外部的体制
2 社会経済委員会
(1) 安全衛生労働条件委員会の消滅
(2) 社会経済委員会(安全衛生労働条件部会)
3 職業危険予防の支援労働者
4 労働医
(1) 労働医の地位
(2) 労働医の役割
5 労働監督官
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・欧文索引