目次
夢 目次
もくじ
はじめに
Ⅰ 眠りと意識
1 『夢のまた夢』
2 どうして眠っていることがわかるのか
3 眠り始めの夢――入眠時心像(入眠時幻覚 or 半睡時幻覚)
4 眠っているときの意識
5 夢遊病
Ⅱ 夢変化
6 夢はまぼろし
7 目を閉じていても、ものが見える
8 色つきの夢――文字が読めない
9 聞こえる夢・音楽
10 嗅いだり、食べたり、珍しい夢
11 触る、痛い、歩く、走る
12 空を飛ぶ――身体から魂がぬけていく
あとがき
参考文献
図版出典一覧
休憩室
眠る・寝る・目覚める
脳の基礎知識
「悟り」と目覚め
睡眠中の学習
寝言
夢という文字
こびとの出てくる夢
シュルレアリズム
明晰夢と音刺激
知覚の言語への置き換え
脳イメージング画像や脳波を分析すると夢の内容がわかる
夢に見ゆ
前書きなど
夢 はじめに
眠っている間に見えるもの、目を閉じていても見えるもの、それが『夢』です。人類が始まって以来、多くの人々が自分の自由にならないこの不思議な現象に関心をもってきました。私たちの祖先にとって、夢は神霊と交信できる神聖な時間でもあり、悪夢にうなされる恐怖の時間でもあったのです。恋人に会えるうれしい時間でもありました。それが最近科学によって、夢が眠っている間の脳のはたらきの反映であることがわかってきました。
本書は『夢』を『現実』に引き出すつもりはありません。美しいもの、ロマンチックなものを科学のメスでベールを引き剥がして、味も素っ気もないものにしたいわけではありません。「美しい星空を眺めてロマンチックになる」のと「宇宙の神秘を探るワクワクの好奇心」とが同時に存在すると思ってください。
今までは、覚醒と睡眠は、精神活動があるかないか、1か0かの対立したものとしてとらえられてきましたが、本書では、覚醒と睡眠の間は 1, 0.8, 0.6 ・・・のように、意識水準が連続的に変化することを説明してみたいと思います。
なお、脳科学に親しみをもっていただくために、詩や小説や絵画からの引用もかなり入れ、私の自家製イラストもたくさん入れました。私はここ2016年まで最近6年間、英文論文を毎日1本読むことを日課にしてきました。ですから本書の内容は、365×6=2,190本読んだ結果と、私が40年間に得た実験結果とを一緒にまとめたものです。「夢」がバレリーナのように踊っている表紙の題字は、パリ書道会の安本年子さんによるものです。また、協力していただいたり、文中に引用した研究者のみなさんの所属は研究発表当時のものです。