目次
「闇」への想像力をかきたてるために――「ナイトメア叢書」刊行にあたって 一柳廣孝
はじめに 一柳廣孝
第1章 光と闇の狭間で――岩井志麻子インタビュー 聞き手:一柳廣孝/吉田司雄
1 ファンタジーの対極にせり上がるオカヤマ
2 「私の岡山」「私の明治」
3 境界を壊すというモチーフ
4 新しい毒婦を描く
5 「私がダークファンタジーかも」
第2章 光と闇の物語
闇はすぐそこにある――諸星大二郎をめぐって 表 智之
1 オカルト・ブームと『妖怪ハンター』
2 名指しえぬ不定形のモノたち
3 『暗黒神話』と類比のスペクタクル
4 神話語りと人々の紐帯
5 融解する光と闇
継承と解放、そして残された課題――一九八〇年代以降児童文学の長篇ファンタジーに見る「闇」 佐藤宗子
1 「現代児童文学」の出発とファンタジー
2 交差する三つの「闇」
3 思いのこめられた「闇」
4 九〇年代以降の状況のなかで
「語り」の問題性とその向こう側にあるもの――天沢退二郎における二元論の問題 井上乃武
1 二元論の破綻とテクスト内ファンタジーの自立――『光車よ、まわれ!』
2 物語群の解体と「世界」の改変――『オレンジ党』シリーズ
3 外的な存在としての「語り」の問題性――「闇の神話」試論
第3章 近代文学と闇のファンタジー
呪術的世界に生きた「毒もみのすきな署長さん」に関する考察――毒もみを中心とした宮沢賢治作品における罪のあり方をめぐって 大島丈志
1 署長さんの特異性をめぐって
2 毒もみ・発破という罪の扱われ方
3 呪いのすきな署長さん
4 みんなはすっかり感服しました
『犬神博士』とその一族――フィクションにおける「犬神」像 今井秀和
1 変貌する「犬神」像
2 実際の犬神信仰と、フィクションでの犬神
3 『犬神博士』と『犬神家の一族』
4 大神と犬神――『犬神博士』の挿絵を読む
5 新聞小説『犬神博士』
6 「ドグラマグラ使い」と「犬神使い」
風太郎文学における闇の論理――愛の亡霊、背徳の聖者たち 谷口 基
1 幽霊は時代に抗う――『幻燈辻馬車』
2 宗教的奇蹟か、「ゆうれい」か――『明治十手架』
3 「闇」のキリスト、監獄のイエス――『地の果ての獄』
第4章 ファンタジーの変容
ダークな感情が切り開く世界――桐野夏生『ダーク』論 吉岡 亮
1 変容と属性の消去
2 ネガティヴな感情の応酬とその外部
『キノの旅』と『ブギーポップは笑わない』 小松史生子
1 ここではない、どこかへ
2 正義と道徳
グロテスクな魔女の幻想――『うみねこのなく頃に』 大橋崇行
1 『うみねこのなく頃に』
2 「ゲーム」としての「ミステリー」
3 ライトノベルらしさの生成
4 殺人の描写
5 ミステリーにおける殺人の位置
6 グロテスクな魔女の幻想
[連載]
真夜中のセクシュアリティ(第6回)
闇の時代と〈少女〉の任務 久米依子
1 ダークな世界の女性たち
2 戦う少女の国
3 欲望のための表象
4 回避と依存
書棚の隅に何かいる(第4回)
「全国精神療法家大番附」――霊術家たちの最後の輝き 一柳廣孝
オカルト・アカデミックス(第3回)
鳥居みゆきの黒い笑いとネット文化――「地上」と「地下」の間で 伊藤龍平
1 「堕天使」から「マサコ」まで
2 妄想夢芝居
3 ネット的有名人の横顔
4 表舞台の地下芸人
ブックガイド 諸岡卓真/成田大典/井上貴翔/横濱雄二/川崎公平