目次
はじめに――絵画とは特定の「色」と「色」が紡ぐメッセージである
第1章 光を色彩に変えた近代絵画
1 一対の補色だけで描かれた『印象 日の出』
2 補色と三原色による筆触の描法
3 モノクロームの写真、補色の絵画
第2章 伝統絵画における三原色
1 遠近法の原理と色遣い
2 三原色の色遣いはステンドグラスから
3 三原色としての赤・青・黄をめぐる長い歴史
第3章 拡張する赤・青・黄の三原色の世界
1 黄が橋渡す青とシアン、赤とマゼンタ
2 赤・青・黄に集約されるバロックの色
3 写真の発明と絵画の色彩の変化
第4章 ポータブル化する絵の具と主題の変容
1 描かれる「場」として、室内優位の十七、十八世紀
2 油絵の具が変革された十九世紀前半
3 十九世紀半ば、画家たちは戸外へ
第5章 補色対比から三原色に向かう画面構成
1 ゲーテの補色理論とモネの実践
2 補色を視覚で混交させるスーラの試み
3 スーラ作品に結実したルードの色彩理論
第6章 光を捉えた色彩による絵画の変革
1 現代アートの起点となる点描表現
2 補色並置が普遍化した一八八〇年代
3 三原色による新しい表現スタイルの広がり
第7章 写真と絵画の相互性
1 光のハーモニーと絵画の色、写真のモノクローム
2 写真の「動き」から絵画の「揺らぎ」へ
3 共有化される三原色による色彩効果
第8章 光を究め、色に顕す
1 深い青の闇にうねる黄の円弧
2 室内を光の色として表出したゴッホ
3 黄の強いはたらきによる表象性
第9章 光の表象としての黄による新しい表現
1 「色料」の三原色がもたらす水辺の光景
2 ゴッホの黄の躍動感は二十世紀絵画へ
3 街の光へと黄を活性化させる
第10章 三原色の色遣いと色彩の自立化
1 補色の印象派から三原色のフォーヴィスムへ
2 色の名が画題になる近代絵画
3 色彩が構築する新たな「かたち」
第11章 室内の光への回帰と色遣いの拡張
1 電灯の登場
2 理想の光の探究と表現の場
3 絵画の変革者たちのパレット
第12章 映像時代の絵画における「動き」の表現
1 単一視座と固有色の伝統の解体
2 「かたち」から「色」へ、ピカソの「動き」
3 立体造形と三原色の絵画との分化
第13章 抽象化・平面化と三原色
1 三原色によって構成される図像の躍動感
2 抽象絵画の登場と三種類の三原色
3 マンセルの「配色調和」とマティスの平面性
第14章 わが国近代絵画の三原色
1 外光派の補色活用
2 「ぶっつけがき」と呼ばれたわが国の点描派
3 普遍化する三原色の色遣い
4 絵の具セットの三原色
第15章 現代絵画の三原色
1 第二次世界大戦後のアートはニューヨークへ
2 花束の色は三原色
3 十九世紀のモネから現代の「アフター・モネ」派へ
4 オールオーヴァ化する絵画と三原色
注
図版一覧
あとがき
絵画作品索引(所蔵先など)
人名索引