目次
はじめに 熊谷謙介
序章 ポスト・カタストロフィーの都市とは何か――パリ、ニューヨーク、ヒロシマ、ナガサキ 熊谷謙介
1 意味が重層する場――パリ、共和国広場
2 「不在の反映」――ニューヨーク、グラウンド・ゼロ
3 モニュメント、メモリアル、遺構、墓――ヒロシマ、平和記念公園
4 現在進行形の廃墟――ナガサキ、旧浦上天主堂
第1章 禁域の効能――欲望喚起装置としての「内裏」と、古代都市平安京の消長 深沢 徹
1 はじまり(傍点4字)としての遷都――『平家物語』の場合
2 移動する都市の中心軸――『池亭記』の場合
3 空洞化する平安内裏――『新猿楽記』の場合
4 禁域としての私秘空間――『方丈記』の場合
第2章 瞬間と持続、暴力と審美化の間で――リスボン大震災からフランス革命に至る時期の廃墟イメージ 小澤京子
1 崩落の光景
2 永続と瞬間――廃墟をめぐる二つの時間性
3 瞬間性と仮設性
第3章 「古きパリ」の誕生――フランス革命後のもう一つの都市再生 泉 美知子
1 革命期のパリの破壊
2 景観への新たな眼差し
3 「古きパリ」の誕生へ
第4章 カタストロフィーを生き抜く――『風と共に去りぬ』スカーレットとアトランタ 山口ヨシ子
1 スカーレットはアトランタと同い年
2 鉄道から生まれ、鉄道とともに発達した町
3 アトランタ陥落
4 「フェニックス・シティ」とその人種問題
5 『クランズマン』『国の創生』から『風と共に去りぬ』へ
第5章 パリは燃えているか?――パリ・コミューンの廃墟をめぐって 熊谷謙介
1 火災とイコノクラスム
2 「語られる」廃墟――文学者たちのコミューン
3 「撮られる」廃墟、「売られる」廃墟
4 都市の再生?――チュイルリー宮殿とサクレ・クール寺院
第6章 グロテスク・フォトモンタージュ・ニュービジョン――第一次世界大戦後ベルリンの視覚文化に見る都市と身体 小松原由理
1 スペクタクルとしての第一次世界大戦
2 都市情報紙からリトファス柱へ――ベルリン一九二〇年代視覚文化層を形成する十九世紀的土壌
3 グロテスクという手法――ジョージ・グロスとオットー・ディックス
4 フォトモンタージュという手法――都市と身体の部分化と再編成
5 ニュービジョンという手法――都市の身体に内蔵されたカメラ・アイ
6 再び消えゆく都市と人間の身体
第7章 〈関東大震災〉の記号学――秋田雨雀「骸骨の舞跳」をめぐって 日高昭二
1 あなたも然んなことを信じてゐるんですか
2 この顔を見て呉れ給へ
3 何も知らされてゐない。また何も知ろうと思つてゐない
4 骸骨よ、跳り出せ!
第8章 二十世紀ローマの二つのカタストロフィー(?)――モラヴィアが見たファシズムの崩壊とアントニオーニが見た「奇跡の経済成長」 鳥越輝昭
1 Il conformistaと「正常さ」の問題
2 『情事』と「奇跡の経済成長」
第9章 〈廃品(ルビ:ジャンク)〉からの創造――S・ロディアのワッツ・タワーとブラック・ロスアンジェルス 土屋和代
1 サバト(あるいはサミュエル、サム、サイモン)・ロディアの生涯
2 ワッツ・タワーを救え!――愛国者のアートとして
3 舞台としてのワッツ
4 ワッツ蜂起後――〈廃品(ルビ:ジャンク)〉からの創造
第10章 カタストロフィーを超えて立つ武術家の表象――天安門事件後の徐克(ルビ:ツイ・ハーク)と映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズ 村井寛志
1 天安門事件と徐克
2 地域的英雄(ルビ:ローカル・ヒーロー)と国民的英雄(ルビ:ナショナル・ヒーロー)の間――『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』
3 去りゆく者たちへの愛惜――『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地大乱』
4 国家の中枢へ――『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地争覇』
第11章 三・一一後の記録・物語――小森はるか+瀬尾夏美インタビュー 聞き手:熊谷謙介