目次
序 章 滞日ムスリム移民の軌跡をめぐる問い 樋口直人
1 かつて「外国人労働者」という問題があった
2 滞日ムスリム移民の二十年をめぐる問い
3 等身大の世界からトランスナショナルな現実を考える
第1部 移住と定住の分岐点
第1章 親族集団から個人へ──現代の遊牧民・トルコ系シャーサバンの日本出稼ぎ 稲葉奈々子
1 親族ネットワークと個人
2 シャーサバンの歴史
3 シャーサバンたちの日本への出稼ぎ
4 国境を越えたシャーサバン・ネットワーク
5 帰国
6 国境を越える個人と一貫性のないハビトゥス
7 イランのモダニティ──自由になった個人の悩み
第2章 創り出される労働市場──交錯する求職ネットワーク 丹野清人
1 職長ネットにおける移動のメカニズム
2 職長ネットを超える移動──建設ネットとエスニックネット
3 ネットワークへの包摂と離脱
4 ムスリム労働者の移動と固定化する生活水準──結語に代えて
第3章 「ガテン」系への道──労働への適応、消費への誘惑 樋口直人
1 出稼ぎブーム後の就労と生活──適応をめぐる問い
2 構造的制約のなかでの創造的適応
3 「ガテン」系への道──二つの生き抜き戦略
4 「ガテン」系の余暇活動──職場への適応、消費での罠
5 労働への適応が生み出す「ガテン」系文化の罠
第2部 移民コミュニティと越境するネットワーク
第4章 越境する食文化──滞日ムスリムのビジネスとハラール食品産業 樋口直人
1 底辺からのし上がる──滞日ムスリムのビジネスをめぐる状況
2 ビジネスマンとしての滞日パキスタン人
3 ハラール食品産業の形成
4 成熟・衰退市場での生き残り
5 異郷で得られる故郷の味──次のステージはあるのか
第5章 トランスナショナルな企業家たち──パキスタン人の中古車輸出業 福田友子
1 トランスナショナルなビジネスへ──パキスタン人による中古車輸出業の歩み
2 日本発世界へ──中古車輸出業者の業務内容
3 トランスナショナルなネットワークの形成と活用
4 トランスナショナルなネットワークの形成──結びに代えて
第6章 イスラーム・ネットワークの誕生──モスクの設立とイスラーム活動 岡井宏文
1 異郷のなかのイスラーム──殻を打ち破るチカラ
2 日本でのモスク設立──宗教的基盤の整備
3 コミュニティ活動の現状──モスクで育まれるもの
4 イスラミック・トラベラーズ──タブリーギー・ジャマーアトの活動
5 コミュニティの行方──ムスリムコミュニティの第二ラウンド
第3部 ふたたび越境するという経験──故郷に帰ったムスリム移民
第7章 滞日経験のバランスシート──帰国の経緯とその後の状況 樋口直人
1 ほとんどのムスリム移民は帰国した、ではその後どうなったのか
2 滞日生活への終止符──帰国をめぐる意味世界
3 帰国後にのし上がる?
4 滞日経験のバランスシート
第8章 消費社会のスペクタクルとトランスナショナリズムの逆説──バングラデシュの移民家族と開発される欲望 樋口直人/稲葉奈々子
1 トランスナショナリズム──グローバル資本主義の支配か能動的な移民文化の発露か
2 シディキと主な登場人物
3 ミドルクラスの文化とビデシュの力
4 「創造的読み替え」とニュービジネス
5 「浮浪者」と「旅行者」の創出
6 消費社会のスペクタクルとトランスナショナリズムの逆説
あとがき