紹介
名もなき16 歳の少女『アンネの日記』と名だたる独裁者の『わが闘争』は世界のベストセラーになった。
このヒトラーとアンネ・フランクは恐怖と絶望と絶叫のアウシュヴィッツ絶滅収容所で結びつく。
ヒトラーとナチの歩みを追いながら、アウシュビッツへの道程に潜む本質に迫る。
『わが闘争』に語られた幼年期やヒトラーのウィーン時代の生き様に『神経症」の病理を見る。
「ユダヤ人がいなければ……」という強迫観念から当時ヨーロッパを席捲したマルクス主義に対抗し、ユダヤ=資本主義、反ユダヤ主義=反マルクス主義、そして「マルキストがいなければ……」という意識から逃れることができなかった。
大衆心理や群集心理を知るヒトラーはユダヤ人を特定し、排除することが大衆の喝采をあび、ブルジョアや資本家の共感を得ることから、マルクシズムを打倒するためにはユダヤ人を絶滅しなければならないという観念に陥った……。
目次
序 章 『わが闘争』と『アンネの日記』
第一章 アドルフ・ヒトラー
1 アドルフ・ヒトラー
2 反ユダヤ主義
3 第一次世界大戦
4 ナチ党
第二章 ユダヤ人の危機
1 一九三三年三月二三日
2 ヒトラーの取り巻きたち
3 突撃隊長レームの粛清
4 大統領=総統兼首相
第三章 ヒトラーの類まれな性格
1 ロカルノ条約の破棄
2 ゲシュタポの陰謀
3 オーストリア侵略
4 ヒトラーとルドルフ・ヘス
第四章 アウシュヴィッツ
1 ユダヤ人絶滅強制収容所
2 「ユダヤ人をどう処理したか」
3 毒ガスによる大量殺害
4 特殊任務部隊
第五章 アンネ・フランクの日記
1 アンネの父オットー・フランク
2 アンネの家族
3 アムステルダムの隠れ家
4 「深い淵の底から……」
終 章 フロイトと『モーセと一神教』
あとがき