目次
第一部 『聖ジュリヤン伝』 ―― フロベールと聖人伝説
第一章 フロベールの宗教性
一 宗教感情への敬意
二 十九世紀フランスの宗教観とフロベール
三 フロベールと聖なるもの ―― スピノザとルナンとの関係を中心に
四 聖なる人間の生
五 フロベールの聖人伝
第二章 『聖ジュリヤン伝』 流動する時空
一 ステンドグラスの物語
二 沈み込む空間
三 もうひとつの枠組み
第三章 『聖ジュリヤン伝』におけるジュリヤンの「道行き」
一 親しいものと不気味なもの ―― 両親の地
二 現実と幻覚 ―― 自分自身の地
三 畏れと欲望・神聖なるものと不浄なるもの ―― 親殺しの意味
四 地上と天上との狭間で ―― 間隔の超越
第二部 『純な心』 ― 女性・地方風俗・信仰
第四章 『ボヴァリー夫人』におけるエンマの宗教性
一 グロテスクな生涯
二 地方風俗
三 エンマとブルニジアン司祭
四 エンマの「宗教的」世界
五 虚無へと向かう信仰
第五章 『純な心』変容する空間
一 「感じやすい魂」のための物語
二 時間が堆積する空間
三 フェリシテの感覚と世界の認識 ―― 宗教との出会い
四 鸚鵡と聖霊の結びつき ―― 内的世界の醸成
五 閉じられた空間の解放
第六章 『純な心』における「聖域」
一 Un Coeur simple ――「単純な心」
二 境界線のない世界
三 フェリシテの部屋
四 信仰の働き
五 供犠としての聖体祭
第三部 『ヘロディア』 ― フロベールとオリエント
第七章 『サラムボー』における「彼方」の世界
一 古代カルタゴ ―― 歴史と幻想の狭間にある世界
二 彼方の世界の出現
三 彼方の世界への横断
四 古代カルタゴ世界の完成
第八章 『ヘロディア』声と視線の交錯
一 洗礼者ヨハネとヘロディア=サロメ
二 声と視線
三 二つの人間的側面
第九章 『ヘロディア』におけるヘロデの「不安」
一 「不安」の充満
二 反復の不安
三 畏怖と欲望の狭間で
四 不安の分断