紹介
▼誰が、何が、どう、変わったのか?
ヘイトスピーチ、排外主義運動の顕在化、
日本会議の台頭、改憲潮流、
ネットに溢れかえる右派的言説――。
はたして本当に、日本は「右傾化」したのか。
個々の政権の消長を超えた次元で、
日本社会全体の構造変化のなかで捉える。
日本は「右傾化」しているのか。
概していえば、社会全体の有権者レベルの調査では、顕著な「右傾化」はみられない。しかし、政党や宗教団体など特定の対象のレベル、あるいは報道のレベルでは「右傾化」が指摘されることが多い。政治家などの右派的言動も目立つ。
本書は、このような一見すると矛盾した現状について、学際的な知見を集め、①意識、②メディア・組織・思想、③政治という三つの視角から、「右傾化」の実態を徹底検証する。
目次
総 説
「右傾化」ではなく「左が欠けた分極化」 小熊英二
第I部 意 識
1 世論
世論は「右傾化」したのか 松谷満
2 歴史的変遷
「保守化」の昭和史――政治状況の責任を負わされる有権者 菅原琢
第Ⅱ部 メディア・組織・思想
1 マスメディア
政治システムとの強いリンクがもたらした構造的「右傾化」 林香
里・田中瑛
2 ネットメディア
ネットメディアの伸長と右傾化 津田大介
3 草の根組織
政治主導の右傾化 樋口直人
4 天皇と神道思想
神聖天皇と国家神道からみた日本の右傾化 島薗進
第Ⅲ部 政 治
1 政党
自民党の右傾化とその論理 中北浩爾・大和田悠太
2 地方政治
地方議会における右傾化――政党間競争と政党組織の観点から 砂原
庸介・秦正樹・西村翼
3 政策アウトプット
島根県の「竹島の日」条例制定の経緯 ブフ・アレクサンダー
おわりに 樋口直人