紹介
2019年ノーベル経済学賞を著者のお一人(第6章執筆)アビジット・バナジー氏が受賞しました!
自然科学の実験室の実験(ラボ実験)のように、歴史学や経済学は実験を行うことができない。様々な要因が存在してそれをコントロールすることが不可能であるからだ。しかし、近年、計量・統計分析が洗練され、ラボ実験やフィールド実験が盛んに行われるようになってきた。さらにまったくコントロールされない現実の対象を分析するための自然実験も行われるようになってきた。
本書は、歴史学、考古学、経済学、経済史、地理学、政治学など幅広い専門家たちが、それぞれのテーマでの比較史、自然実験で分析した論文を集めたものである。比較も2つの対象から81の島々の対象や233の地域を対象にしたものまで、地域は太平洋の島々からアメリカ、中米、ヨーロッパ、インドまで、また時代は過去から現在まで幅広く扱っている。
目次
プロローグ
ジャレド・ダイアモンド+ジェイムズ・A・ロビンソン
第1章
ポリネシアの島々を文化実験する
パトリック・V・カーチ
第2章
アメリカ西部はなぜ移民が増えたのか
――19世紀植民地の成長の三段階
ジェイムズ・ベリッチ
第3章
銀行制度はいかにして成立したか
――アメリカ・ブラジル・メキシコからのエビデンス
スティーブン・ヘイバー
第4章
ひとつの島はなぜ豊かな国と貧しい国にわかれたか
――島の中と島と島の間の比較
ジャレド・ダイアモンド
第5章
奴隷貿易はアフリカにどのような影響を与えたか
ネイサン・ナン
第6章
イギリスのインド統治はなにを残したか
――制度を比較分析する
アビジット・バナジー+ラクシュミ・アイヤー
第7章
フランス革命の拡大と自然実験
――アンシャンレジームから資本主義へ
ダロン・アセモグル+ダビデ・カントーニ+
サイモン・ジョンソン+ジェイムズ・A・ロビンソン
あとがき 人類史における比較研究法
ジャレド・ダイアモンド+ジェイムズ・A・ロビンソン
原注