紹介
そもそも法典って何? 法律と法典とは何が違うの?
この素朴でありながら、解答の難しい問いに対して、多面的な視点から「法典」の意義を探求する!
豪華執筆陣による、従来の法典の意味と今後について、読者に問いかける基礎法学入門書!
1 まず、私法体系の統合・解体・そして再編・再統合というプロセスを法典という視点から再構成。法典を主題にした総論的ないし歴史的観点から法を眺める(第1章~第4章)。
2 次に、法典編纂に対する各国の考え方の違いを対比。比較法的観点で各国の法文化を概観する(第5章~第8章)。
3 最後に、立法政策的観点から法典に対する対応のあり方を眺めることで、法典に体現される立法政策の意義や多様さを検討する(第9章~第12章)。
「法典とは何か」という問いかけにわが国の文献で正面から答えるものはない。とりわけ商法の解体、民法債権法の大改正という私法の重大な局面にある現在、法典とは何かを問いかける本書は、まさに時宜を得た内容。法学を学ぶ者すべてにとって重要な意味を持つ書籍!
目次
はじめに
第1章 法統一のための法典編纂
Ⅰ 法典編纂って何?
Ⅱ なぜ法典編纂なのか?
Ⅲ 何のための法典編纂?
Ⅳ 法典編纂はもう古い?
Ⅴ それでも法典編纂?
Ⅵ 誰のための法典編纂?
第2章 近代日本の法典編纂
―― その “始まり” の諸相 ――
Ⅰ はじめに ―― 法典編纂を不可避とした条件
Ⅱ 明治初期太政官制下の法典編纂
Ⅲ お雇い外国人と法典編纂
Ⅳ 法典編纂の技術と方法
Ⅴ おわりに
第3章 脱法典化と再法典化
Ⅰ 民法典の「危機」
Ⅱ 19世紀 ―― 法典の時代
Ⅲ 20世紀 ―― 脱法典化の時代
Ⅳ 21世紀 ―― 再法典化の時代?
Ⅴ あらためて法典とは
第4章 法典と一般的法原則
―― 法秩序の重層構造と動態的法形成 ――
Ⅰ はじめに ―― 再法典化と「一般的法原則」
Ⅱ 「法原則」(プリンシプル)と「法規範」(ルール)
Ⅲ 「指導的法原則」と「矯正的法原則」
Ⅳ 法認識と「法原則」
Ⅴ 「法規範」(ルール)における「例外」の許容
Ⅵ 法規範の拡張としての「法的擬制」
Ⅶ 法規範の縮小としての「特段の事情」
Ⅷ むすびに代えて ―― 法秩序の重層構造と動態的法形成
第5章 ドイツ民法典と法典論
Ⅰ ドイツ民法典の成立
Ⅱ ドイツ民法典の展開
Ⅲ ドイツ民法典の危機
Ⅳ プロイセン一般ラント法の立法技術
Ⅴ ドイツ民法典の立法技術
Ⅵ 現代法典論における立法技術
Ⅶ 法典論と立法技術
第6章 フランスの諸法典
Ⅰ 民法典の編纂・隆盛・激動
Ⅱ 現代における法典化
Ⅲ 法典、法典化そして「再」法典化とは何か?
Ⅳ 結びにかえて
第7章 英米法における法典化運動
Ⅰ はじめに
Ⅱ 法典化の要請とその実践
Ⅲ 新たな法典化の展開
Ⅳ おわりに
第8章 ラテンアメリカと法典化
Ⅰ はじめに
Ⅱ 政治的独立と法的依存 ―― フランス民法典への隷属的法典化
Ⅲ ラテンアメリカ内因性の自立的法典化 ―― フランス民法典からの
脱却へ
Ⅳ 結びに代えて ―― 独立期法典化の諸要因
第9章 ヨーロッパ(EU)私法の平準化
―― ヨーロッパ民法典の可能性 ――
Ⅰ ヨーロッパ民法典の構想と共通売買法
Ⅱ ヨーロッパ私法の形成をめぐる学説の動向
Ⅲ ヨーロッパ共通契約法典への道程 ―― 指令、モデル法、規則
Ⅳ EU私法の平準化への新たな道開 ―― 規則としての選択的法準則
Ⅴ おわりに ―― 今後の展望
第10章 開発における法典編纂
Ⅰ はじめに
Ⅱ ラオスにおける民法典編纂
Ⅲ ネパールにおける民法典編纂
Ⅳ おわりに ―― 進化する法システムと法典編纂
第11章 「商法典」とは何か
―― 法典化・脱法典化・再法典化 ――
Ⅰ 「商法典」の現在
Ⅱ ヨーロッパ大陸法諸国の動向
Ⅲ 日本の商法典
Ⅳ むすびに代えて ―― 法典の行方と商法学のあり方
第12章 消費者法と法典化
Ⅰ はじめに ―― 消費者法をめぐる問題状況と課題の設定
Ⅱ 消費者法の法典化に関する他国のモデル
Ⅲ 日本民法改正と消費者法をめぐる議論
Ⅳ 消費者法の法典化
索 引
執筆者紹介