目次
第1章 総論 社会意識の現在 渡辺 秀樹
はじめに
I 分離か収斂か
1 価値意識と規範意識
2 分岐化の諸パターン
II 社会意識の流動性/安定性——脱制度化と再制度化
1 家族意識の脱制度化
2 不完全な制度
3 家族意識の変化の2段階——制度の変化と制度の溶解
III 本書の試み
第2章 性役割意識の変容可能性とその動態
——性役割意識の動向と政治参加との節合に向けて 竹ノ下弘久
はじめに
1 問題意識
2 社会学における性役割意識、性別分業研究
3 本研究の課題
I 使用するデータ
II 女性のライフコースの理想と現実
III 性別分業と政治意識
1 問題意識と仮説
2 ライフコースと性別分業意識
3 政治的関心と政治的討論
4 政治的イデオロギー、投票政党との関係
おわりに
第3章 性役割意識の規定要因に関する国際比較
——日本と韓国との比較から
竹ノ下弘久
西村 純子
I 問題意識
II 先行研究の検討
III 仮説の構成
IV データと変数
V 分析結果
1 性役割意識をめぐる国別の相違
2 性役割意識の因子構造
3 性役割意識の規定要因の日韓比較
VI 考察と結論
第4章 日本と韓国における男性の「ワーク・ファミリー・コンフリクト」ベ 智恵
I 研究の背景と目的
II 先行研究の検討
1 「ワーク・ファミリー・コンフリクト」の概念
2 「ワーク・ファミリー・コンフリクト」の規定要因
III 研究方法
1 データ
2 変数
3 分析方法
IV 結果
1 日本と韓国における男性の職場生活
2 日本と韓国における男性の家族生活
3 男性の役割重要度
4 日本と韓国における男性の「ワーク・ファミリー・コンフリクト」
V 要約と考察
第5章 現代日本における母親の就労の子どもへの影響に関する規範意識 松田 茂樹
I 母親の就労の子どもへの影響
1 3歳児神話・母性愛神話とは
2 神話の根拠と神話がもたらした効果
II 規範意識を規定する要因の仮説
III データと変数
1 データ
2 被説明変数
3 説明変数
IV 規範意識を持つ人の割合
V 規範意識の規定要因
1 分析方法
2 分析結果
VI 結論と考察
1 「母親就労の悪影響」規範を規定する要因
2 神話のゆくえ
第6章 現代日本女性における未婚化の進行 ——経済的要因をめぐって アスケーロ・ファビオ
はじめに
1 マクロおよびミクロ的な問題としての女性の未婚化
2 本章の目的
3 本章の構成
I 女性未婚化の進行(1960−2000年)
1 晩婚化と結婚適齢期の意識
2 女性の経済的な独立と男女の人口比のアンバランスによる未婚時期を延長するリスクの低下
II 女性未婚化の経済的な要因
1 高学歴の影響
2 性別役割の意識が強い国での女性労働参加機会の拡大による女性未婚化 3 経済的な必要性および結婚のコスト・ベネフィット
4 景気の影響——デフレ経済における多様性
おわりに
第7章 国際移動とジェンダー観の変化
——滞日中国人女性の事例を中心に オイ ション ゴウ
I 問題意識
II 先行研究と研究方法
1 国際移動とジェンダー
2 研究手法と調査内容
III 滞日中国人女性をめぐる現状
1 来日前の背景
2 来日の理由
IV インタビュー調査内容分析
1 日本の高等教育
2 職場における問題
3 日本での家庭生活
4 日本の地域社会
V 事例の類型
1 変容型
2 持続型 おわりに
第8章 日本の学歴社会・学歴主義の歴史
——韓国との比較
金 鉉哲
はじめに
I 学歴主義の誕生と学歴主義意識の形成
1 近代試験制度というアイロニー
2 学歴主義への呪文
3 学校のシステム化
4 学歴競争と学閥の形成
5 受験の時代と学歴主義意識の形成
II 近代化と学歴社会の変貌——その圧縮性と同質性
1 大衆教育社会への変貌と圧縮性
2 移行システムと同質性
III 日韓の学歴社会のありよう
1 教育アスピレーションと教育特区の母親たち
2 学歴社会の類型
おわりに
第9章 郊外における市民社会の形成
——鎌倉における知識人と上層夫人の役割 水野 宏美
はじめに
I 知識人・有力者の流入
1 別荘族主導の町づくり——サロン的ネットワーク
2 文士連帯が育んだ一体感——大衆的文化と啓蒙
II 鎌倉夫人たちの活動
1 小説「鎌倉夫人」——外から作られるイメージ
2 婦人たちのネットワークの力
むすび
第10章 ジェンダー政策とドメスティック・バイオレンス
——日本と韓国の政策と意識 横井 彩
はじめに
I 日本と韓国——比較にむけて
1 意識における類似
2 日韓の女性政策
II ドメスティック・バイオレンスに関する理論
1 女性中心主義と家族中心主義——ジェンダー実践的か戦略的か
2 ドメスティック・バイオレンスをめぐる議論の変遷
III 日韓のドメスティック・バイオレンス関連法
——成立までの経過と内容
1 日本における議論
2 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の概要 3 韓国の女性政策
4 韓国のドメスティック・バイオレンス法の位置付け
IV ドメスティック・バイオレンスへの対処
1 被害者の離婚についての意思
2 家族規範とドメスティック・バイオレンス関連法
おわりに——日本のDV防止法の今後
第11章 刑事精神鑑定の社会学
——いわゆる「足利事件」における犯行動機の構成 松木 洋人
大貫 挙学
はじめに
I 事件の発生と捜査
——成員カテゴリー化実践としての動機の構成
II 第一審——精神鑑定における動機の構成
III 控訴審——「小児性愛者であること」と「犯人であること」
おわりに
第12章 「セックス」という/による管理
——「性同一性障害者性別取扱特例法」をめぐって 長野 慎一
はじめに
I「正常化を旨とする社会」と特例法に連なる言説
1 「正常化を旨とする社会」とセックス二元論
2 特例法へと連なる言説(医学および判例) ——ジェンダーに対するセックスの優位
II 「前提となるセックス」による 「正しい男性と女性」への同化政策 1 「性同一性障害者」の定義とセックス変更への規制
——第2条を中心に
2 セクシュアル・マイノリティの階層化——第3条を中心に
III セックス化された「精神」と「身体」の不可能性
1 セックス化する「精神」を介した「身体」の規律=訓練
2 成就しない「前提となるセックス」への信仰
IV セックスの強制への抵抗——残余との遭遇に向けて
1 逆転の言説と「身体的残余」
2 「残余」との遭遇——まだ見ぬ未来を目指して
おわりに
第13章 社会空間と性的主体化 ——フェミニズムによる公私二元論批判から 大貫 挙学 はじめに
I 性的アイデンティティの政治化
1 「個人的なことは政治的である」
2 ジェンダーのパフォーマティヴィティ
II 性的アイデンティティと社会領域としての公私二元論
1 公私二元論と異性愛主義
2 「家父長制」と「主体」の問題
III 「親密圏」と「イマジナリーな領域」
1 「親密圏」あるいは「個人的な領域」をめぐって
2 再び「個人的なことは政治的である」
おわりに
第14章 政治的社会化/社会化の政治化 椋尾 麻子
はじめに
I 社会化/教育と政治
1 政治的社会化論
2 社会化論の問い直し
3 シティズンシップと社会化
II 文化研究(カルチュラル・スタディーズ)という視角——「新しい教育社会学」との並走
III 文化研究的視角におけるアイデンティティ論
1 スチュアート・ホールのアイデンティティ観 ——アーティキュレーション
2 「国民」という言説・表象 むすびにかえて
あとがき 渡辺秀樹