目次
序 章
(一)研究の現状と問題点
(二)通説への疑問と論点
(三)言語研究の立場と方法
(四)語誌から言語の文化史・精神史へ
第一章 基本語とその複合語の語構成的意味論
(一)「たま」「たましひ」「こころ」「きも」の基本義
(二)「たましひ」「こころ」の複合語の意味世界
(三)「たましひ」と「こころ」の関はり
第二章 「たま」「たましひ」の漢語と和語
(一)漢語の古訓
(二)古辞書の字訓
(三)和歌・物語の和語
第三章 「大和魂」「大和心」の初出例の解釈
(一)「大和魂」(源氏物語少女巻)
(1)古注釈書の解釈―「日本のめあかしのこころ」
(2)「やまと」を冠する表現意識・意味構造
(3)世才・俗才説―近世後期に始る
(4)世才・俗才説の支持と批判
(5)文化と行動を生む指導精神―吉沢義則説
(6)常識・理解力・自由な精神力―奥村伊久良説
(7)現代の注釈書・訳書、古語・国語辞典の解釈
(8)「やまとだましひの世に用ゐらるる」の考証
①「世に用ゐらるる」の解釈―「使用」でなく「重用」/ ②「女はただ心ばせよりこそ世に用ゐらるる」と同じ意味構造・発想/ ③係結びによる強調表現の構文
(9)学問と心おきて・価値
(10)才は大和魂の重用を補強するもの
(11)大和魂が秀れた詩を生む
(二)「大和心」(赤染衛門歌)
①日本人らしい精神力・気力・胆力/ ②日本人の持ち前の精神、心柄、心情
(三)和歌による大和魂の発揮
(1)清少納言の応酬(枕草子)
(2)藤原公任の「三船の誉れ」(大鏡)
(四)国風文化と大和魂・大和心
第四章 外国の受容・理解
(一)大和魂の翻訳語の語源・語義
(1)英訳語・仏訳語
(2)独訳語
(3)アニマティズムの捉へ方
(二)源氏物語少女巻の翻訳とその日本語訳
(1)翻訳書
(2)書名と巻名の訳
(3)大和魂の訳
(4)当該部分の日本語訳
(5)翻訳に対する私見
第五章 「大和魂」「大和心」の意味分類
(一)中古・中世の深化・分化
①志向し道を開く根源の精神力/ ②胆力・胆勇ある行動力(「心だましひ」)
(二)近世の拡大・発展
(1)文芸(小説)
①心情・感情・情緒/ ②気性・性根・義侠心/ ③精神力・決断力・気概/ ④忠義・忠信・忠孝・貞操
(2)評論(国学者・儒学者)
①日本人らしい感情・心性・性情/ ②日本人としての心・見識・自覚/ ③皇位を護り、天皇に尽す心
(3)辞書(国語・百科・和英)
(4)大和魂と大和心の意義比較
第六章 本居宣長「大和心」歌の解釈
(一)桜のうるはしさから心のうるはしさへ
(1)前提となる桜観
(2)本来の歌の意味
(二)わが国の道、日本人の心性
(三)わが身の死を連想
第七章 「花は桜木、人は武士」の句の解釈
(一)流布・意味の変化・構文的な意味
(二)本居宣長「大和心」歌との関連―宣長以前か宣長以後か
(1)「桜木」と「武士」を含む対句
(2)そのほかの対句、一句のみ
第八章 幕末維新期の新展開
(一)国学者の評論・和歌
①直く正しく清い気性・性情/ ②天皇に誠を尽す真心/ ③武士としての義勇心
(二)孝明天皇の御製
(三)勤皇家の和歌(抄)
①尊皇・忠義・尽国の精神/ ②日本人としての心・心情
(四)宣長「大和心」歌と「花は桜木」句の解釈
(五)和魂洋才の萌芽
第九章 近現代の新発展・特化
(一)明治・大正時代
(1)評論
①日本人の精神・民族精神―行動や感情を導く/ ②日本国の精神/ ③忠君愛国と国語の尊重
④国民の生命と心/ ⑤武士道・武道との関はり/ ⑥商業道徳との関はり
(2)小説・記録・戯曲
①日本人としての精神・志/ ②強い志気と崇高な士気
(3)和歌・詩
(イ)御製・御歌
(ロ)和歌・詩
①日本人としての精神・心情・気力/ ②天皇に忠義を尽す精神
(4)宣長「大和心」歌の解釈
①国民性、国民意識、日本人の精神・理想/ ②忠義・忠烈の心
(5)「花は桜木」句の残英
(6)軍歌
①日本人としての精神・気魄/ ②忠義・愛国・尽国の精神
(7)寮歌
(8)唱歌
(9)俗謡・琵琶歌
(10)国語辞書
(二)昭和前期時代
(1)評論・小説
①精神作用、精神行動を指示、まことの精神/ ②日本人らしい精神・感情/ ③和の精神、武の精神
④真実に生きる精神/ ⑤理想・信念を形成し、歴史・文化を創造する力/ ⑥文化・行動を生み、導く指導精神/ ⑦能力の根源、日本的な文化の心、生活・文学を指導する精神/ ⑧常識、理解力、活潑で自由な日本精神/ ⑨武勇心、慈悲心、人生に体現/ ⑩国家精神、国民精神/ ⑪生き方を決する意力
(2)和歌・詩
(3)宣長「大和心」歌の解釈
①淡泊、うるはしい心、気高さ/ ②日本精神の態度・象徴、気性、国民性/ ③自然、意気、諦念の融合/ ④武士道、益良雄の心/ ⑤文武の合一した精神/ ⑥日本人として命を捧げる心
(4)「花は桜木」句の残照
(5)軍歌
(6)国語辞書
第十章 敗戦を経て再出発
(1)評論
①才幹、能力、智謀、手腕/ ②日本・日本人の精神、感じ方、心の在り方、伝統精神/ ③日本を恋ふる心情
④人間主義、人間性/ ⑤教養と人間力・性情/ ⑥日本人の民族性格/ ⑦規範となる心持ち・態度、生きていく根源の力/ ⑧心のはたらき、特に女の心ばせ、女ごころ/ ⑨日本人としての感じ方・情緒・自覚・精神/ ⑩まことの心/ ⑪思慮・判断の能力/ ⑫日常・非常時に顕れる力
(2)和歌・歌謡
(3)宣長「大和心」歌の解釈
①桜の良さ、美しさ/ ②自然と人生との調和/ ③日本的な情緒/ ④日本の心と魂/ ⑤日本文化の個性
⑥清楚で潔い美/ ⑦純粋な真心
(4)国語辞書
第十一章 新しい活路を開いて再生へ
(一)造語による新たな発揚
(1)「―魂」
(2)士魂商才から商魂へ
(3)和魂和才・和魂洋芸・新和魂
(4)師魂教才・和魂電才
(二)スポーツ界での開花
(1)ヤマトダマシイ(ボクシング)
(2)なでしこジャパン・撫子魂(女子サッカー)
(3)サムライブルー・侍魂(男子サッカー)
(4)侍ジャパン(野球)
(5)さくらジャパン・ほか
(6)大和魂(大相撲)
(7)桜戦士(ラグビー)
(8)オリンピックの大和魂
(9)愛称の命名の発想
(三)芸能界での復活
(四)サムライ・マインド、サムライ精神―新しい大和魂
終 章 大和魂・大和心の千年誌―あとがきに代へて―
(1)語義記述と意味変化
(2)意味の考へ方
①言語主体の捉へ方/ ②語構成による意味
(3)通説の批判
①解釈以前の問題/ ②解釈に当っての観点・視点
(4)大和魂・大和心の意義
(5)魂と才の相違
(6)和魂は根幹で、漢才は手段
(7)大和魂・大和心の解釈の変遷
(8)本居宣長「大和心」歌の解釈の変遷
(9)「花は桜木、人は武士」の句の解釈の変遷
(10)歌・語の命脈
(11)内面の精神(知情意)から外面の活力の発現へ
(12)大和魂は「指導的開顕精神」
(13)言語文化史・言語精神史への展望
索 引
人名索引
書名・論文・曲名索引