目次
第Ⅰ部__ 総論
01講_ 法社会学の生成と発展 【阿部昌樹】
▶§1_ 法社会学という学問の誕生
▶▶1_「法」のなかの「社会」への関心
▶▶2_「社会」のなかの「法」への関心
▶§2_ 法社会学的研究の展開
▶▶1_「法」のなかの「社会」の研究
▶▶2_「社会」のなかの「法」の研究
▶§3_ 法社会学にとっての「法」と「社会」
02講_ 法社会学における「法」の概念 【佐藤岩夫】
▶§1_ 法の概念と法の理論
▶§2_ 法社会学における法の概念
▶▶1_「生ける法」への注目──E・エールリッヒ
▶▶2_規範の妥当を保障する特別の幹部(強制装置)への注目──M・ウェーバー
▶▶3_メタ・ルール(二次ルール)の出現への注目──H. L. A.ハート
▶§3_ さまざまなタイプの法
▶▶1_抑圧的法・自律的法・応答的法(ノネ/セルズニック)
▶▶2_形式的法・実質的法(ウェーバー),法の「プロセス化」
▶▶3_ハードローとソフトロー
▶§4_ 社会の「法化」をめぐる理論(法化論)
03講_ 法社会学における「方法」 【森 大輔】
▶§1_ 法社会学における方法論と手法
▶§2_ 手法の大きな分類
▶▶1_量的研究と質的研究
▶▶2_統計的研究と事例研究
▶§3_ 量的研究の手法
▶▶1_外的妥当性と内的妥当性
▶▶2_サーベイ調査
▶▶3_実験
▶▶4_二次的データの利用
▶§4_ 質的研究の手法
▶▶1_フィールドワーク/エスノグラフィー/インタビュー
▶▶2_ドキュメント分析/学説研究
▶▶3_言説分析/会話分析
▶§5_ まとめと発展
第Ⅱ部__ 紛争と紛争処理
04講_ 法文化・法意識 【久保秀雄】
▶§1_ 研究例の紹介
▶▶1_近年の興味深い研究
▶▶2_比較
▶▶3_訴訟率低下の謎
▶▶4_主観的な意識を理解する
▶§2_ 理解を深める
▶▶1_研究の特徴
▶▶2_言葉の使い方
▶▶3_具体的な使用例
▶§3_ 日本での研究成果
▶▶1_古典的な研究
▶▶2_現在の到達水準
▶▶3_さらなる研究の発展に向けて
05講_ 紛 争 【仁木恒夫】
▶§1_ 「紛争」への法社会学の接近の仕方
▶§2_ 「紛争」はどのように議論されてきたか
▶▶1_紛争の展開モデル
▶▶2_紛争と交渉
▶▶3_紛争処理
▶▶4_紛争と秩序の統合理論
▶§3_ 「紛争」をめぐる日本の特徴
▶§4_ 「紛争」研究のその他の広がり
06講_ 法律相談 【山田恵子】
▶§1_ 法社会学における「法律相談」の主題化
▶▶1_「法律相談」と法社会学
▶▶2_「法律相談」という主題の発見と視角
▶§2_ 「法律相談」をめぐる法社会学的研究の動向
▶▶1_法専門職の「技法」に焦点を合わせたアプローチ
▶▶2_法専門職と相談者間の「会話/認知」に焦点を合わせたアプローチ
▶▶3_トラブル当事者の「行動」に焦点を合わせたアプローチ
▶§3_ 「法律相談」をめぐる日本社会の特徴
▶▶1_相談機関
▶▶2_相談行動の規定要因
▶§4_ 「法律相談」研究の展望
▶▶1_近年の潮流
▶▶2_今後の課題
07講_ 裁判外紛争解決 【入江秀晃】
▶§1_ 「裁判外紛争解決」をどのようにとらえるか
▶§2_ 「裁判外紛争解決」はどのように議論されてきたか
▶▶1_海外における議論
▶▶2_日本における議論
▶§3_ 「裁判外紛争解決」をめぐる日本(法・社会)の特徴
▶▶1_裁判所が行う調停の存在感の大きさ/民間の小ささ/仲裁の小ささ
▶▶2_調停手続品質管理に関する規律の弱さ
▶▶3_弁護士の職域問題(非弁問題)に関する見通しの悪さ
▶§4_ 「裁判外紛争解決」研究のこれから
▶▶1_司法サービスの民営化か,紛争解決プロセスの多元化か
▶▶2_伝統的パターナリズムを脱した新しいリーガル・プロフェッションの展開
第Ⅲ部__ 司法制度の動態
08講_ 司法アクセス 【吉岡すずか】
▶§1_ 司法アクセスという視点
▶§2_ 司法アクセス拡充のための政策
▶▶1_司法制度改革と司法アクセス
▶▶2_アクセス障害としての情報
▶▶3_コストとしての時間・費用
▶▶4_弁護士の過疎・偏在
▶§3_ 司法アクセスの法社会学的研究
▶▶1_供給者側の研究
▶▶2_利用者側の研究
▶§4_ 司法アクセス論の課題と展望
▶▶1_都市部の司法アクセス
▶▶2_裁判所利用と司法アクセス
▶▶3_支援ネットワークと司法アクセス
09講_ 裁判による紛争処理 【前田智彦】
▶§1_ 裁判による紛争処理をどのようにとらえるか
▶▶1_裁判による紛争処理
▶▶2_裁判による紛争処理の段階別の問題設定
▶§2_ 裁判による紛争処理はどのように議論されてきたか
▶▶1_「日本人の法意識」と制度的障壁──裁判利用の多寡とその原因
▶▶2_裁判官の判決行動
▶▶3_裁判における手続的公正
▶▶4_当事者の疎外と本人訴訟
▶§3_ 裁判による紛争処理をめぐる日本の特徴
▶▶1_低水準の訴訟利用
▶▶2_日本で訴訟利用が少ない理由
▶▶3_法人利用者による大規模利用
▶▶4_裁判による紛争処理の実態:1──和解による終結
▶▶5_裁判による紛争処理の実態:2──訴訟の長さ
▶▶6_当事者の訴訟に対する期待と評価構造
▶§4_ 裁判による紛争処理研究のさらなる課題
▶▶1_長期的に取り組むべき問題
▶▶2_実証研究の追試と二次分析
10講_ 現代型訴訟 【大塚 浩】
▶§1_ 「現代型訴訟」をどのようにとらえるか
▶§2_ 「現代型訴訟」はどのように議論されてきたか
▶▶1_1970〜1980年代の議論
▶▶2_現代型訴訟と法社会学
▶§3_ 「現代型訴訟」をめぐる日本の法と社会
▶▶1_社会運動としての現代型訴訟
▶▶2_現代型訴訟の影響
▶▶3_現代型訴訟と社会の変容
11講_ 違憲審査制 【見平 典】
▶§1_ 問題の所在
▶▶1_違憲審査制をめぐる日米の状況
▶▶2_違憲審査制をめぐる問題
▶§2_ 法社会学・司法政治学における議論
▶▶1_アメリカの議論
▶▶2_日本の議論
▶§3_ 日本における違憲審査制の特徴
▶▶1_日本司法の消極性の背景
▶▶2_日本司法の変化とその背景
▶§4_ 違憲審査制研究の今後
第Ⅳ部__ 逸脱と統制
12講_ 犯罪と捜査・起訴 【松原英世】
▶§1_ 犯罪とは何か
▶§2_ 犯罪はどのように議論されてきたか
▶§3_ 捜査・起訴とダイバージョン
▶▶1_認知・捜査・起訴
▶▶2_ダイバージョンと犯罪の構築
▶§4_ 刑法行動の理論
▶▶1_犯罪行動の理論と刑法行動の理論
▶▶2_犯罪化の社会過程
13講_ 刑事裁判・裁判員制度・刑事弁護 【佐伯昌彦】
▶§1_ 刑事裁判では,何がどのように行われているか
▶§2_ 刑事裁判をめぐる実証研究の文脈
▶§3_ 実証研究に基づく検討
▶▶1_裁判員制度導入以前の研究
▶▶2_裁判員制度導入の影響
▶▶3_刑事弁護
▶§4_ 刑事裁判研究のこれから
第Ⅴ部__ 法の生成
14講_ 立法過程の現実 【武蔵勝宏】
▶§1_ 立法過程の場
▶§2_ 立法過程はどのように議論されてきたか
▶§3_ 立法過程をめぐる日本の特徴
▶▶1_政府与党内の立法過程
▶▶2_国会内の立法過程
▶§4_ 国会の行政監視機能の強化
15講_ 裁判による法形成 【渡辺千原】
▶§1_ 裁判官は法形成をして良いのか,法形成をしているのか
▶§2_ 法形成はいかに行われうるのか
▶▶1_法解釈と法形成
▶▶2_法解釈論争の展開
▶▶3_法形成の制度的基盤
▶§3_ 裁判はどのように法形成をしてきたのか
▶▶1_内縁の法的保護
▶▶2_利息制限法判決
▶▶3_代理出産判決
▶§4_ 違憲審査と法形成
▶§5_ ポスト司法制度改革期の裁判による法創造
第Ⅵ部__ 法の実現
16講_ 行政法の実施・執行 【平田彩子】
▶§1_ 行政による法の実施と行政裁量──基本視座
▶▶1_規制法の実施・執行過程の特徴
▶▶2_行政裁量の不可避性
▶§2_ 執行研究の分析枠組み──4つの分析アプローチ
▶▶1_行政側に注目する分析アプローチ
▶▶2_行政機関と被規制者の相互作用性に注目するアプローチ
▶▶3_被規制者側に注目する分析アプローチ
▶▶4_法の執行過程を取り巻く地域住民・市民に注目するアプローチ
▶§3_ これから考えるべきこと
17講_ 行政統制・行政参加 【阿部昌樹】
▶§1_ 行政統制の多様性と行政参加
▶▶1_行政統制とは何か
▶▶2_行政参加とは何か
▶§2_ 議会による事前統制と裁判所による事後統制の限界
▶▶1_法の実質化と行政裁量の増大
▶▶2_補完的な行政統制の必要性
▶§3_ 補完的な行政統制の仕組みと行政参加
▶▶1_補完的な行政統制の仕組みの多様性
▶▶2_行政上の決定が「適正」であるということの意味
▶▶3_行政上の決定の「適正」性を確保することの難しさ
▶§4_ 自治体行政への住民参加の進展
▶▶1_地方分権の進展と自治体レベルにおける住民参加の制度化
▶▶2_何のために住民参加を制度化するのか
▶▶3_自治体行政への住民参加の経験的研究
18講_ 法の実効性 【阿部昌樹】
▶§1_ 法の実効性とは何か
▶§2_ 人はなぜ法に従うのか
▶▶1_刑罰の犯罪抑止力
▶▶2_非利己的な遵法への動機づけ
▶▶3_遵法の程度を規定する要因としての法知識
▶§3_ 実効性の意味変容
▶▶1_行政活動に関連した法の増加
▶▶2_行政活動に関連した法の実効性
▶▶3_行政活動に関連した法の実効性についての経験的研究
▶§4_ 立法目的の捉え難さと法の実効性研究の課題
▶▶1_立法目的の捉え難さ
▶▶2_法の実効性研究の課題
第Ⅶ部__ 法専門職
19講_ 弁護士と隣接法律職 【石田京子】
▶§1_ 「法専門職(リーガル・プロフェッション)」をどのようにとらえるか
▶§2_ 弁護士はどのように議論されてきたか
▶▶1_欧米の職業社会学におけるプロフェッション論
▶▶2_弁護士職務のモデル論
▶▶3_弁護士を対象とした実証研究
▶▶4_弁護士法72条と隣接法律職
▶§3_ 弁護士および隣接法律職の特徴
▶▶1_司法制度改革後の法専門職制度
▶▶2_近年の弁護士研究
▶§4_ 弁護士研究の展望
20講_ 検察官 【飯 考行】
▶§1_ 「検察官」をどのようにとらえるか
▶§2_ 「検察官」はどのように議論されてきたか
▶§3_ 「検察官」をめぐる日本(法・社会)の特徴
▶▶1_刑事訴訟手続のデータ
▶▶2_検察官制度の改革
▶§4_ 「検察官」研究のその他の広がり,考えるべき論点
21講_ 裁判官と司法行政 【馬場健一】
▶§1_ 裁判官のおかれた環境の重要性/問題性
▶§2_ 司法官僚制批判
▶§3_ 歴史研究,国際比較
▶§4_ 政治学的実証研究
▶▶1_政治の侍女か官僚統制か
▶▶2_出世の条件
▶§5_ 裁判官の判断過程分析
▶§6_ まとめと展望
第Ⅷ部__ 市民社会と法
22講_ 家 族 【原田綾子】
▶§1_ 法社会学は「家族」をどのようにとらえるか
▶§2_ 国家が描く家族像と家族政策──明治期から戦後へ
▶▶1_家族に対する国家の関心
▶▶2_明治民法下の家族像
▶▶3_戦後家族法下の家族像
▶§3_ 戦後家族のリアリティ──「近代小家族」モデルとその現実
▶▶1_近代小家族のひろがりと新たな問題
▶▶2_多様化・個人化する家族のリアリティに対する政策的対応の遅れ
▶§4_ これからの家族と家族政策の展望──家族の個人化をどう受け止めるべきか
▶▶1_個人を基盤とする家族政策の必要性
▶▶2_国家の持続可能性
▶▶3_家族の暴力や紛争への対応
▶▶4_家族の民主化
▶§5_ 家族に関する研究の今後──法社会学の視点から,そして市民の視点から
23講_ コミュニティ/コモンズ 【高村学人】
▶§1_ コミュニティ/コモンズをどのようにとらえるか
▶§2_ コミュニティ/コモンズはどのように議論されてきたか
▶▶1_入会林野問題の起源
▶▶2_生ける法研究としての入会調査
▶▶3_所有権への問い
▶▶4_入会林野近代化法とコモンズ論
▶§3_ 入会林野のその後から考えるコミュニティ/コモンズ
▶▶1_過剰利用問題から過少利用問題へ
▶▶2_法化に伴う登記名義の影響力の検証
▶▶3_アンチ・コモンズの悲劇へ
▶§4_ コミュニティ/コモンズを広げて考えるには
24講_ 市場・企業 【飯田 高】
▶§1_ 「市場」と「企業」をどのようにとらえるか
▶§2_ 「市場」と「企業」はどのように議論されてきたか
▶▶1_「市場」の法社会学
▶▶2_「企業」の法社会学
▶§3_ 「市場」と「企業」をめぐる日本の特徴
▶▶1_日本の市場・企業の特徴
▶▶2_市場・企業に対する法の影響
▶▶3_法に対する市場・企業の影響
▶§4_ 「市場」・「企業」研究のその他の広がり,考えるべき論点
▶▶1_法と経済パフォーマンス
▶▶2_経済のグローバリゼーション
▶▶3_市場とその他の領域
25講_ 包摂と排除 【長谷川貴陽史】
▶§1_ 包摂と排除とは何か
▶▶1_政治的次元における議論
▶▶2_学術的次元における議論
▶§2_ 包摂と排除との中間段階および交錯
▶§3_ 日本における社会的排除と法的対応
▶▶1_ホームレスの排除
▶▶2_障害者の排除
第Ⅸ部__ 社会変動と法
26講_ ガバナンス 【佐藤岩夫】
▶§1_ 近年のガバナンス論の広がり
▶§2_ ガバナンスとは何か
▶▶1_ガバナンスという言葉の沿革
▶▶2_ガバナンスの概念
▶§3_ 組織構造から見たガバナンスの類型──階層構造・市場・ネットワーク
▶§4_ 現代日本のガバナンス論の諸相
▶▶1_ローカル・ガバナンス
▶▶2_コーポレート・ガバナンス
▶▶3_国の統治機構改革(政治・行政・司法制度の改革)
27講_ 少子高齢化社会 【山口 絢】
▶§1_ 少子高齢化とはどのような現象か
▶§2_ 少子化社会における法政策と課題
▶▶1_人口減少により生じる法的課題
▶▶2_少子化対策の政策とその実効性
▶§3_ 高齢化社会における法政策と課題
▶▶1_高齢者虐待
▶▶2_成年後見制度をめぐる議論
▶▶3_高齢者法の誕生と発展
▶▶4_高齢者の法的ニーズと司法ソーシャルワーク
▶§4_ おわりに
28講_ ジェンダー/セクシュアリティ 【南野佳代】
▶§1_ なぜジェンダーが問題になるのか
▶§2_ ジェンダーとセクシュアリティ
▶▶1_ジェンダーとセックス
▶▶2_ジェンダーとセクシュアリティ
▶§3_ フェミニズム法学の展開と社会変動
▶▶1_フェミニズムとジェンダー
▶▶2_公私二元論と近代家族
▶▶3_社会変動の文脈に置いてみる
▶§4_ 日本の社会とジェンダー
29講_ グローバリゼーション 【尾﨑一郎】
▶§1_ グローバリゼーションとは何か,なぜ問題か
▶§2_ グローバリゼーションに伴う法的課題
▶▶1_人の移動に伴う問題
▶▶2_財の移動に伴う問題
▶▶3_情報の移動に伴う問題
▶§3_ 国家法の限界とグローバル・ガバナンス
▶▶1_国家/国内法の比重低下
▶▶2_国際法の多元化・断片化
▶▶3_トランスナショナル法の構想
▶▶4_自生的秩序/自律的レジーム
▶§4_ 多文化主義/グローバル・ジャスティス/法のクレオール
30講_ 外から見た日本の法と社会 【佐藤岩夫】
▶§1_ 日本の「常識」を疑う
▶§2_ 日本人は裁判嫌いか?──文化・制度・合理的選択
▶§3_ 戦後日本の社会変動と法,日本型行政モデル
▶§4_ 日本の裁判所の活動と組織
▶§5_ むすび
人名・事項索引
執筆者紹介