紹介
カウンセリングの鍵は,会話そのものである。日本人の熟練ナラティヴ・セラピストによる4つのデモンストレーションの逐語録を,最初から最後まで,全編収録。各々の対話について,対人援助者の3人(計11名)が,さまざまな視点で読み解いていく。更には「クライエント体験」の視点からもカウンセリングの実際を振り返る。硬直した支配的な言説に抗して,治療的会話の多様性と可能性を探る。
【主な目次】
はじめに 国重浩一
相手についてではなく、会話のやりとりについて語ること
本書内のダイアログとそれをめぐる語りについて
ダイアログ1 自分に向かう「八つ当たり」
さくらさんとのダイアログをめぐって1 奥野 光
さくらさんとのダイアログをめぐって2 横山克貴
さくらさんとのダイアログをめぐって3 綾城初穂
クライエント体験をしてみて さくらさん
ダイアログ2 あなたが自分で手を伸ばして、掴もうとしているものを、一緒に探す私
みどりさんとのダイアログをめぐって1 浅野衣子
みどりさんとのダイアログをめぐって2 平木典子
みどりさんとのダイアログをめぐって3 能智正博
クライエント体験をしてみて みどりさん
ダイアログ3 真珠を育てる
鈴木さんとのダイアログをめぐって1 大串 綾
鈴木さんとのダイアログをめぐって2 木場律志
鈴木さんとのダイアログをめぐって3 白坂葉子
クライエント体験をしてみて 鈴木さん
ダイアログ4 対等な関係へ
さつきさんとのダイアログをめぐって1 安達映子
さつきさんとのダイアログをめぐって2 坂本真佐哉
さつきさんとのダイアログをめぐって3 横山克貴
クライエント体験をしてみて さつきさん
ナラティヴ・セラピーについて 横山克貴
おわりに 国重浩一
目次
はじめに 国重浩一
相手についてではなく、会話のやりとりについて語ること
本書内のダイアログとそれをめぐる語りについて
ダイアログ1 自分に向かう「八つ当たり」
さくらさんとのダイアログをめぐって1 奥野 光
さくらさんとのダイアログをめぐって2 横山克貴
さくらさんとのダイアログをめぐって3 綾城初穂
クライエント体験をしてみて さくらさん
ダイアログ2 あなたが自分で手を伸ばして、掴もうとしているものを、
一緒に探す私
みどりさんとのダイアログをめぐって1 浅野衣子
みどりさんとのダイアログをめぐって2 平木典子
みどりさんとのダイアログをめぐって3 能智正博
クライエント体験をしてみて みどりさん
ダイアログ3 真珠を育てる
鈴木さんとのダイアログをめぐって1 大串 綾
鈴木さんとのダイアログをめぐって2 木場律志
鈴木さんとのダイアログをめぐって3 白坂葉子
クライエント体験をしてみて 鈴木さん
ダイアログ4 対等な関係へ
さつきさんとのダイアログをめぐって1 安達映子
さつきさんとのダイアログをめぐって2 坂本真佐哉
さつきさんとのダイアログをめぐって3 横山克貴
クライエント体験をしてみて さつきさん
ナラティヴ・セラピーについて 横山克貴
ナラティヴ・セラピーについて書くために
ナラティヴ・セラピーの誘う世界――「私たちは物語を生きている」
多様な物語がそこにある
〈問題〉にはまらないこと
〈問題解決〉にはまらないこと
事件記者の冷めた関与
オルタナティヴ・ストーリーの切れ端を見つけたら
〈行き先の定まっていない旅〉に臨む姿勢
結び――〈会話の展開〉を知っていくということについて
おわりに 国重浩一
引用・参考文献
索引
前書きなど
……ワークが学びにつながるということが理解できたと同時に、本書で取り組みたいと思っている、重要な要素について気づいたのです。それは、カウンセリングの対話をどのように読みほどき、どのように理解していくかについての言語が十分に発達していないということです。それは、それぞれの個人が有する言語が発達していないという意味ではなく、この業界内で利用できる言語が未成熟だということです。
どういうことかというと、心理療法の文脈で支配的になっているロールモデルとの差異や有無という視点から語ることができるものの、ロールモデルが提示するキーワードから離れて、あるいは超えて、会話のやりとりを理解するのがなかなか難しそうだということに気づいたのです。……(本書「はじめに」より)