紹介
取調べの可視化・高度化が社会的にも注目されるなか,対象者の被誘導性とそれへの配慮は,関係者にとって重大な関心事項となる。本書では,司法の文脈における被誘導性に関するエビデンスを,目撃証言や服従性等の関連領域研究をふまえつつ紹介。各章末でレビューの内容と結論を箇条書きにまとめ,司法への示唆も明示する。
【主な目次】
Chapter 1 被誘導性:歴史と導入
Chapter 2 誤情報効果:過去の研究と最近の発展
Chapter 3 尋問による被誘導性と迎合性
Chapter 4 被誘導性と記憶の同調
Chapter 5 被誘導性と個人差:心理社会的尺度と記憶尺度
Chapter 6 出来事そのものについての回復した記憶と被誘導性
Chapter 7 健常児や知的障害児の被誘導性と個人差
Chapter 8 脆弱な人たちにおける被誘導性:知的障害,自閉スペクトラム症,高齢の目撃者
Chapter 9 警察の尋問における急性の被誘導性:脆弱性の主なメカニズムとしての自己制御の障害
Chapter 10 被誘導性と被害者・目撃者:認知面接とNICHDプロトコルによる面接
Chapter 11 取調べにおける被誘導性:私たちは何を知っているのか?
目次
Chapter 1 被誘導性:歴史と導入
1.被誘導性とは何か
2.被誘導性は単一の構成概念か,それとも複数の構成概念か
3.被誘導性に関する研究の歴史
4.被誘導性と関連する認知的要因:記憶と注意
5.被誘導性と社会的要因
6.本書について
7.結論
Chapter 2 誤情報効果:過去の研究と最近の発展
1.矛盾する誤情報と干渉による誤情報現象の説明
2.誘導された詳細情報の偽りの記憶と,誤情報効果の構成主義的説明
3.誤情報パラダイムの最近の進展:強制された捏造と故意に捏造された詳細情報に関する偽りの記憶
4.すべてが偽りである出来事についての強制された捏造と説明役割仮説
5.結論
6.司法への示唆
Chapter 3 尋問による被誘導性と迎合性
1.尋問による被誘導性の定義と初期の開発
2.尋問による被誘導性に関するグッドジョンソンとクラークのモデル(1986)
3.個人差とGSSとGCS
4.GSSとGCSの反応歪曲
5.結論と司法への示唆
Chapter 4 被誘導性と記憶の同調
1.はじめに
2.実生活における記憶の同調の影響
3.記憶の同調に関する研究における異なる方法論的アプローチ
4.記憶の同調が生じる理由についての理論的説明
5.記憶の同調研究の展望
6.結論
7.記憶の同調効果に関する司法への示唆
Chapter 5 被誘導性と個人差:心理社会的尺度と記憶尺度
1.被誘導性と心理社会的変数
2.被誘導性と記憶の要因
3.全体的な結論
4.被誘導性の個人差に関する司法への示唆
Chapter 6 出来事そのものについての回復した記憶と被誘導性
1.異なるタイプの「回復した記憶」の経験
2.誤信念 対 虚記憶
3.自然な状態での誤信念と虚記憶
4.実験室での誤信念と虚記憶
5.実験室で作られた誤信念と虚記憶はどのくらい持続するのか?
6.誤信念と虚記憶の影響
7.誤信念と虚記憶の永続性
8.次はどこへ?
9.結論と司法への示唆
Chapter 7 健常児や知的障害児の被誘導性と個人差
1.健常児の被誘導性:ナラティブの能力,心の理論,感情状態の役割
2.知的障害児
3.結論
4.司法への示唆
Chapter 8 脆弱な人たちにおける被誘導性:知的障害,自閉スペクトラム症,高齢の目撃者
1.はじめに
2.知的障害
3.自閉スペクトラム症
4.高齢の目撃者
5.結論
6.司法への示唆
Chapter 9 警察の尋問における急性の被誘導性:脆弱性の主なメカニズムとしての自己制御の障害
1.尋問の影響力に抵抗するための基礎:抵抗力の減退による脆弱性の増大
2.尋問の影響力には何があるのか,また,どのように抵抗することができるのか?
3.尋問の影響力に対する抵抗の主要なメカニズムとしての自己制御
4.尋問に関連した制御の減退と,抵抗に関する急性の障害:主要な3要因
5.主要な3要因の協働:尋問に関連した深刻な制御の減退(IRRD)
6.結論
7.全体のまとめと結論
8.司法への示唆
Chapter 10 被誘導性と被害者・目撃者:認知面接とNICHDプロトコルによる面接
1.成人の目撃記憶を促進する:認知面接
2.子どもの証言を獲得する:NICHDプロトコル
3.結論
4.司法への示唆
Chapter 11 取調べにおける被誘導性:私たちは何を知っているのか?
1.KEY POINTSのレビュー
2.司法への示唆
3.今後の展望