目次
はじめに
第1章 メタ認知研究の背景と意義
第1節 メタ認知概念の起源
第2節 現在のメタ認知研究の背景
1.言語報告をデータとする思考研究
2.Piagetの認知発達研究
3.Vygotskyの認知発達研究
4.ワーキングメモリーの中央実行系に関する研究
5.メタ認知研究の原動力
第3節 メタ認知の定義と分類
1.メタ認知的知識
2.メタ認知的活動
第4節 学習研究におけるメタ認知研究の意義と課題
1.メタ認知研究の意義
2.メタ認知研究の課題
3.本書の内容
第2章 学習におけるメタ認知と知能
第1節 新しい学習研究の鍵となるメタ認知
1.学習研究の変遷
2.学習の自己調整
第2節 知能とメタ認知の関係
1.知能研究の変遷と多様な知能観
2.知能の意味するもの
3.知能研究の最近の展開
4.メタ認知能力は知能なのか
第3節 学習力を高めるメタ認知の促進
1.PIFSプロジェクト
2.メタ認知をうながす学習支援法
3.学習のトータルデザインに向けて
第3章 知識の獲得・利用とメタ認知
第1節 認知発達とメタ認知の形成
1.幼児期中頃における質的変化:心の理論とメタ表象機能の発達
2.児童期中頃における質的変化:思考過程の意識化とプラニングの発達
第2節 社会的相互作用を通じたメタ認知の形成
1.Vygotskyの発達論
2.他者とのやりとりが知識獲得に及ぼす影響
第3節 メタ認知の形成による知識獲得の促進
1.相互教授法
2.プラニングを重視した作文指導法
3.ヒューリスティックスを利用した指導法
4.メタ認知を育成する指導法の特質
第4節 学習観の形成と知識の獲得・利用
1.日本の子どもの学力・リテラシーと学習観
2.学習観の変容をめざした中学校の数学授業:プロセスと効果の検討
3.大学生の学習観・学習方略と記述形式の問題への取り組み
第4章 学習方略とメタ認知
第1節 学習方略と課題解決方略
1.学習方略
2.課題解決方略
第2節 方略使用に影響する要因
1.なぜ方略を使わないのか:有効性の認知とコスト感
2.方略の柔軟な選択に関する知識
3.方略の獲得・使用に影響する学習観と学習動機
第3節 学習方略の診断とフィードバック
1.行動観察による診断
2.質問紙による診断
3.フィードバックを通じた学習者による自覚化
第4節 学習方略改善のための指導・支援
1.認知カウンセリングにおける学習方略の改善
2.授業での教示による学習方略の指導
3.学習者どうしのかかわりを通じての方略の獲得
第5節 学びのリソースとしての他者とのかかわり
1.学習場面における援助要請
2.仲間どうしの教え合い
3.他者の力を借りることの長所と短所
第5章 学習における動機づけとメタ認知
第1節 動機づけの概念とそのメタ認知的特徴
第2節 期待にまつわる概念
1.期待の下位分類
2.期待にかかわる信念と概念
第3節 目標,価値
1.目標の特徴
2.価値にかかわる自己への信念
第4節 メタ認知機能と動機づけの関係
1.実行機能と動機づけの関係
2.その他の動機づけの情報処理的制約:意思決定のバイアスの問題
第5節 感情としての動機づけ
1.自己意識的情動
2.負の情動制御の問題
3.学習の制御と負の情動制御
第6節 学校に限らない,日常生活の中でのとまどい
1.社会的文脈の変化に対するメタ認知的問題
2.動機づけの転移
第7節 終わりに:メタ認知と対話
1.メタ認知は対話から始まり,続いていく
2.個の中で閉じた物語を超えて
第6章 文章の理解におけるメタ認知
第1節 読解過程におけるメタ認知とは
1.メタ認知的知識とモニタリング
2.読解方略の機能と種類
第2節 メタ認知の形成と指導
1.特定方略使用の指導
2.対話を通した多様なメタ認知方略の獲得
3.読解意欲を高めることがメタ認知を高める
第3節 授業実践からとらえるメタ認知の育成
1.メタ認知を支える心理的な道具と読解の授業
2.メタ認知能力を育てるためのカリキュラム構想とコミュニケーション
第7章 数学的問題解決におけるメタ認知
第1節 数学的問題解決とメタ認知
1.数学的問題解決におけるメタ認知研究の始まり
2.数学的問題解決とは
3.数学的問題解決の分類とその過程
第2節 計算問題解決におけるメタ認知
1.計算問題解決の過程
2.計算問題解決のモニタリングと検算
3.概算を用いたモニタリング
第3節 代数的文章題解決におけるメタ認知
1.文章題の4段階説
2.変換過程におけるメタ認知
3.問題統合・プラン過程でのモニタリング
4.解決過程におけるメタ認知
第4節 幾何的図形問題解決とメタ認知
1.幾何的図形問題の解決過程
2.統合段階とメタ認知
3.プラン段階・実行段階でのメタ認知
第5節 数学的問題解決の予測と評価
第6節 メタ認知の働きを支える要因
1.作動記憶とメタ認知
2.メタ認知知識とモニタリング・プランニング
第7節 数学的問題解決の熟達化とメタ認知
1.計算技能の熟達化とメタ認知
2.文章題・幾何的問題解決の熟達化とメタ認知
3.数学的問題解決の転移とスキーマ・メタ認知
第8節 終わりに:今後の課題
1.数学的思考の形成とメタ認知
2.数学的概念の獲得とメタ認知
第8章 科学的思考と科学理論の形成におけるメタ認知
第1節 科学的思考とメタ認知の役割
1.素朴な「科学者」としての一般の人々の思考
2.3タイプの科学のイメージとメタ認知の役割
第2節 科学的思考の局面と課題による影響
1.科学的思考の局面
2.領域固有な知識が科学的思考とメタ認知に及ぼす影響
3.個人のメタ認知技能の評価
第3節 科学に関する多様な考えとメタ認知
1.科学的現象,科学的思考,科学に関する多様な考え
2.素朴概念は,理論か断片的知識か
3.ファシット
第4節 科学教育におけるメタ認知技能の支援
1.自己の考えを意識化し,知識の統合をうながす教授方略
2.教室の話し合いでの多様な考えの表現と意識的な検討
3.数学の道具の利用による自己の考えの意識的な検討
4.まとめ
第9章 談話の産出・理解におけるメタ認知
第1節 談話過程の自動性と意識化
1.談話過程のメタ認知
2.ことばの機能
3.ことばの機能についての調査
第2節 談話の産出におけるメタ認知
1.どのように表現するか:要求表現
2.間接的な要求表現
3.間接的な拒否表現
4.オンラインでのメタ認知
第3節 談話理解・記憶におけるメタ認知
1.発話の理解とメタ認知
2.ソースモニタリング
第4節 まとめ
第10章 学習の障害とメタ認知
第1節 障害児の生活とメタ認知
第2節 知的障害児の学習とメタ認知
1.分類学習
2.弁別学習
第3節 軽度発達障害児の学習とメタ認知
1.学習障害児の教科学習
2.他の軽度発達障害児の学習困難とその対応
第4節 特別支援教育とメタ認知
第11章 認知行動療法とメタ認知
第1節 認知行動療法の基本仮説と技法
1.情動障害を引き起こす「認知」
2.認知のセルフコントロール
第2節 精神病理の発生におけるメタ認知
1.侵入思考に対するメタ認知的評価が病理の発展を決める
2.情動障害のメタ認知理論
3.特異なメタ認知的基準によって心配が持続する
4.メタ認知的知識とメタ認知的方略の関連
第3節 治療過程におけるメタ認知の役割:ラディカルな展開
1.ネガティブな認知はなくならない
2.ネガティブな認知を相対化する
3.ネガティブな思考から距離をおく技法
第4節 メタ認知の働く基盤:注意機能
1.治療による注意能力の向上
2.注意機能の神経基盤
第5節 より高次のメタ認知の役割:治療の目標・価値・素朴心理学
1.明示的な治療目標の重要性
2.素朴理論の役割
第6節 終わりに
第12章 メタ認知の神経科学的基礎
第1節 脳損傷とメタ認知の障害
1.フィネアス・ゲイジの例
2.Luriaの患者の例
3.Penfieldの姉の例
第2節 メタ認知と前頭連合野
第3節 メタ認知的制御と前頭連合野の働き
1.反応抑制と前頭連合野
2.反応基準の切り替えと前頭連合野
第4節 ワーキングメモリーと前頭連合野
第5節 心の理論を支える脳
1.誤った信念課題
2.発達と心の理論の獲得
3.心の理論を支える脳
第6節 まとめ
引用文献
人名索引
事項索引