目次
第1章 視覚の遊戯──マンテーニャ《カーメラ・デリ・スポージ天井画》の〈天窓〉 上村清雄+神谷玖方子
第2章 眠れる乙女、あるいは比類のない歓喜──ジョルジョーネ《眠れるウェヌス》に注がれた眼差し 出佳奈子
第3章 闇の発見──カラヴァッジョとフランチェスコ・パトリツィの視覚 吉住磨子
第4章 鏡を見る男たち──ピエル・フランチェスコ・モーラ《若者に鏡を見せるソクラテス》 大野陽子第5章 現実と虚構のはざま──景観画家ベルナルド・ベロットと田園風景 金沢文緒
特別寄稿 稀代の「プロテウス」にして感性の画家アルチンボルド──《ウェルトゥムヌス》再考 尾崎彰宏
註
視覚論のはざまで──解題にかえて 遠山公一
五感の館 パラッツォ・テ──シリーズ〈感覚のラビュリントゥス〉を閉じるにあたって 上村清雄
人名索引
前書きなど
シリーズ〈感覚のラビュリントゥス〉は、導入の『知識のイコノグラフィア──文字・書籍・書斎』の刊行に始まり、『味覚のイコノグラフィア──蜂蜜・授乳・チョコレート』、『聴覚のイコノグラフィア──楽器・音楽家・音楽文化』、『触覚のイコノグラフィア──ダフネ・蜥蜴・洗礼者聖ヨハネの舌』、『嗅覚のイコノグラフィア──フローラの春・夜明けの薔薇・ユディットの血飛沫』、そして最後に視覚を論じた本書『視覚のイコノグラフィア──〈トロンプ・ルイユ〉・横たわる美女・闇の発見』で完結した。それぞれ巻が作品を生みだす芸術環境、依頼主、受容する人々など、あくまで作品に根ざし作品の創造過程を考察し再現することを目指す一方、シリーズ全体では、美術作品を享受することが感覚にのみ依拠しないきわめて知的な営為であり、そしてまた五感すべてが動員される営みであることを明らかにする。