紹介
(近代の再検討が根源的に問われるなか、近代的思惟の原点の翻訳。)
『精神現象学』が出版されて間もない1807年7月8日に、ヘーゲルはニートハンマーに宛てて「出来るだけ多くの力を」自分の論理学総論の仕事に注いでいると書いている。『大論理学』全三巻は、1812年から1816年にかけて出版された。しかし、当時の書評界かこの著作にたいして一顧だに与えなかった。・・・・・
最近20年間のヘーゲル受容においてはじめて『大論理学』にたいして、ヘーゲル自身の理解にふさわしいと思われる位置づけがなされるようになった。
絶対的否定性は、絶対的概念の構造そのものであるから、主観性の構造である。したがって『大論理学』は主観性の理論のまったき姿である。『精神現象学』の「序文」で定式化された意図、すなわち実体を同様に主体としても把握することが問題だという企図は、『大論理学』においてはじめて果たされる。ここでは、実体の弁証法的運動が概念のもっとも直接的な起源となっているのである。
目次
訳者のまえがき
序 言
序 論
論理学の一般的区分について
第一書 存 在
学は何を端初としなければならないか
存在の一般的区分
第一編 規定態(質)
第一章 存 在
第二章 定 在
第三章 向自存在
第二編 大きさ(量)
第一章 量
第二章 定 量
第三章 量的相関〔比〕
第三編 度 量
第一章 特有の量
第二章 独立した度量の比
第三章 本質の生成
訳者注
付 論
付論一 A版の序言がB版でどのように改変されているか
付論二 「論理学の一般的区分」に関する叙述のA版とB版とのちがい
付論三 A・B両版における「端初論」のちがい
付論四 「定在」の章はB版でどのように改変されているか
付論五 A・B両版における「向自存在」の章のちがい
付論六 「大きさ」と「量」
付論七 A・B両版における「度量」の編のちがい
訳者のあとがき