目次
推薦のことば
はじめに 利用者主体の社会資源活用の知恵
第1章 くらしと社会保障
①私たちのくらしと社会保障
②権利としての社会保障
③社会保障制度の概要
④相談支援の目的と社会資源
⑤共生社会の実現とソーシャルワーク
A 「地域共生社会の実現」~「地域包括ケア」概念を含む包括的な支援体制
B 共生社会の実現に向けたソーシャルワーク~社会保障の肩代わりとしての地域づくりからの脱却
⑥社会保障の課題とソーシャルワーク~私たちは誰を支援するのか、そしてどう支援するのか
第2章 人生に寄り添う長いスパンでの社会資源活用の実際
物語 脳梗塞発症:急性期病院から回復期リハビリテーション病棟へ
物語 制度を活用し望む生活、社会参加を
物語 がんとの共生に取り組む
物語 ホームレス状態の新司さんが選んだ自分らしい生活
物語 若年性認知症を発症した由紀美さんへの復職支援
物語 難病により長期的に介護が必要になった人の在宅支援
物語 人工透析を受けつつギリギリまで離島で生活を続けたい……
物語 生きづらさを抱える人のひとり暮らしと就労支援
物語 医療的ケア児とその家庭の生活を支える
物語 ヤングケアラーを支援するということ
物語 父親が母親を殴り、子を叩いた。子どもの安全を保障するには
第3章 社会資源活用の基本と局面での対応
①面接時のポイント(解決構築アプローチを中心に)
A 利用者の「望む生活」(ニーズ)を引き出すために
B 対話のコツ
②社会保障制度活用上の原則
③制度活用上の留意点、活用時期、逆算の配慮
A フォーマルな社会資源
B インフォーマルな社会資源
C 社会資源を利用する際の留意事項
④在宅・マンパワー・多職種協働
A 病気になっても、在宅で自分らしく過ごしたい
B 在宅診療・訪問看護
C 福祉職・その他の連携
D 多職種協働のめざすもの
⑤在宅・環境整備
A 制度活用のポイント
B 制度利用の優先はあるがあきらめない
⑥身寄りがない状態・家族不在の状態での支援
A 身寄りがない状態の定義
B 支援の実際の留意点
C 医療同意は一身専属性
D 転院・福祉施設等入所時における課題
E アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
F 社会・政策的課題
⑦生活保護の相談の場面と申請方法の状態での支援
A 生活保護申請の際に準備するもの
B 生活保護申請の心構え
C 生活保護の適用範囲について
D 生活保護について最低限知っておくこと
⑧障害年金の申請
A 「初診日」について
B 「障害認定日」と「事後重症」について
C 障害年金と障害者手帳の関係について
第4章 社会保障制度活用の実際
医療福祉に関わる主な相談窓口
医療提供のしくみ――適切な医療を受けるために
①医療提供施設を定める医療法
A 医療法による区分
②病棟・病床の種類と特徴(診療報酬上の病棟・病床区分)
③在宅生活を支える医療サービス
④精神科における医療サービス
A 精神科の相談、受診
B 入院形態
C 退院請求・処遇改善請求
D 病棟・病床の機能
E 退院に向けて
F 地域生活
⑤医療提供を支える専門職
医療に関する諸制度
①医療保険制度や諸制度
②医療費自己負担を軽くするために
A 高額療養費制度
B 医療費の軽減制度
C 被害者救済医療
D 税制上の軽減制度
生活と生活費
①公的扶助
②生活困窮者自立支援制度
③住宅セーフティネット制度
④生活福祉資金貸付制度
⑤最低賃金制度
⑥年金保険制度
A 国民年金(老齢基礎年金)
B 厚生年金(老齢厚生年金)
C 障害年金
D さまざまな年金
しごと
①雇用保険制度
刑余者の支援
高齢者サービスのガイド
①介護保険のしくみと手続き
②相談するところ
高齢者サービスの実際
①住まい(施設)
②くらすところで利用するサービス
③出向いて利用するサービス
④介護保険サービスの費用
税制上の軽減制度
障害者・障害児サービスのガイド
①障害者手帳
②相談するところ
障害者・障害児の利用できるサービス
①障害者総合支援法に基づくサービス(自立支援給付)
A 障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)
B 補装具
C 自立支援医療
D 計画相談支援
E 地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)
②障害者総合支援法に基づくサービス(地域生活支援事業)
③地域生活支援拠点等事業
④児童福祉法に基づくサービス(障害児支援)
⑤手帳で利用できるサービス
⑥費用負担
A 障害者の場合
B 補装具の場合
C 障害児の場合
D 費用負担の軽減措置
⑦障害福祉サービスと介護保険サービス
難病患者への支援
障害者の就労
手当
自助グループ
子ども・家庭のために
①相談するところ
②医療費助成制度
③手当
④住まい(施設)
⑤妊娠・出産後の支援
⑥子育てサポート
⑦ひとり親家庭支援
A 子育て・生活支援
B 経済支援
C しごと
⑧育児をしながら働くために利用できる制度
権利擁護
①後見制度
②日常生活自立支援事業
③虐待防止
④障害者差別解消法
⑤インターネットや消費者トラブルなどの相談窓口
資料編
索引
おわりに ソーシャルアクションを志向して
column
難病プロジェクトMebia
さまざまな「杖」の種類と調達方法
医療依存度が低い患者の入院療養生活の課題
医療扶助のオンライン資格確認が始まる!
生活保護基準が変わりました
最低賃金の減額の特例許可制度があります
2024年4月から労働条件明示のルールが変更に!
社会保険の適用が拡大される!
「犯罪加害者を支援する」ということ
地域包括ケアシステムを確認しましょう
さまざまな支援者の創設の動き
2024年4月より合理的配慮の提供が義務化されました
自分に合った働き方をみつけたい
特別支援学級について
こども未来戦略
ミニ知識
差額ベッド代
国民健康保険一部負担金減免制度
外国人の国民健康保険
包括払いと出来高払い
労災保険で治療を受ける場合
NASVA(ナスバ:独立行政法人自動車事故対策機構)
その他の医療費助成制度
自治体によってことなる医療費助成
セルフメディケーション税制とは?
扶養援助
生活保護の相談・申請・適用に関する厚生労働省通知
不服申立て(審査請求)
生活保護手帳と別冊問答集
民生委員
生活保護の内容で知っておきたいこと
まぎらわしい手当金
保護司
認定調査に同席しましょう
インターネットで介護サービス事業所を探す
「どんな施設がありますか」に答えるために
障害者控除対象認定
障害支援区分認定調査時のポイント
サービスの選択と活用
アルコール依存症の人がたどるプロセス
産休・育休中の保険料の免除について
前書きなど
はじめに 利用者主体の社会資源活用の知恵
生活課題を解消するための医療や福祉など、社会保障制度は幅広く存在します。しかし、それらが適切に活用されているでしょうか。
介護を巡る事件、ヤングケアラー、虐待など、人との関係性や貧困が絡まる多くの不幸を見聞きします。なぜSOSが発信できなかったのだろう。受け止める人は居なかったのだろうか。疑問と口惜しさがあります。本書の主眼は社会資源活用が広く行き渡り、こうした不幸を防ぐことにあります。
社会資源を活用して、より望ましい生活を獲得するには、まず諸制度の知識が必要です。社会資源の知識は支援する人々の共通言語と言えます。しかし、それらの情報を集めて、紹介するだけでは生活保障に繋がることにはなり得ません。
(…中略…)
本書編集の工夫
*本書の編集は「もし、自分が利用する立場ならば……」と自問しながら進めています。
*法律や役所から示されている説明文を載せるのではなく、すべての解説を利用者にわかりやすく言い換えました。
*制度をひとことで説明する見出しをつけました。
*「ミニ知識」「column」などで医療福祉制度を総合的に補足しています。
ソーシャルアクションの一つとして
本書の出版は、日本の社会福祉制度・医療制度を、国民を支える制度として活かしていくための忍耐強いアクションのひとつだと思っています。
地域によって、制度の質も量もことなる場合があります。本書が各地域において「おらが地域」の医療福祉制度の比較、点検のためのウォッチングガイドブックとなり、権利に基づく提言の根拠ツールにしていただければと願っています。
こうしたアクションのためにというソーシャルワーカー魂で執筆にかかわった38名の仲間たちの存在を心強く思います。
執筆者たちの心の底に流れる「利用者のために意を尽くそう」という思いをくみ取っていただければ、大きな喜びです。
(…後略…)