目次
序文
要旨
第Ⅰ部 革新的教授法の重要性
第1章 教授法を革新することの重要性――概観と要点
第1節 今なぜ教授法が問題なのか
第2節 教授法と教師の専門職性
第3節 効果的な教授法のカギとなる要素――5つのCで構成される「C枠組み」
第4節 教授法のアプローチを定義する
第5節 革新的教授法を促進するネットワークの役割
第6節 政策議論を組み立て直すための重要なメッセージ
第7節 まとめ
第2章 教授と学習との複雑な相互作用――革新的教授法の理解
第1節 革新的教授法についての研究背景と文献資料
第2節 教授法の相互作用と連続性の概念的理解
第3節 「C枠組み」による革新的教授法の概念的理解
第4節 本書の方法論
付録2.A ネットワークへの質問票
第3章 C枠組みの構築にあたって――洞察と振り返り
第1節 教授法の目的――アメリア・ピーターソン(ハーバード大学)
第2節 適合型教授:生徒の個人差と生産的学習――ハナ・デュモン(ドイツ国際教育研究所)
第3節 革新的教授法と従来の教授法との組み合わせ――アメリア・ピーターソン(ハーバード大学)
第4節 教授法と教育内容:数学・非母語・社会情動的学習――マーク・ラファンテ(教育コンサルタント)
第5節 教授法を「新たな学習者」の環境やテクノロジーに適合させる――マーク・ラファンテ(教育コンサルタント)
第6節 変化とテクノロジーが強化された革新的教授法――ナンシー・ロウ(香港大学)
第Ⅱ部 革新的教授法の編集
第4章 6つの革新的教授法
第1節 革新的教授法の特定と選択
第2節 一連の革新的教授法
第3節 「C枠組み」を通してみる革新的教授法
第4節 革新的教授法を組み合わせるための手がかり
第5節 6つの革新的教授法の概要
第5章 ブレンド型学習
第1節 ブレンド型学習の定義
第2節 教授法の組み合わせ
第3節 教授法の専門的応用
第4節 教授と学習が置かれている状況
第5節 教授と学習に備わっている内容
第6節 期待される変化
第7節 まとめ
第6章 ゲーミフィケーション
第1節 ゲーミフィケーションの定義
第2節 教授法の組み合わせ
第3節 教授法の専門的応用
第4節 教授と学習が置かれている状況
第5節 教授と学習に備わっている内容
第6節 期待される変化
第7節 まとめ
第7章 コンピュータ活用思考
第1節 コンピュータ活用思考の定義
第2節 教授法の組み合わせ
第3節 教授法の専門的応用
第4節 教授と学習が置かれている状況
第5節 教授と学習に備わっている内容
第6節 期待される変化
第7節 まとめ
第8章 体験学習
第1節 体験学習の定義
第2節 教授法の組み合わせ
第3節 教授法の専門的応用
第4節 教授と学習が置かれている状況
第5節 教授と学習に備わっている内容
第6節 期待される変化
第7節 まとめ
第9章 つくり・あらわす学習
第1節 つくり・あらわす学習の定義
第2節 教授法の組み合わせ
第3節 教授法の専門的応用
第4節 教授と学習に備わっている内容
第5節 教授と学習が置かれている状況
第6節 期待される変化
第7節 まとめ
第10章 マルチリテラシーと討論型教授
第1節 マルチリテラシーと討論型教授の定義
第2節 教授法の組み合わせ
第3節 教授法の専門的応用
第4節 教授と学習に備わっている内容
第5節 教授と学習が置かれている状況
第6節 期待される変化
第7節 まとめ
第Ⅲ部 革新的学校のネットワーク
第11章 強力な学習ネットワークのための革新的教授法
第1節 はじめに
第2節 教授法アプローチネットワーク
第3節 革新推進ネットワーク
第4節 専門職教育ネットワーク
第5節 ネットワークのさまざまな成長の経験
第6節 まとめ
第12章 革新的な教授法と教授・学習へのアプローチ
第1節 はじめに
第2節 教授法アプローチネットワークの主要な要素
第3節 OECDの学習原理に対する支持
第4節 指導や教授法における評価の役割
第5節 学習者の声と学びを自らのものにする力
第6節 ネットワークのカリキュラム及び学習者の焦点
第7節 テクノロジーを中心に置くことについて
第8節 カギとなる実践――何が実践されるべきか
第9節 まとめ
第13章 教職の専門的要求と教職専門研修におけるネットワークの役割
第1節 はじめに
第2節 教授法のアプローチはどのように教師に要求するか
第3節 ネットワークのアプローチの組織的要求
第4節 ネットワークと専門職教育
第5節 ネットワークの評価とそのメンバー校
第6節 まとめ
謝辞
監訳者・訳者解説
前書きなど
序文
世界の学校教育改革において、教授法の重要性に関する認識が高まりつつある。これは、教育目的を達成したいという意欲の高まりの結果であり、また、若い人々が達成できることについての見方が一層広がっているためである。学習者中心の教授法に関心がシフトしているのは、誰もが高いレベルまで学ぶことができるようにしようという意図を持って、誰がどのように学ぶことができるのかという、より包括的な見方を反映しているためである。コンピテンシーに対する現在の高い注目度によって、それに応じて教授法に焦点を当てることが求められている。
21世紀に求められる知識とスキルを高めるために、学校教育には革新が必要だという認識が深まっている。構造や規則、制度上の取り決め、そしてリソースといった、一般に政策上みられる変化する要素は、学習成果が得られる教室から、まったくといってよいほど除かれている。教授上の人間関係は、複合的な状況のなかで、ミクロレベルで学習者と教育者とが相互にやり取りするなかに表れる。それは、単一のシステムにおいてさえも把握することはとても難しい。だからこそ、この領域は国際的な交流や分析にとって曖昧な領域となっている。
すでに、OECD教育研究革新センター(CERI)の革新的な学習環境に関する研究において、革新的で強力な学習環境における「教授法上の核」と7つの学習原理を立てる枠組みが開発されている。本書は、そこでの分析をさまざまな教授法の検討をとおして拡張したものである。
本書は、教授・学習の新たなアプローチを開拓し、独自の枠組みやコンセプトを提供する。そこでは、革新的教授法が開発され、拡大される条件が一層理解される。さらに本書は、世界の各地から学校のネットワークの事例と経験を集めている。そうすることで、教育の革新者、研究者そして政策策定者のコミュニティを育て、OECDの教育事業においても、より一層広い議論に影響を与えることがめざされている。そしてまた、今日の教授と学習の核心である革新的教授法に改めて関心を向けようとするものである。