目次
【5年生】1つの国、1つの国民 5
親愛なる生徒諸君へ
第1部 フィリピン
第1課 世界の一部としてのフィリピン
第2課 フィリピンの気候と季節
第3課 フィリピンの起源
第4課 フィリピン人の起源
第2部 古代フィリピン人たち
第5課 古代フィリピン人の集落、生活様式、技術
第6課 古代フィリピン人の経済的状況
第7課 古代フィリピン人の文化
第8課 古代の社会状況
第9課 古代における統治
第3部 スペイン植民地期のフィリピン
第10課 スペインによるフィリピン植民地化
第11課 スペイン植民地期における社会状況
第12課 スペイン植民地期の経済状況
第13課 スペイン植民地期のフィリピン文化
第4部 フィリピンにおける国民形成
第14課 国民意識の覚醒
第15課 改革運動
第16課 カティプーナンとフィリピン革命
第17課 フィリピンの独立に向けて
参考文献
索引
【6年生】1つの国、1つの国民 6
親愛なる生徒諸君へ
第1部 フィリピン
第1課 世界の一部としてのフィリピン
第2課 フィリピンの地勢の重要性
第2部 独立に向けての闘争
第3課 フィリピン革命
第4課 アメリカによるフィリピン占領
第5課 フィリピンにおけるアメリカ統治
第6課 フィリピン独立のための法律と政策
第7課 アメリカ植民統治下のフィリピンの変化
第8課 フィリピン・コモンウェルス(自治政府)
第9課 日本によるフィリピン占領
第10課 フィリピンにおける日本統治
第11課 独立に向けた戦い――日本占領
第3部 フィリピンの主権への挑戦
第12課 第2次世界大戦後のフィリピン
第13課 独立の難題に立ち向かう
第14課 戒厳令
第4部 真の民主主義と独立の達成に向けて
第15課 民主主義の回復
第16課 1986年から現在までのフィリピン
参考文献
索引
訳者あとがき
前書きなど
訳者あとがき
この本はフィリピンで出版された小学校5年、6年生用教科書2冊One Country One People (Aligned with the K to 12 Curriculum, Grade 5 and 6), 2015 and 2014, Vibal社の翻訳である。
(…中略…)
ここで、訳してみた感想を一言書いておこう。小学校5、6年生を対象として、フィリピンの歴史を教えている点について考えさせられた。国の成長を担う小学生に日本占領や戒厳令の意味を教えようと努力している点が敬服される。その点で国を思う心が伝わってくる。ただし本書には、南部フィリピン(ミンダナオやスールー諸島など)のイスラーム地域の歴史や、アメリカ時代以降、特に独立後の統合問題にほとんど触れられていないということに関して課題がある。とはいえ、フィリピン人が歴史の中で、まさに汗を流し、血を流して、涙したという事実を教えようとしている。しかし、2022年の大統領選挙で「戒厳令」の張本人マルコスの息子ボンボンが立候補し、当選してしまった。「戒厳令」が何をフィリピンにもたらしたか、忘れてしまったかのごとき、フィリピンにおける彼の人気ぶりには違和感を覚える。国民が強い指導力を求めている、という記述も報道にあった(東京新聞Web版https://www.tokyo-np.co.jp/article/143101、2020年11月16日付:2022年1月18日アクセス)。だが、ストロングだけでよいのか。国民に嘘をつかないという意味で正直さ、清潔さも大統領には求められるのである。
一方で、翻訳に時間がかかったため、以下のような欠点が生まれてしまった。つまり、現在、時は2022年。2014-15年に出版された原本は2016年に誕生したロドリゴ・ドゥテルテ政権、2022年発足のボンボン・マルコス政権については触れていない。
(…後略…)