目次
はじめに――『全国データ SDGsと日本』から『SDGsと地域社会』へ
あなたのまちで人間の安全保障指標をつくろう!
第1部 SDGsと人間の安全保障
第1章 SDGsの目指すものは何か
1-1 SDGsの意味と人間の安全保障の意義
1-2 尊厳とは何か、それを何によって測るか
第2部 『全国データ SDGsと日本』から『SDGs宮城モデル』へ
第2章 『全国データ SDGsと日本』からみた東北地方・宮城県の課題
第3章 SDGs宮城モデル(宮城県の人間の安全保障指標)
3-1 地図でみた宮城県
3-2 宮城県:東日本大震災から10年――何がどう変わったのか
3-3 SDGs宮城モデル(宮城県の人間の安全保障指標)
3-4 宮城県内の市町村別指数
3-5 アンケート調査による主観的評価
第3部 地域社会によるSDGsの取り組み
第4章 「誰も取り残されない地域社会」を作るための提言
第5章 指標をどう作成し、活用するか
第6章 地域社会による特色ある取り組みの例
第7章 ESD教育の意義と実践例:宮城県気仙沼市を事例に
第8章 住民参加によるSDGsの実践と自治体のありかた
第9章 子どもにやさしいまち事業の意義と現状
第4部 「誰も取り残されない地域社会」の実現に向けた課題
第10章 被災者
10-1 被災者の課題:取り残される被災者を生まないために
10-2 自然災害における強靱性
10-3 復興と住民参加:防潮堤を例にして
第11章 子ども
11-1 「みやぎ」における子どもの課題
11-2 富谷市の「こどもにやさしいまちづくり」推進事業
11-3 子どもにとってのSDGs:被災地での実践から知る「遊ぶ」ちから
第12章 女性
12-1 SDGsと女性のエンパワメント:災害女性学の視点
12-2 自治体の男女共同参画事業の評価基準:住民主体でつくる
12-3 コロナ禍による母子家庭の生活困窮
12-4 誰も取り残されない気仙沼を実現するプロジェクト
第13章 国際化
13-1 宮城県の国際化の現状・課題と展望
13-2 コロナ禍で浮かびあがった「多文化共生」の課題
参考資料
1 SDGs宮城モデル(宮城県の人間の安全保障指標)指標別ランキング
2 宮城県市町村別プロファイル
3 読書案内
あとがき
前書きなど
はじめに――『全国データ SDGsと日本』から『SDGsと地域社会』へ
(…前略…)
すべての人の命、生活、尊厳を守り、「誰も取り残されない社会」を実現するうえで、人々の課題をより明確にするためには、都道府県別よりもさらに住民の日々の生活に密着した市町村レベルの指標を作成して、優先課題や問題点を可視化して、住民参加のまちづくりに役立てていくことが重要である。その端緒として、指標チームは、東日本大震災の被害が大きく、全国比較で課題が大きいことが判明した宮城県内の市町村レベルの人間の安全保障指標(「SDGs宮城モデル」)を作成した。市町村別の指標の最初に宮城県を選んだもう一つの理由は、私も含め指標チーム・メンバーの多くが、東日本大震災の被災者支援のために宮城県内で活動した経験があり、県民にとって住みやすい宮城県にするために微力ながらお役に立ちたいという宮城に寄せる強い思いによるものである。
この成果は、大震災10周年の機会をとらえて開催した2021年3月仙台国際センターでの中間発表会以来、宮城県庁、県議会議員、各自治体への説明会を始め多くの機会を通じて、全国に紹介してきている。この結果、日本の各地でSDGsの達成に真剣に取り組んでおられる多くの方々から、宮城モデルを参考に、暮らしの場で自分たちが直面している課題を見つめ直す指標を作成したいとの要望が寄せられている。本書は、このような声にお答えして、『全国データ SDGsと日本』の続編として、SDGs宮城モデル作成にあたって直面した問題や課題について説明し、地元の事情に即した指標をつくるための参考となる事例や情報を提供している。
本書の第1部では、SDGsの目指す理念と人間の安全保障の意義、尊厳の意味を取り上げ、指標作成にあたっての考え方の整理を行う。第2部では、東日本大震災から10年が経過した宮城県の課題、SDGs宮城モデルの詳細を説明する。第3部では、「誰も取り残されない地域社会」に向けた提言、人間の安全保障指標の作成・活用法、地域社会での特色ある取り組み、ESD教育の実践、住民参加によるSDGs、子どもにやさしいまち事業を紹介する。第4部では、個別の課題として、被災者、自然災害における強靱性、復興と住民参加、子ども、女性、コロナ禍による母子家庭の生活困窮、地域社会の国際化と多文化共生の問題などについて、指標づくりにご協力くださった宮城県で活動する皆様に、東日本大震災やコロナ禍での経験を踏まえた具体的な取り組みの事例を紹介していただいた。
(…後略…)