目次
刊行にあたって
謝辞
まえがき
要旨
利用にあたって
A章 社会情動的スキルが重要な理由
第1節 社会情動的スキルとは何か?
第2節 社会情動的スキルの重要性
2.1 社会情動的スキルは、生徒の重要な成果に関連している
2.2 学業成績
2.3 就業状況
2.4 ウェルビーイングと健康
2.5 社会的結束
2.6 社会情動的スキルは可鍛性がある
B章 社会情動的スキル調査の概要
第1節 調査の契機と目的
第2節 調査対象の社会情動的スキル
第3節 社会情動的スキルの評価
3.1 スキルの測定方法
3.2 背景情報
3.3 生徒用質問票
3.4 親用質問票
3.5 教員用質問票
3.6 学校長用質問票
第4節 調査の実施
4.1 調査の管理形態
4.2 標本抽出及び調査対象者
4.3 調査対象都市
4.4 調査の日程
第5節 本報告書の構成
第6節 調査結果の公開情報
第1章 社会情動的スキルの社会学的・人口統計学的分布
データからわかること
第1節 生徒の特性による社会情動的スキルの差異
1.1 年齢
1.2 性別
1.3 家庭環境
第2節 学校の要因は社会情動的スキルにどの程度関連しているのか?
第3節 親、教育者及び政策立案者にとって、本章の調査結果は何を意味するのか?
第2章 学業面での成功と、教育及び職業に関する希望
データからわかること
第1節 生徒の社会情動的スキルと学業成績との関連
1.1 成績優秀者
1.2 都市、年齢コホート及び教科による差異
第2節 生徒の社会情動的スキルと教育及び職業に関する希望の関連
2.1 教育に関する希望
2.2 職業に関する希望
第3節 親、教育者及び政策立案者にとって、本章の調査結果は何を意味するのか?
第3章 心理的ウェルビーイング
データからわかること
第1節 心理的ウェルビーイングのリスクが高い生徒
1.1 生活満足度
1.2 現在の心理的ウェルビーイング
1.3 テスト不安
第2節 社会情動的スキルと心理的ウェルビーイングの関連
2.1 生活満足度
2.2 現在の心理的ウェルビーイング
2.3 テスト不安
第3節 学校環境及び期待と生徒の心理的ウェルビーイングの関連
第4節 親、教育者及び政策立案者にとって、本章の調査結果は何を意味するのか?
第4章 創造性と好奇心
データからわかること
第1節 創造性と好奇心が、21世紀の市民と社会にとって重要な理由
第2節 創造性と好奇心の相関関係及び他の社会情動的スキルとの関連
第3節 生徒、親及び教員からみた、創造性と好奇心の個人差の変化
第4節 学校の要因と創造性及び好奇心の関連
4.1 創造性及び好奇心と校風に関する生徒の認識の関連
4.2 創造性及び好奇心とスポーツ・芸術活動への生徒の参加の関連
第5節 職業選択と生徒の社会情動的スキルの関連
第6節 親、教育者及び政策立案者にとって、本章の調査結果は何を意味するのか?
第5章 学校における、いじめ被害と社会的相互関係
データからわかること
第1節 学校での社会的関係が良好でないリスクが高い生徒
1.1 学校への帰属感
1.2 いじめ被害
1.3 生徒と教員の関係
第2節 社会情動的スキルと学校での社会的関係の関連
2.1 学校への帰属感
2.2 いじめ被害
2.3 生徒と教員の関係
第3節 親、教育者及び政策立案者にとって、本章の調査結果は何を意味するのか?
付録A テクニカル情報
付録A1 社会情動的スキルの評価尺度の構成
A1.1 潜在的な測定バイアスの修正
A1.2 社会情動的スキルの評価尺度の都市間の比較可能性
付録A2 背景指標の構成
A2.1 背景指標の種類
A2.2 生徒レベルの単純指標
A2.3 生徒レベルの尺度指標
A2.4 社会経済的背景に関する指標に関連する尺度化
A2.5 スケーリングされた背景指標の都市間比較の可能性
付録A3 ラッソ回帰による分析
A3.1 目的
A3.2 社会情動的スキル調査(SSES)報告書での実行状況
付録B 社会情動的スキル調査(SSES)の表(参加都市別)
前書きなど
要旨
人々、というか、より具体的に言えば子どもたちは、多くを求められると同時に、変化して予測不可能な現在の世界で成功するのに、認知的スキルと社会情動的スキルのバランスが取れている必要がある。政策立案者と教育関係者は、社会情動的スキルの育成に注意を払いながら、算数・数学、国語、理科のような教科学習の主眼を補完する方法を模索している。社会情動的スキルは、個人の成功や社会機能にとって重要な個人の能力や特性、性格の一部である。社会情動的スキル全体は、生徒が学校で成功し、積極的な市民として社会に完全参加するのに不可欠な一連のスキルで構成されている。子どもの社会情動的スキルを伸ばせば、認知的スキルの発達や学業成績にとどまらず、精神的健康(メンタルヘルス)や労働市場での見通しにも重要な影響が及ぶ。社会情動的スキルは、それ自体が発達上の重要な成果である。市民の適応力や才覚、他者への敬意、協調性、そして個人的・集団的な責任を担う能力は、ますます、社会を円滑に機能させる特質になりつつある。また、協同や共感、忍耐力のようなスキルは、市民と国家が持続可能な開発目標を達成し、民主主義的な制度の構築に効果的に参加して貢献する鍵となる。そうした目標に向け、OECDの「社会情動的スキル調査(Survey of Social andEmotional Skills, SSES)」は、10歳児と15歳児の学習者の社会情動的スキルについて、生徒、親及び教員からデータを収集する最初の国際的な取り組みの一つである。本報告書は、この調査の最初の結果を示し、生徒の社会情動的スキルと、その個人や家庭、学校の特徴との関連について説明している。また、これらのスキルに関わるより広範な政策と社会経済的背景も検証し、教育を主導・実践する立場にある者が生徒の社会情動的スキルを把握・育成するのに役立つ方法に光を当てている。
(…後略…)