目次
はじめに
第1章 教師になりゆく道
1.教師になるためには
2.「デモシカ教師」から「ゼヒトモ教師」へ
3.どうして教師になりたいのか?
4.教師になりたいと思う動機
5.教師になるための四つのハードル
6.「教員免許状」を取得すること
7.「教員採用試験」に合格すること
8.二次試験では「面接」があります
9.「合格」イコール「採用」ではありません
10.「臨時教員」という回り道
11.それでもあなたは教師になりたいですか?
第2章 教師とは何か
1.「教師」とは何か
2.「学校の教師」とは──職業としての教師
3.教師(教員)の「地位」と「身分」
(1)「全体の奉仕者としての教師」
(2)教員の服務
(3)教員の身分と分限・懲戒
4.教師(教員)の待遇と勤務条件──労働者としての教師
(1)教員の給与
(2)教員の休日
(3)教員の勤務時間
(4)教員の人事異動
5.イメージの中の教師像──「制度としての教師像」と「規範としての教師像」
第3章 教師の仕事
1.舞台裏から見る「教師の仕事」
2.法律に定められている「教師の仕事」
3.「教師の仕事」と法律主義
4.「教育目標」と「教育計画」
5.「教育課程」の仕事──教科活動と教科外活動
6.「校務分掌」の仕事
7.学校における様々な「教師の仕事」──教師の一日
8.「教師の仕事」の難しさ──無境界性・不確実性・再帰性
第4章 教科の指導──教えるということ
1.教科の指導とは
2.学習指導要領と教科書
3.年間指導計画と学習指導案──授業をデザインして、シナリオをつくる
4.「評価・評定」すること
5.「教科の指導」のふたつの考え方
6.ほぼ10年おきに「改訂」される学習指導要領
7.新しい時代の「学力」をつくる新しい「授業づくり」へ
第5章 授業をつくる
1.自分の授業をつくる──教材研究と指導方法の工夫
2.「コミュニケーション過程」としての授業
3.私の授業づくり
4.教師になったばかりの頃──まずは教材研究と授業規律
5.教師の「話し方・話術」を磨く
6.「現代社会」での授業づくり──分かりやすく面白い授業をつくる
7.「倫理」での授業づくり──生きることを考える授業をつくる
8.響きあう「学び合い」をつくる授業──自由課題研究発表
第6章 教科外活動(特別活動)の指導
1.記憶に残っている「教科外活動(特別活動)」での体験
2.「教科活動」と「教科外活動」という車の両輪
3.J・デューイの「生活訓練」と「民主主義」
4.「教科外活動(特別活動)」の内容と目標
5.学級(ホームルーム)活動の指導
6.生徒会活動の指導
7.学校行事の指導
8.クラブ活動(必修クラブ)の指導
9.「特別活動」をどのように「指導」するのか
第7章 学級担任という仕事
1.教師にとっての「学級担任」という仕事
2.学級を経営(管理)するという仕事
3.学級の生徒を指導するという仕事
4.学級(ホームルーム)をつくるという仕事
5.「群れ」から「自治的・民主的集団」へ──学級(ホームルーム)集団づくり
6.学級(ホームルーム)集団づくりの“みちすじ”
第8章 生徒指導という仕事
1.大学生たちの「生徒指導」のイメージ
2.文部科学省の「生徒指導」の定義
3.そんな「生徒指導」は受けたことがない?──二つの「生徒指導」
4.生徒を「生徒らしい生徒」にする「生徒指導」──「リアル生徒指導」
5.「規律指導」という生徒指導
6.「特別指導」という生徒指導
7.なぜ生徒指導は“ブラック”になるのか?
8.「行き過ぎた指導」というブラック生徒指導
9.リアルでブラックな生徒指導から積極的・開発的な生徒指導へ
第9章 教育相談と進路指導──ガイダンスとしての生徒指導
1.二つの生徒指導
2.「ガイダンス理論」と生徒指導・教育相談・進路指導
3.「教育相談」とは何か
4.「教育相談」は誰がやるのか?
5.「教育相談」は何をやるのか?
6.「教育相談」はいつ、どこでやるのか?
7.「教育相談」は、どのようにやるのか?
8.「進路指導」とは何か
9.「進路指導」の現実──進学指導と就職指導
10.キャリア教育とは
11.ガイダンスとしての生徒指導と「教育相談・進路指導」
第10章 歴史の中の教師像──戦前の教師像・戦後の教師像
1.戦前の日本における教師像
2.「聖職者」としての教師像
3.戦前のもうひとつの教師像
4.戦後の教育改革と教員養成
5.「労働者」としての教師像
6.「専門職」としての教師像
7.教師は「専門職」なのか?
8.新しい教師像の提起──反省的実践家と発達援助専門職
第11章 教師ブラック時代──多忙化・ストレス・バーンアウト
1.なんと忙しい教師の仕事!
2.なんでこんなに残業するの?──定額働かせ放題の実態
3.なぜこんなに忙しくなったのか?
4.「まなざし」による強迫的な多忙化──自分で忙しくしている?
5.教師のストレス・バーンアウト(燃え尽き症候群)
6.なぜ教師は燃え尽きるのか?
7.教師として生き残る(サバイバルする)ために
第12章 いま教師に求められている力とは──資質と能力
1.教師の仕事は「教えること」と「育むこと」
2.教師に求められる「教える力」と「育てる力」
3.教師に求められる「資質能力」とは
4.ポジティブ・リストとしての「教師の資質能力」
5.教師の仕事は「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」
6.関わり合いの中で「学ぶ」ことと「育つ」こと
7.法律に定められている「教員の研修」
8.学び続ける教師
第13章 教師の成長と発達(1)──教師は二度教師になる
1.教師アイデンティティの「危機」
2.教師アイデンティティの「確立」──教職のライフサイクル
3.ある高校教師のライフヒストリーから──教師アイデンティティの「危機」と「再生」 Part 1
(1)教師アイデンティティの「原基」──おとなしくて目立たない子
(2)予期的な教師アイデンティティ──デモシカ教師
(3)初任期の教師アイデンティティの「危機」──なめられない教師
(4)閉ざされた心と身体──『教育への構図』との出会い
(5)HR担任としての出発──教師アイデンティティの「確立」へ
第14章 教師の成長と発達(2)──教師は何度も教師になる
1.教師は何度も教師になる
2.教師アイデンティティの「危機」と「再生(再確立)」
3.ある高校教師のライフヒストリーから──教師アイデンティティの「危機」と「再生」 Part 2
(1)はじめての転勤──教師アイデンティティの「危機」
(2)「部活指導教師」から地域まちおこしグループへ
(3)生徒会活動から「北海道高校生の広場」へ
(4)札幌の大規模校への転勤と“とまどい”
(5)大学院で“学ぶ”──反省的実践家としての教師へ
第15章 教師の成長と発達(3)──教師になるということ
1.ある高校教師のライフヒストリーから──教師アイデンティティの「危機」と「再生」 Part 3
(1)3度目の転勤──母校に帰り、再び「現代社会」を教える
(2)2011年3月11日──東日本大震災と福島第一原発事故の衝撃
(3)市民にむけての「原発出前授業」を始める
2.新しい時代を切り開く教師アイデンティティ「再生」の可能性
(1)主体的な「教育観・教師観・子ども(生徒)観」の形成と組み直し
(2)他者(子ども・他の教師・保護者ら)との関係性と相互性
3.教師になることは、人間になること、自分になること
終章 教師ブラック時代を生き抜くために
1.教師ブラック時代
2.自分自身の心と身体の限界を知ること
3.仕事を選ぶこと、時に断ること
4.自分を活かすこと、自分をつくること
5.「子どもたちのため」だけではなく、自分のために働くこと
6.声をあげて、変えていくこと
7.現場教師の声で“炎上”した「#教師のバトン」
8.教師ブラック時代を生き抜くために
資料〔日本国憲法(抄)/教育基本法/子どもの権利条約(抄)〕
おわりに
前書きなど
はじめに
(…前略…)
この本は教師が書いた教師の“仕事の世界”の本です。41年前にこの世界に踏み込んで以来、それほどウロウロと迷うこともなく、途中行き倒れることもなく、なんとか生き抜くことができました。この本には、その間に、私が見てきたこと、聞いてきたこと、やってきたこと、やらされてきたこと、良かったこと、良くなかったこと、楽しかったこと、苦しかったことなど、教師の仕事の“ブラック”な側面を含めて、できるだけありのままに書いたつもりです。
この本は、いわば教師の“仕事の世界”を、自分の足で歩き、フィールドワークしてきた私が書いた「Map(地図)」もしくは「ガイドブック」のようなものです。目的地への一番の近道はどこか、どこに美味しいレストランがあるのか、どこがインスタ映えするビューポイントか、そして、近寄ってはいけない危険な場所はどこなのか、実際に自分の足で歩いて見て回ったからこそよく分かる「ガイドブック」を書くことを目指しました。
基本的には教師の“仕事の世界”に関心・興味をもって、将来「教師になりたい」と思っている人たちにむけて、「教師になるにはどうすればいいのか」とか「教師になったらどんな仕事をするのか」ということについての、分かりやすい「ガイドブック」になっていると思います。
また、すでに現在教師という仕事に就いている人たちが、改めて「教師とは何か」「教師としてどのように働いていくのか」そして「定年まで働き続けるためにはどうすればいいのか」ということについて考えるための、分かりやすい「ガイドブック」としても読むことができると思います。
それ以外でも、教師や教師の“仕事の世界”に関心・興味がある方なら、どなたが手に取っても、「教師の仕事」や「教師の働き方・生き方」について知るための、分かりやすい「ガイドブック」として読めるように心がけました。
この本は、私の7冊目の本になりますが、「教師」について初めて書いた本になります。教師の仕事が、ただ過重で理不尽という“ブラック”なだけではなく、教師にとって本当にやりがい・生きがいのある“ホワイト”なものになり、自信をもって「教師とは素敵な仕事だ!」と勧めることができるようになるために、いま私たちが何をしなければならないかを、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。