目次
刊行によせて[田中直樹/イアン・ニアリー、穴井宰子]
はじめに
第1部 世界記憶遺産(世界の記憶)と山本作兵衛コレクション
第1章 世界記憶遺産とは
第1節 ユネスコ世界記憶遺産の歴史
(1)世界記憶遺産の定義
(2)世界記憶遺産の歴史
第2節 現在のユネスコ世界記憶遺産とは
(1)「世界の記憶」への登録申請
(2)「世界記憶遺産」登録推薦書類のユネスコ評価
第3節 日本の世界記憶遺産
第2章 作兵衛コレクションの登録経過
第1節 山本作兵衛夫妻・解体される終の棲家と地方再生事業申請
(1)本当の知識人だった山本作兵衛
(2)内閣府経済産業省採択「世界遺産をめざす旧産炭地・田川再生事業」――山紫水明・修験道・世界遺産の地、田川はさらに良くなれるはず
(3)保養滞在型エコツーリズムの実践
第2節 田川市・福岡県立大学の遺産登録活動の検証
(1)田川市による登録に至る経緯報告(概略)
(2)福岡県立大学による「日記・資料等の世界記憶遺産正式登録までの経過」報告(概略)
(3)山本作兵衛世界記憶遺産化活動の開始日(2009〔平成21〕年10月22日東京プリンスホテルでのシンポジウム)記録
第3節 明治日本の産業革命世界遺産登録活動と世界記憶遺産
(1)世界文化遺産登録・田川の市民活動
(2)ユネスコ登録発表時の田川での動き
(3)福岡県立大学保管『日記・手帳』と世界記憶遺産登録への貢献
第3章 作兵衛コレクション登録の反響とその後
第1節 世界記憶遺産登録前後――なぜ、世界記憶遺産なのか
(1)地の底を労働し、本当の知識人だった山本作兵衛
(2)福岡県立大学での取り組みとこれからの展望
第2節 石炭関係者では知られていた作兵衛記録画と日記
(1)日本初世界記憶遺産達成の経過と価値
(2)山本作兵衛さんの日記を〈読む〉――闇を光とした日本初世界記憶遺産
第3節 日本初登録の反響・筑豊が湧き上がる
(1)日本初ユネスコ世界記憶遺産(Memory of the World)登録への軌跡:田川から世界への発信実現の道筋
(2)登録2年目の県立大学と〈読む〉会、そして市民のユネスコ訪問
第2部 山本作兵衛を尊敬・発掘・発信した先達たち
第1章 永末十四雄・雅子の貢献
第1節 永末十四雄――先達の眼力
(1)永末十四雄は山本作兵衛にどう寄り添ったか――作兵衛記録画の選択と保存を中心に
(2)永末十四雄著作目録(編著 単行本のみ)
第2節 秀村選三・田中直樹の協働
(1)永末十四雄・輝ける闇・光を掘り続けた先達――永末文庫(田川市立図書館内)の豊饒性
(2)永末十四雄への推薦書(秀村選三執筆)
第2章 上野英信・晴子の貢献
第1節 上野英信――先達の眼力
(1)日本初世界記憶遺産登録は何をもたらすのか――ああインターナショナル我らがもの
(2)追悼・上野英信――私(たち)の青春回路・1970年前後
(3)上野英信の著作目録(単著 初版のみ)
第2節 上野英信と通底する光と闇、そして闇が光
(1)部落史と作兵衛記録画(原口頴雄執筆)
(2)西村健『ヤマの疾かぜ風』(徳間書店、2013年)を推薦する――解説・筑豊の光と闇、そして闇の光・かがやき
第3部 田川・筑豊活性化への取り組み
第1章 福岡県立大学からの田川活性化活動
第1節 県立大学と共に歩む会と筑豊市民大学の設立
(1)県立大学と共に歩む会への期待
(2)筑豊市民大学への招待――闇こそ光/絶望は希望
第2節 癒学の郷・花と緑のまち田川・41提言――熱と光の長期活性化プラン
(1)田川はさらにもっと良くなれるはず
(2)田川郡福智町まちづくり・活性化への提言――福智町行財政改革推進委員会の座長としてまとめた提言書
第3節 産・官・民・学協働による地方再生事業の採択・活動
(1)地方の元気再生事業申請書――2008(平成20)年5月15日(最終決定)
(2)2年目プロジェクトの成果と今後の発展――田川はさらに良くなれるはず
第2章 田川広域観光協会の設立と田川まるごと博物館・DMO申請
第1節 田川地域活性化協議会
第2節 田川広域観光協会と豊富な資源の発掘――総会活動報告書、まるごと博物館の活動
(1)平成26年度補正予算「地域イノベーション協創プログラム事業(地域資源活用ネットワーク形成支援事業)」申請提案書
第3節 福岡・北九州・アジアの奥座敷――DMO申請など
(1)『地域資源を活用した観光地魅力創造事業』申請書
第3章 DMO事業採択による田川活性化(5年間)と第10回アジア都市景観賞受賞
第1節 DMO事業採択による田川活性化の実績――国土交通省九州初の候補法人認定
第2節 第10回アジア都市景観賞はなぜ受賞できたか――申請書と受賞理由
(1)申請書のプレゼンテーション資料
(2)第10回2019年アジア都市景観賞(Asian Townscape Awards)を受賞しての挨拶――自然・歴史・文化を活かす田川エコツーリズム・旧産炭地活性化プロジェクト受賞の挨拶
第3節 田川活性化への希望――今でも良い田川をさらに良く
(1)一般社団法人田川広域観光協会による地域活性化事業の自己評価(2016〔平成28〕年5月)
(2)(社)田川広域観光協会・DMOによる田川活性化事業等による成果と課題
おわりに――山本作兵衛や田川・筑豊活性化は近代の行き詰まりを超える核芯
前書きなど
はじめに
(…前略…)
第1部「世界記憶遺産(世界の記憶)と山本作兵衛コレクション」では世界記憶遺産の概要、日本の世界記憶遺産の説明そして、なぜ山本作兵衛コレクションは世界遺産になったのか、その価値は何なのかを述べる。
第2部「山本作兵衛を尊敬・発掘・発信した先達たち」では永末十四雄・雅子と上野英信・晴子を中心に、県立大学赴任(1992〔平成4〕年)前からの私の文章などを含めて載せている。
私は青年時代からお二人に出会い、教えられた体験を持つ世代である。しかし、山本作兵衛コレクションの世界記憶遺産登録活動時には黄泉の人であった。その後さらに、永末・上野先達の諸々の著作を読み深める中で、中途半端な活動ではないことを再認識した。そして、人間性の本質を貫く真摯な生き方、文章表現をさらに刻印した。私にとり、このお二人が居なければ、解体する作兵衛・タツノ夫婦の終の棲家からの日記・絶筆発見はなかったであろう。そしてその後、市民・学生との16年間にわたる〈読む〉会は続かなかったであろう。
第3部「田川・筑豊活性化への取り組み」は次の思いを込めた記録である。〈今でも良い田川をさらに良く〉のキャッチフレーズは、私が1990年代以降、筑豊・田川で暮らす30年間で、考えに考え抜き、5年ほど前にたどり着いた表現である。それが「筑豊・田川万華鏡――日本初世界記憶遺産・山本作兵衛コレクション登録10周年記念」のテーマ・万華鏡になった。
(…後略…)