目次
はじめに
世界の女性たち
差別の終結(CEDAW)
差別を測る
ジェンダー・ギャップ
平均寿命
レズビアンの権利
二分論を超えて
結婚と離婚
児童婚
世帯
難民
危険地帯
平和をもたらす女性たち
#フェミニズム
女は女の場所に置いておく
さまざまな箱の王国
合法的な束縛
「名誉」殺人
DV
レイプ犯と結婚させる法律
レイプ
殺害される女性
持参金殺人
原理主義者が女性に襲いかかる
出産にまつわる権利
出産
避妊
妊産婦死亡率
中絶
男児選好
身体のポリティクス
スポーツ
美
美容整形
女性器切除
セックス・ツーリズム
買売春
人身売買
ポルノグラフィー
健康・衛生
乳がん
HIV
結核
マラリア
飲料水
トイレに関する活動
公害惑星
仕事
有償・無償の仕事
分断された労働力
世界の組立工場
収入の格差
失業
児童労働
水のために歩く
農業と漁業
仕事のための移民
教育とつながり
就学年数
学歴が積めない
学位への前進
識字率
コンピューター
インターネットとソーシャルメディア
オンラインハラスメント
世界がつながっているという神話
財産と貧困
土地の所有
住宅の所有
毎日の貧困
極限の貧困
富と資産の格差
頂点の男性
銀行口座が持てない
権力
女性の選挙権
政治における女性
軍隊
国連
いろんなフェミニズム
出典
索引
前書きなど
訳者あとがき
ジョニー・シーガーが、それこそ世界初のジェンダー・アトラスである“THE ATLAS OF WOMEN IN THE WORLD”を世に出したのは、1986年のことである。タイトルは少しずつ変わったが、彼女はジェンダー・アトラスを定期的にアップデートしつづけてきた。『女性の世界地図』は事実上、その最新版である。版を重ねた今でも、本書を革新的な本として歓迎する言葉が多く寄せられるのは、初版から30年以上の月日が流れても、ジェンダー格差が決して歓迎できない状況のままであることの表れである。
地図に表すことは強力な武器となります。地図に表すと「何が」起きているかだけでなく、「どこで」起きているか見えてきます。地図は、統計表や文章でははっきりしない空間的なパターンを一目瞭然にしてくれます。地図は、男女間の生活や異なる地域間での女性同士の差異と類似性を表現するのにきわめて強力なツールとなります。
これは、私も作成に携わった『地図でみる日本の女性』(明石書店、2007年)に対して、ジョニーが寄せてくれた言葉の冒頭部分であるこの言葉は、そっくりそのまま『女性の世界地図』の強みを言い当てている。本書は、たくさんの統計データを使って作られている。データ自体は豊かな情報を含んでいるが、統計表の数字の羅列から意味のあるパターンを瞬時に認識できるほど、人間の脳は優れていない。文章や言葉で「女性は差別されている!」と訴えても、読む人や聞く人によっては、一向に心に響かないであろう。しかし、本書のように、信頼のおけるデータを選び、それをグラフや地図で「見える化」すると、ジェンダーの格差が「いうまでもなく」存在することが「一目瞭然」になるのである。本書は、性差別という不正義に立ち向かうフェミニストたちにとって、強力な知的武器になるであろう。
(…後略…)