目次
はじめに――重要文化財に指定された〈京都盲啞院関係資料〉
第1章 盲教育のはじまり――京都盲啞院と古河太四郎・鳥居嘉三郎の時代
「日本最初盲啞院」とは?
近代日本で最初の盲学校
なぜ、京都で?
古河太四郎の発起と教育観・障害観
古河太四郎の学校づくりと教材開発
第二代院長・鳥居嘉三郎の時代
第2章 京都盲啞院資料をよみとく
1 文字を知る――点字以前
盲生背書之図/木刻凹凸文字/知足院の七十二例法/紙製凸字/盲目児童凸文字習書/蠟盤文字/自書自感器/表裏同画記得文字/墨斗筆管
2 読み書き
凸字イソップ/凸字『療治之大概集』/盲生鉛筆自書の奥義/盲生の鉛筆習字/訓盲雑誌
3 数を計る
盲人用算木/盲人用算盤/手算法/さいころ算盤/マルチン氏計算器/テーラー式計算器
4 世界に触れる――地理
立体地球儀/凸形京町図/針跡地図ほか
5 力と技を身につける――体育・音楽・職業訓練
盲生遊戯図・体操図/オルガン/職業教育/按摩機
6 点字の導入
盲啞院への点字の導入/ステレオタイプメーカー/ルイ・ブライユ石膏像
7 学校づくり
盲生教場椅卓整列図/ろう教育史料/瞽盲社会史と検校杖/受恵函
第3章 盲啞院・盲学校が育んだ文化
これからの視覚障害教育に活かせる文化として
障害者の生きる社会を問う文化として
参考文献/関連拙稿
京都盲啞院関係資料重要文化財指定番号一覧
あとがき
初出一覧
前書きなど
はじめに――重要文化財に指定された〈京都盲唖院関係資料〉
京都盲啞院、現在の京都府立盲学校・同聾学校は、一八七八(明治一一)年に古河太四郎らによって創立され、翌年正式に京都府立となった。それは視覚あるいは聴覚に障害のある子どものための日本で最初の学校と位置づけられる。二年後に、東京で楽善会訓盲院が授業を開始し、一八八五(明治一八)年に官立の東京盲啞学校(現在の筑波大学附属視覚特別支援学校および同聴覚特別支援学校)となる。この二校は東西のいわば拠点校として、我が国の盲教育の牽引力となることが期待されてきた。
(…中略…)
第1章では、古河太四郎の人間像に触れ、いくつかの柱を立てて盲教育史をなぞって、個々の「宝石」に出会うための補助線とする。第2章が「主な重要文化財についての解説」編となる。第3章では「資料から何を学び、今後にどう活かすか」を考える。できるだけ平易に、文字だけでもイメージが伝わるよう心掛けるが、リアルさを醸すための写真も添えた。