目次
はじめに
第1章 無国籍とはなにか
第2章 二〇一七年「外国につながる子どもと無国籍」調査について
第3章 「通り過ぎる」子どもたち――強制送還される親の子どもたち
第4章 「取り残された」子どもたち――死亡・帰国・再移動した親の子どもたち
第5章 子どもの「無国籍」をめぐる問題の焦点
第6章 「無国籍かも」という子に出会ったら――ケース別対応例と相談窓口
参考資料1 ケース別対応フローチャート
参考資料2 外国につながる子どもの国籍について相談できる機関
おわりに
あとがき
参考文献
添付資料1 児童養護施設に送った質問票
添付資料2 都道府県別 質問票の発送数と回収率
前書きなど
はじめに
(…前略…)
(2)本書の構成
本書は、調査結果の報告(第2~5章)とケース別対応例(第6章)の二つの部分に分かれています。まず第1章で、本書の中で用いる「無国籍」の定義を整理し、「無国籍」とは何かを簡単に解説します。第2章では、今回の調査は何を知るために、どのように調べたのかを解説します。そして調査の結果見えてきた「無国籍」の子どもたちを、本書では、二つに分けて考えることにします。一つめは、第3章で検討される、親が強制送還されるとき一時的に児童養護施設を「通り過ぎる」子どもたちです。二つめは、第4章で示される外国から来た親のもとに日本で生まれ、どこかの国の国籍を取得する前に、親が死んだり、失踪したり、別の国へ移動したあと連絡がつかなくなった、「取り残された」子どもたちです。その後、第5章で、今回の調査結果から見えてくる問題の焦点はどこにあるのかを、今日の日本社会を形づくる人々の多様化の側面から、ふり返ります。最後に第6章では、もし私たちが「無国籍」かもしれないと思う子どもに出会ったら、できるだけ早い段階で、国籍があやふやな状態から脱するための手続きをしておくことが大切だという点について、解説します。また、具体的にどのような「解決」方法があるのか、そのためにはどのような窓口に、どのような手続きをする必要があるのかについて、大まかな対応例を示します。この第6章には、「無国籍」かもしれない子どもに出会ったときのケース別対応フローチャートと、筆者たちが知る限りの相談窓口一覧もつけました。
(…後略…)