目次
はしがき
第Ⅰ部 「学校メンタルヘルス」パッケージ化のためのマニュアル
第1章 三重県医師会・学校メンタルヘルス活動のコンセプト
第2章 実際の流れと進め方
第3章 学校が準備しなければならない作業
第4章 3種類のアンケート検査とその読み方
1.QU(Questionnaire-Utilities)
2.クーパースミス自尊感情検査(Coopersmith セルフエスティーム)
付録1:小学校5年生以上版 クーパースミスの自尊感情のアンケート
3.健康症状検査:項目とその読み方
資料1:健康症状検査用紙とその結果 中学生用(平成25年度)
資料2:健康症状検査用紙とその結果 中学生用(平成26年度)
第Ⅱ部 現場での実践活動
第5章 学校・担任・学年部教員が取り組む実践――実際の学校での取り組み/クラス検討・症例検討会の進め方・流れ
第6章 学校メンタルへルス活動の果たす問題予防効果
その1.個人の生徒への効果
1.いじめ・嫌がらせ防止例の1例
2.気分変調症からうつ病エピソードの予防例
3.登校不能状態の解消例 中学1年、男子
さいごに
その2.クラス・学校としての取り組みによる効果
1.この取り組みで見られるうつ病への予防効果
2.学校メンタルヘルス活動の登校不能状態への予防改善効果
3.学年崩壊(2 クラスでの学級崩壊)防止対応
その3.特に、自殺予防効果について
1.希死念慮・自殺企図生徒の自殺防止対応例――こまめな対応が生徒を変える
2.希死念慮・自傷行為のリスク要因
3.この取り組みで見られる希死念慮・自殺企図の系統的対応による予防効果
第7章 学校でのハイリスク例と医療機関受診例(臨床例)は同じか、異なるか
はじめに
症例1:学校では学力優秀だが、QUで要支援群となった例(中学1年 男子)
症例2:学校ではクラスの中での人間関係の問題と思われた例(中学2年 女子)
症例3:学校では気分の動揺が目立つことなく、身体疾患と思われていた例(中学1年 女子)
第8章 活動の有効性――そもそもこの活動は何をしていることになるのか
1.経験的有効性
2.記述統計結果(エビデンスのある結果)
3.取り組み成果の評価
第Ⅲ部 学校メンタルヘルス活動の波及効果
第9章 この活動の教員に対する影響
1.「学校におけるメンタルヘルスのかさ上げ活動」に対する教員の意識調査
2.学校メンタルヘルス活動が教員の精神障害理解に及ぼす影響
第Ⅳ部 学校メンタルヘルスの今日的課題と背景問題
第10章 今、なぜ、学校メンタルヘルスが切迫した課題なのか
1.日本の児童・生徒の現実
2.学校現場での生徒の現実
3.気になる生徒への望ましい介入方法
第11章 背景問題の考察――なぜ学校メンタルヘルス活動が馴染みにくいか
1.学校メンタルへルスの理解困難要因について
2.実際の取り組みのメリットとリミテーション
前書きなど
はしがき
阪神・淡路大震災が起きた1995年1月、私は隣の大阪・堺にいた。西宮市にいた小児科の先生に、何かお手伝いをすることは、と連絡したら、「どこから、どうしていいか分からない。診察室は水浸しだし」とのお返事だった。いつも聡明で明確な発言をされる先生の震えた声に、これは相当きている、えらいことだと悟った。
立派な大人が混乱するのだから、子どもは、なおのことである。子どものためには、絵を描いたり、文を書いたりといった表出「心のケア」(メンタルヘルス対応)が必要と叫ばれた。
その翌年、堺市では病原性大腸菌O-157による学校給食における集団食中毒が発生した。106人が溶血性尿毒症症候群(HUS)に陥り入院し、子ども3人が亡くなった。堺での私は、暑い夏、家から出られない子どもの様子を現地でみた。学校が始まっても感染恐怖で給食を食べられない子どもを前に、地元の保護者、教員、子どものメンタルヘルス専門家とともに、子どもの元気な学校生活を取り戻す勉強会を開いた。平時を取り戻すために。
その勉強会は10年以上続けていたが、三重に来ても機会ができた。三重県医師会の「学校メンタルヘルス活動」である。
自殺、いじめ、学級崩壊、登校不能状態などは平時に起きている。いつでも、どこでも、子どもを支え続けなければならない。これが本書の狙いである。
誰でも、どこでも取り組める、後で検証可能なサポートのしくみを作ることが目標である。子どもを支え続けるには、この学校メンタルヘルス活動だけでは不十分かもしれないが、学校の先生方との共同作業で取り組んだ。2004(平成16)年からの取り組みである。それを紹介する。
この活動を実現するには、学校教員と、校医やスクールカウンセラーとの共同作業が必須であると思う。その意味では、児童・生徒の心が判るスクールカウンセラーと小児科医、児童精神科医が、活動の中心となるしかない。そういう時代の魁となることを期待して、まとめた。
(…後略…)