目次
刊行によせて[芝野松次郎]
はじめに
第1部 子ども虐待に対応する学校とスクールソーシャルワーク
第1章 子ども虐待と学校
第1節 子ども虐待対応の変遷
第2節 子ども虐待対応における学校の利点と役割
第3節 学校での子ども虐待対応に関する調査研究
第4節 学校での子ども虐待対応に関する課題
第2章 子ども虐待とスクールソーシャルワーク
第1節 子ども虐待に関するソーシャルワークの理論
第2節 スクールソーシャルワークに関する先行研究
第3節 子ども虐待に関するスクールソーシャルワークの機能と役割
第4節 本研究の鍵となる概念
第2部 子ども虐待における学校のチーム・アプローチ
第3章 コーディネーターとスクールソーシャルワーカーの援助プロセス
調査Ⅰ コーディネーターに対する質的調査
第1節 調査の目的と背景
第2節 調査方法
第3節 結果と考察
第4節 まとめ
調査Ⅱ スクールソーシャルワーカーに対する質的調査
第1節 調査の目的
第2節 調査方法
第3節 結果と考察
第4節 まとめ
第4章 スクールソーシャルワーカーと教職員とのチーム・アプローチ
調査Ⅰ スクールソーシャルワーカーへの聴き取り調査による校内のチーム・アプローチ
第1節 調査の目的
第2節 調査方法
第3節 結果と考察
第4節 まとめ
調査Ⅱ 教職員への聴き取り調査による校内のチーム・アプローチ
第1節 調査の目的
第2節 調査方法
第3節 結果と考察
第4節 まとめ
第3部 学校を基盤とする子ども虐待防止の取り組み
第5章 A市における子ども虐待防止の取り組み
第1節 子ども虐待防止ネットワーク(要対協)の取り組み
第2節 チーム学校による子ども虐待防止の取り組みとSSWrの役割
第3節 学校と要対協との連携に市町村教育委員会が果たす役割
第4節 チーム学校、小中連携、関係機関との連携で支援したSSW実践
第5節 まとめ
第6章 被虐待児の事例分析によるスクールソーシャルワーク実践の検証
第1節 調査の目的
第2節 調査方法
第3節 結果
第4節 考察
第5節 まとめ
第7章 結論
第1節 子ども虐待防止に対するチーム学校の意義とSSWrの役割
第2節 市町村教育委員会におけるチーム学校のためのシステム作り
第3節 子どもの「育む環境」を保障するために
第4節 スクールソーシャルワーク実践への提言
第5節 本研究の意義および本研究の限界と今後の展望
引用・参考文献
おわりに
前書きなど
はじめに
(…前略…)
本書の目的と構成
(…略…)
本書の構成は、以下のようになっている。まず、第1部(第1章・第2章)では、子ども虐待に対応する学校とSSWについて概観する。第1章では、子ども虐待対応の変遷を概観し、なぜ学校における子ども虐待対応が遅れたのかを探る。また、法規範から子ども虐待対応における学校の利点と役割を考察し、学校での子ども虐待対応に関する先行研究から学校の課題を導き出す。第2章では、はじめに、ジェネラリスト・ソーシャルワーク、ライフ・モデル、子ども家庭中心ソーシャルワーク実践、ケース・マネジメントについてレビューする。次に、SSWについての先行研究をレビューし、子ども虐待に対するSSWの機能と役割について検討する。
第2部(第3章・第4章)では、学校と子ども虐待に関する質的調査を報告する。第3章では、調査Ⅰでコーディネーター(教職員)、調査ⅡでSSWrに対する質的調査を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下、M-GTA)の分析で、コーディネーター(教職員)とSSWrの援助プロセスを明らかにする。第4章では、SSWr(調査Ⅰ)と教職員(調査Ⅱ)に対する質的調査から校内のチーム・アプローチの実態とSSWrの役割について考察する。
第3部(第5章・第6章・第7章)では、学校を基盤とする子ども虐待防止について検討する。第5章では、A市の子ども虐待防止の取り組みから、チーム学校の取り組みとSSWr実践の実際、チーム学校の取り組みに教育委員会が果たす役割等について紹介する。第6章では、被虐待児の事例分析から、①子どもの生活課題(養育環境・親の状況・子どもの状況)、②チーム学校の支援およびSSWrの役割、③これらの支援による変化について明らかにする。第7章では、結論と提言を述べる。
本書は、虐待という人権侵害にあっている子どもの権利擁護を常に念頭に置きつつ、現場での実践と調査の双方向から研究した書である。本書が学校という場のチーム力とSSWrの実践や役割を知る機会となり、虐待や虐待的養育環境にある子どもの権利としての「育む環境」の保障に関心を持っていただけると幸いである。