目次
序文
序章
第一部 政治と人
第1章 定期的蒸気船の太平洋航路開設とアジア-アメリカの「接触領域」の形成
1.接触領域の形成と娯楽として消費される「アジア」
2.「アメリカ市民」の境界線
結論 よりグローバルに結ばれた世界での新しい境界線
第2章 日本の国際的地位と医療保険制度の変遷――1920年代から1940年代初頭
1.ワシントン体制から大東亜共栄圏へ
2.革新官僚の台頭と国防国家の概念
3.国民健康保険制度の導入
4.国民健康保険の本質
5.健康保険の本質の変化
6.準普遍的な医療保険への動き
結論
第3章 占領期日本におけるアメリカ政治介入の想定外効果――政治パージ計画と戦後日本指導層の形成
1.パージ計画の内容、時期、理由
2.戦前の全否定と不適格指導者へのパージ
3.北海道におけるパージの即時的効果
4.パージ解除とレッドパージ
5.長期におよんだ想定外効果
6.政治パージと現代日本および日米関係
第4章 日本人のアイデンティティ、「反日」と言説闘争
1.言説的問題提起である「反日」の分析
2.諸外国における「反日」と「親日」
3.「反日」日本人に関する言辞
4.「反日」日本人とレッテルを貼ることへの抵抗
結論
第二部 価値観と社会
第5章 『ヤングイースト』――東洋仏教から見た日本の位置づけを検討する
1.『ヤングイースト』創刊
2.東洋と西洋に対する大きな使命
3.仏教と平和――世界市民と人種的平等
4.人種、平等とアメリカの1924年移民法
5.創刊者の死
6.国際仏教協会による『ヤングイースト』発行
結論
第6章 「葬式」仏教から「関与」仏教へ――死の儀式と戦後日本の社会アイデンティティ
1.葬式仏教のバブル経済パラダイム
2.ポストバブル期における関与仏教の状況
3.社会学的見識
4.理論的考察
5.哲学的熟考
第7章 日米両国における学習環境と教育業績間の関係の比較分析
1.国際比較
2.学習環境
3.手法
4.サンプルと変数
5.結果
6.議論
付録 合成変数の構成についての記述
第8章 大衆文化と東アジアの地域主義
1.東アジアの大衆文化は日本にとってどのような意味があるのか
2.何が東アジアの「地域」を構成するのか
3.大衆文化と地域の形成
4.嗜好の地域化
5.東アジア地域に関する考察
第三部 国際関係
第9章 冷戦初期におけるアメリカの対日原子力政策、1945~1955年
1.冷戦初期のアメリカ核エネルギー政策
2.兵器から平和利用へ
3.日米原子力協定(1955年)の申し入れと日本の態度
4.異議を唱える学術会議(SCJ)
結論
第10章 ミャンマー――東南アジアで日本が政府開発援助(ODA)を供与する最後のフロンティア
1.ミャンマーにおける最近の開発
2.日本――ビルマ関係の歴史的背景
3.援助関係の背景
4.ミャンマーの最近の動向
5.援助体制の変化
6.ミャンマー政府は海外援助をどのように管理しているか
7.日本からミャンマーへのODA
8.(国内および国際)政治と安全保障の視点からの援助に関するインセンティブ
9.ODAに関する経済的インセンティブ
10.ODAに関する人道インセンティブ
結論
第11章 アジア太平洋経済協力と日本――紛争解決と通商の安全
1.アジア太平洋経済協力(APEC)の展開
2.APECにおける紛争解決とWTOメカニズムへの移行
3.中国のWTO加盟――「仲裁・訴訟」と仲介・裁判外紛争処理の均衡を図る
4.2001年以降の通商(特に海上)の安全とAPEC
5.APECの将来――展望と代案
第12章 より良い未来に向けた日中関係の再構築――アデン湾における日本と中国の海賊対策合同軍事行動の意義
1.中国や北朝鮮の脅威を認識する――外圧による日本外交の正常化
2.進化する日本の外交と日中関係
3.アメリカと中国に対する日本の外交関係を再考する
4.海賊との戦いを国際公共財と捉える
5.アデン湾における中国と日本
第13章 プライベート化する対外政策――日米経済関係における財界人の役割
はじめに
1.パブリック・ガバナンスのプライベート化:理論的検討
2.日米貿易交渉――1980~1990年代
3.日米ビジネスコミュニティの言説
4.対外政策のプライベート化への示唆
おわりに
第14章 アメリカのヘゲモニーという文脈におけるオバマ政権のアジア「基軸」戦略
1.どの太平洋の世紀?
2.偉大な三日月
3.北大西洋三日月
4.アメリカのヘゲモニーという文脈における中国の「台頭」
5.ガザ西部と中国の栄華
6.弱い中国
結論 きちんとした弔い
あとがき
索引
著者紹介
訳者紹介
前書きなど
序文[杉田米行]
2014年2月に、世界中から著名な研究者11名を招聘し、大阪大学において、「学際的視点でアジア太平洋地域を分析する」というテーマで国際シンポジウムを開催した。さらに、2014年7月から2015年3月の間に同様のテーマで一連の国際セミナーを大阪大学で開催した。これらの国際シンポジウムと国際セミナーでの発表と討論を基に、すべての参加者が発表内容を修正したものを1冊の本にまとめたのが本書である。(…略…)
尚、本書は以下の書籍を基に、加筆・修正・部分削除したものを翻訳(日本人が著者の場合は加筆・修正・部分削除による執筆)したものである。
Yoneyuki Sugita, ed., Japan Viewed from Interdisciplinary Perspectives: History and Prospects (Lexington Books, 2015). 日本語版への翻訳の許可をいただけたLexington Booksに感謝申し上げる。