目次
発刊の辞
【第一章】親鸞と被差別
第一節 専修念仏と被差別民
第一項 京・東山の風景――鳥辺野と寺辺の民
第二項 東国における地獄の風景――災害・飢饉・病い
第三項 再び京都での「地獄の風景」と親鸞――「飢饉」の中での著述・法語・往来
第四項 「地獄の風景」と恵信尼――餓死するか奴隷になるかの選択
第二節 承元の法難について
第一項 法難のおこり
第二項 刑の宣告から執行へ
第三項 流人親鸞の社会的身分
第四項 中世で「獄舎」に.がれ刑罰を受けること
第五項 親鸞の「奏状」から考える越後流刑――刑罰の不法性への抗議と所作は
第三節 越後流刑と「非僧非俗」――流刑から赦免へ・越後の宗教運動
第一項 「字・愚禿」の意味――流人の親鸞は「不自由民」の身分となった
第二項 流刑からの解放赦免と愚禿の創唱――百姓としての愚禿と無戒・名字の名告り
第三項 「字・愚禿」の意味――罪名藤井善信を返上し百姓・愚禿親鸞の名告り
第四項 推論・越後の親鸞――「無戒名字の比丘」の念仏勧進
【第二章】本願寺教団と被差別民
第一節 一向一揆と部落差別
第一項 一向一揆と被差別部落
第二項 強制改宗
第三項 一向一揆起源説
第四項 石尾芳久による一向一揆起源説
第五項 太田城水攻め
第六項 幕藩体制について
第七項 石尾説と教団
第八項 教団の課題
第二節 近世教団と部落差別
第一項 「部落寺院制」について
第二項 「一向一揆起源説」について
第三項 「黒白問題」について
第四項 おわりに
第三節 近世本願寺教団差別制度考
第一項 はじめに
第二項 門における出入りチェック体制
第三項 書院への立ち入りについて
第四項 同じ閉鎖空間に同時に居るということについて
第五項 御影堂への立ち入りは可能であったのか
第六項 おわりに
第四節 近世本願寺教団における「三業惑乱と差別」
第一項 近世本願寺教団と法論
第二項 三業惑乱
第三項 『反正紀略』に記録された差別
第四項 制度の中の差別の様相と背景
第五項 救済の論理と差別
第六項 教学者の傾向
【第三章】明治期の教団と部落差別
第一節 はじめに
第二節 近代教団組織の成立と部落問題
第三節 部落寺院をめぐる社会的関係
第四節 部落問題の解決をめざして
第五節 おわりに
【第四章】大正期の教団と部落差別
第一節 大和同志会の教団改革論
第一項 明治末期の教団の状況
第二項 大正期の思潮と教団の混乱
第三項 大和同志会の設立とその主体性
第四項 大和同志会の事業と『明治乃光』
第五項 松井庄五郎の経済的側面からの教団改革論
第六項 教団の差別的状況に対する松井庄五郎の認識
第七項 『明治乃光』の多様性と客観性
第八項 瀟石の教団改革論
第二節 初期水平運動と親鸞思想
第一項 民衆の台頭の思想的背景
第二項 改善から解放へ、『よき日の為めに』の思想
第三項 全国水平社創立宣言と親鸞思想の共通性
第四項 水平運動の中の親鸞像
第五項 西光万吉と大谷尊由の論争
第六項 三浦参玄洞と『中外日報』の支援
第七項 廣岡智教と黒衣同盟の結成
第八項 本派本願寺有志革新団への展開
【第五章】一如運動・同朋運動の活動家たち
赤松賢秀/浅井成海/朝枝実彬/朝田善之助/今田普勧/井元麟之/岩清水一雄/岩本慶輝/上杉真証/打本顕真/内海正名/梅永久夫/梅原真隆/大谷真暁/大西龍雲/大野好美/大原性実/岡本道寿/岡本弥/亀川教信/川上信定/河上正雄/川野三暁/清原草宣/河野諦圓/西光万吉/阪口真道/真田俊子/三宮義信/柴田政文/菅本精覚/杉本信雄/高倉正信/武邑尚邦/多田芳輔/田中郁朗/田中松月/谷口有信/柘植淳一/照山正己/徳平憲彰/富永徳孝/豊原大潤/仲尾孝誠/仲尾俊博/中村慶範/中村甚哉/西脇修/野田有朋/軌保昇証/花山清/林川昭/原天随/原田法純/廣岡智教/広瀬泉龍/藤岡義昭/藤音晃祐/藤野井親仁/藤範晃誠/藤満正子/藤原凌雪/堀定雄/松井庄五郎/松村了昌/円日成道/三浦参玄洞/光応智覚/森栄俊/森梁香/山田清井/吉田俊逸/鷲山教諦/鷲山諦厳
あとがき
【刊行委員会】
【執筆者一覧】
前書きなど
あとがき
この度、『講座同朋運動―西本願寺教団と部落差別問題―』(全五巻)第三巻を発刊することができました。この講座は、二〇一一(平成二十三)年の財団法人同和教育振興会設立五〇周年の記念事業の一環として編集が進められてきたものであり、一巻の「総論編」、二巻の「概論編」に続く「歴史編」という位置づけとなります。
特に第五章の「解放運動家と本願寺教団」では、近代以降現在まで、主に部落解放運動や同朋運動に携わってきた教団内の活動家の功績を紹介しています。先人たちが親鸞聖人の同朋精神のもと、どのように運動を推進してきたのか、その歴史を学ぶことができる、これまでにない大変貴重な資料となっています。
また、その中で紹介されております仲尾孝誠先生と西脇修先生には、まさに本巻の項目を執筆していただいていた中での、ご往生となってしまいました。さらに、仲尾先生には本講座の出版委員会のメンバーとして、編集・発刊にご尽力いただいたところでありました。残念ながら両先生に本巻をお届することはできませんでしたが、きっとその完成を喜んでくださっていることでありましょう。
運動にかけた先人たちの願いを今、ここでしっかりと受け止めるとともに、その託された願いを後世に伝えていくことも、現在に生きる私たちの使命であると考えます。読者の皆様方におかれましても、本書を通じて、この思いをともに共有していただき、「差別・被差別からの解放」にむけて、より一層強力に運動を推進していただけることを願っております。