目次
はじめに
1時間目 いまの憲法を変えるって、何で?
・憲法変えるって、本当ですか?
・いまの憲法は、もう古くなったの?
・いまの時代に合わせた「新しい人権」が必要なの?
・第9条と自衛隊が矛盾しているから?
・占領軍(GHQ)の「押しつけ憲法」だから?
・誰が憲法を変えたいって言ってるの?
・国民はどう思っているの?
2時間目 憲法って何のためにあるの?
・えっ? 第96条を先に変えようとしたの?
・憲法と法律って、どこが違うの?
・憲法は、誰が守らなければならないの?
・なぜ憲法は国家(権力)を縛るの?
・「立憲主義」って何? 民主主義とはどこが違うの?
・憲法が守っている国民の権利って何?
・「国家がやってはいけないこと」って何?
・「国家がやらなければならないこと」もあるの?
・憲法は、国民が国家に「押しつける」ものなの?
3時間目 憲法を変えるって、どうやるの?
・69年間、一度も憲法は変わらなかったの?
・憲法を変えるための「法律」って、いつできたの?
・「国民投票法」って、どんな法律なの?
・「国民投票」では、どうやって投票するの?
・国民の「過半数の賛成」がなくとも承認されるの?
・「三つの宿題」はちゃんと終わっているの?
4時間目 解釈で憲法を変えられるの?
・カイシャクカイケンって何?
・自衛隊が海外に出ても大丈夫なの?
・集団的自衛権の行使は憲法で許されるの?
・なぜいま、憲法解釈を変えるの?
・集団的自衛権の行使が認められたら、どうなるの?
・自衛隊のリスクは高まらないの?
・そもそも憲法違反なんじゃないの?
・歴代の政府見解では、ずっと「違憲」だったの?
・本当に、立憲主義がわかっているの?
・「解釈改憲」ではなくて「解釈壊憲」じゃないの?
5時間目 憲法が変わったらどうなるの?
・「自民党憲法改正草案」は何をめざしているの?
・「天賦人権説(自然権思想)」の考え方を改めるの?
・国民も憲法を守らなければならないの?
・天皇が日本国の「元首」になるの?
・国民の義務と責任を果たさないと、自由と権利は認められないの?
・「公共の福祉」じゃなくて、なぜ「公益及び公の秩序」なの?
・第9条と「平和主義」はどうなるの?
・「自衛隊」が「国防軍」になるとどうなるの?
・一番最初に変えたい(新設したい)のは「緊急事態条項」なの?
・まずは「お試し改憲」をするの?
6時間目 憲法変えるの? 変えないの?
・3分の2を超えたら憲法を変えることになるの?
・3分の2を超えたら憲法は変えやすくなるの?
・これからは改憲の論議は、どこで誰がするの?
・「国民投票」で国民の意見は二分されないの?
・「憲法改正」じゃなくて、「憲法改変(改悪)」じゃないの?
・憲法を「変える・変えない」の前に、まずは憲法を「知ること・活かすこと」
・じつは、これまでも「活かされてきた」いまの憲法
・憲法第9条にノーベル平和賞?
・本当に憲法を変えてもいいの?
おわりに
改憲問題ブックガイド
前書きなど
はじめに
2016年7月に行われた参議院議員選挙の結果によって、与党である自由民主党と公明党の議席に、改憲に前向きであるとされる政党の議席を合わせると、参議院の全議席の3分の2に達しました。すでに衆議院では、与党だけで3分の2の議席を占めているため、これによって与党と改憲に前向きな政党の議員がすべて賛成すれば、国会での改憲の発議ができるようになりました。
しかし、この参議院議員選挙の選挙運動期間中、安倍首相は街頭宣伝では一貫して改憲について口にすることはなく、選挙の最大の争点は経済政策だとして、改憲の是非について国民に対して正面から問うことはありませんでした。ところが、選挙が終わって「改憲勢力」が3分の2に達すると、「(改憲へ)しっかりと橋がかかったと思っている」というように、改憲に向けての意欲をあらわにしました。
日本国憲法が制定されてまもなく70年になろうとしていますが、このような状況によって、憲法制定以来はじめて、改憲ということが現実的な可能性をもった問題として国民の前に現れてきました。にもかかわらず、この参議院議員選挙の結果によって「改憲勢力」が3分の2に達することの意味を、選挙の前から十分に認識していた国民は多くはなかったようです。選挙後になって、「そんなことは知らなかった」とか「改憲することまで一任したわけではない」という声も聞かれました。けれども間違いなく、これから私たち国民は、この改憲問題に正面から向かい合わなければならないのです。
憲法や改憲問題については、すでにたくさんの関連本が出されており、私自身もそれらの本から大変勉強させていただいてきました。その上に、私のような者がなにかを付け加えることもないのですが、18歳選挙権が実現し、2018年からは国民投票にも18歳から参加できることになることから、高校生さらには中学生にも憲法と改憲問題についてわかりやすく解説した本が必要ではないかと考えました。
長年、学校現場での社会科(公民科)の授業で、憲法や改憲問題について生徒たちに教えてきたのですが、授業ではどうしても知識や概念を教え込むようなものになりがちでした。この本では、教師である「かわはら先生」と高校生の「けんた君」との「対話形式」にして、できるだけ読みやすく、中高生にとってもわかりやすくなるような表現をこころがけました。はたして、そのような意図がうまくいっているかどうかはわかりませんが、できれば中高生だけでなく、一般の市民の皆さんにもぜひとも手に取って読んでいただきたいと思っています。
これからいまの日本国憲法を変えようとするにしても、変えないようにするとしても、まずは憲法とはどのようなものであるのかを知ること、そして憲法を変えるということはどのようなことであるのかを知ることは、これからの日本の国民にとって必須のことであるように思います。そのために、この本が一人でも多くの人たちに読んでもらえることを願っています。