目次
はじめに
第1章 学校教育の革新を求めて
1.1 OECDのキー・コンピテンシー――リテラシーからコンピテンシーへ
1.2 デジタル社会の進展と21世紀型スキル
第2章 域内でキー・コンピテンシーの育成をめざすEU諸国の教育改革
2.1 イギリス――キー・スキルをめぐる論争
2.2 ドイツ――PISAショックを契機に
2.3 フランス――すべての子どもに「共通基礎」を
2.4 フィンランド――揺らぐ世界一の学力
第3章 21世紀型スキルの影響の大きい北米の教育改革
3.1 アメリカ合衆国――コモンコア・ステイトスタンダードと21世紀型スキル
3.2 カナダ――世界をリードするオンタリオ州の教育改革
第4章 先進的に取り組むオセアニアの教育改革
4.1 オーストラリア――歴史的なナショナル・カリキュラム
4.2 ニュージーランド――キー・コンピテンシーと学習領域の架橋
第5章 世界トップレベルの学力を実現したアジア諸国の教育改革
5.1 シンガポール――一世代で先進国の仲間入り
5.2 香港――自律した教育システムの構築
5.3 韓国――世界基準をめざして
第6章 日本の教育システムの革新に向けて
6.1 コンピテンシーに基づく教育改革の国際比較
6.2 日本の教育システムに求められるパラダイム転換
あとがき
参考文献
資料
索引
前書きなど
はじめに
21世紀型スキルとは、何を意味するのだろうか。
21世紀型スキルとは、21世紀のグローバルな知識基盤社会のなかで必要とされる能力であり、これからの教育で育成されることが期待される21世紀を生き抜く力である。その用語は、アメリカの21世紀型スキル運動やATC21S国際研究プロジェクトで使われている。同様の能力観として、キー・コンピテンシーといった言葉もある。その定義を試みたOECD(経済協力開発機構)の「コンピテンシーの定義と選択(DeSeCo)」プロジェクトを契機に、キー・コンピテンシーの概念は、PISA(生徒の学力到達度調査)などの国際学力調査にも部分的に取り入れられ、諸外国の教育改革に大きな影響を与えるようになっている。
(…中略…)
さて、本書は、6章で構成されている。
第1章「学校教育の革新を求めて」では、コンピテンシーに基づく教育改革の背景にあるOECDのキー・コンピテンシーと21世紀型スキルの二つの流れについて検討する。
第2章「域内でキー・コンピテンシーの育成をめざすEU諸国の教育改革」では、キー・スキルをめぐって論争が展開する「イギリス」、PISAショックを契機に教育スタンダードの開発が進んだ「ドイツ」、すべての子どもに「共通基礎」を保障することをめざす「フランス」、学力世界一が揺らいでいる「フィンランド」について概観する。
第3章「21世紀型スキルの影響の大きい北米の教育改革」では、コモンコア・ステイトスタンダード(CCSS)と21世紀型スキル運動の展開がみられる「アメリカ」、世界をリードするオンタリオ州の教育改革を中心に「カナダ」を検討する。
第4章「先進的に取り組むオセアニアの教育改革」では、歴史的なナショナル・カリキュラムの開発が進む「オーストラリア」、キー・コンピテンシーと学習領域の架橋をめざす「ニュージーランド」を検討する。
第5章「世界トップレベルの学力を実現したアジア諸国の教育改革」では、一世代で先進国の仲間入りをした「シンガポール」、自律した教育システムの構築が進む「香港」、世界基準をめざして邁進してきた「韓国」をみていく。
第6章「日本の教育システムの革新に向けて」では、それまで検討した諸外国の「コンピテンシーに基づく教育改革の国際比較」を行うとともに、国際比較を通して示唆される日本の教育システムに求められるパラダイム転換について考察する。
(…後略…)