目次
はじめに
第1章 生命の意味
生命の不思議な起源
生命とは何か
生命力およびその他の非科学的な観念
いにしえの分子の話
微生物、エデンの園はどこか
第2章 波に逆らって
劣化の原理
生命がもつ情報はどこから来るか?
エントロピー・ギャップ――重力こそ秩序の源泉
第3章 泥土のなかから
生命の系統樹
生命の三つの領界
最古の岩石化石
自然発生
原始のスープを再現する
偶然と生命の起源
第4章 機械のなかのメッセージ
複製、そして複製だ
生きてゆくために
遺伝子の暗号
メッセージを受信する
暗号のなかの暗号?
第5章 卵が先か鶏が先か
RNAが最初説
RNAが最後説
自己組織化――それはタダで手に入ったか
第6章 宇宙との関連
目のなかの星屑
宇宙の化学
宇宙から来た生命の起源
衝突
シシュポスの労働
第7章 スーパー虫
熱いところが好きなやつ
地下世界の生きもの
黄泉の国から昇ってゆく
岩を食べる
あとは歴史だ
第8章 火星、その赤い惑星は死の星か
火星、そこは遊びに行くところではない
洪水
火星の温室
昔、火星に生命があったか
いまでも火星には生命があるか
火星からきた隕石
生命の痕跡か?
赤い惑星由来の殺人疫病
第9章 汎胞子説
宇宙で生き残る
生命は隕石にのって地球に来たか
地球生命は火星から来たか
地球生命は火星に行ったか
第10章 宇宙は生命を育むか
生命に始まりはあったか
自然法則は生命に有利にできているか
後はすべてダーウィン進化か?
進歩の階段?
心は予定されたものか?
訳者あとがき
注
索引
前書きなど
訳者あとがき
本書は、ポール・デイヴィス著、The Fifth Miracle: The Search for the Origin and Meaning of Life, New York, Simon & Schuster Paperbacks, 1999 の全訳である。
原著者デイヴィス教授は、一九四六年英国ロンドンに生まれ、現在アメリカ、アリゾナ州立大学物理学科の教授である。原著者の関心は専門の理論物理学にとどまらず非常に多岐にわたっている。また著述とメディアでの活躍も著しく、その邦訳も一九七九年培風舘発行、戸田盛和・田中裕共訳『時間の物理学――その非対称性』以来二〇冊に及んでいる。本書は二一冊目である。
訳者と原著書との出会いといえば、奇縁というべきか。私は南房総の山のなかに住んでいるが、同じ地域にオーストラリア人のキーラン・ムンディ(Kieran Mundy, Ph.D.)という研究者が住んでいる。私たちは友だちで、数年前まで毎週東京への往き帰りのバスでよく一緒したものである。
三年前の二〇一一年、そのムンディ君がこんな面白い本があるといって、この原著書を私に貸してくれた。原著者デイヴィス教授は以前オーストラリアのアデレード大学で教鞭を取った経歴があるというが、ムンディ君もその同じ大学で勤務していたというから世の中は面白い。私は閑な折り、その本を拾い読みしていったがなかなか面白い。迫力がある。これはそこらの普通の書物ではないと直感した。そしてその全訳を思い立ったのである。
(…後略…)