目次
序文
謝辞
働くために学ぶ(Learning for Jobs):概要と政策メッセージ
第1章 職業教育訓練の課題
第1節 なぜ職業教育訓練に目を向けるのか
第2節 若者を対象とした職業教育訓練プログラムの価値
第3節 初期職業教育訓練は労働市場の特性にいかに依存するか
第4節 職業教育訓練プログラムを現在の世界に適合させる
第5節 OECDレビュー
参考文献
第2章 労働市場のニーズに合わせる
第1節 財源と職業プログラムの構成
第2節 訓練された者を適切な人数確保する
第3節 職業プログラムにおけるスキルの適切な構成を確保する
第4節 労働市場のニーズに合わせる:結論
参考文献
第3章 キャリアガイダンス
第1節 キャリアガイダンスの主な特徴
第2節 なぜキャリアガイダンスが重要か
第3節 課題
第4節 政策対応
第5節 キャリアガイダンス:結論
参考文献
第4章 有効に働く教員と訓練指導員
第1節 職業教育訓練教員と訓練指導員を分類する
第2節 職業教育訓練機関における教員と訓練指導員
第3節 産業界に属する訓練指導員のための準備
第4節 職業教育訓練機関と産業界とのリンクを強化する
第5節 有効に働く教員と訓練指導員:結論
参考文献
第5章 職場学習
第1節 職場訓練の強み
第2節 職場学習の質を保証する
第3節 雇用主および訓練生にとってのインセンティブ
第4節 職場学習:結論
参考文献
第6章 制度を支援する諸ツール
第1節 利害関係者を巻き込むメカニズム
第2節 職業教育訓練制度を支援するため資格枠組みを活用する
第3節 実践的なスキルをアセスメントする共通ツールを開発する
第4節 労働市場での成果に関するデータを強化する
第5節 エビデンスベースの改善
第6節 政策を支援するツール:結論
参考文献
別添A OECD諸国における全国的なVET(職業教育訓練)センター
別添B レビュー対象国のアセスメント(評価)概要と政策勧告
用語解説
訳者注
訳者あとがき
表一覧
2.1 誰が職業教育訓練の費用を支払っているのか
2.2 職業教育訓練の資格取得における、実践的職業訓練の占める割合
2.3 資格レベル別の学習選好、2003年
5.1 職業教育訓練受講生が職場で過ごす時間の割合
5.2 実践的訓練を提供している企業に対する質保証
5.3 職場訓練の契約
5.4 政府と雇用主はどのように職場訓練を支援しているか
5.5 見習い訓練制度への推定公的支出
6.1 資格枠組みのデザインにおける主要な座標軸
6.2 労働市場成果情報を収集しうる調査類型
図一覧
1 若者の相対的失業状況
2 後期中等教育段階の教育セクター(国際標準教育分類〔ISCED〕3)に占める職業教育訓練の割合、2006年
1.1 若者の相対的失業状況
1.2 職務に関連した継続教育訓練への参加率
1.3 後期中等教育段階の教育セクター(国際標準教育分類〔ISCED〕3)に占める職業教育訓練の割合、2006年
1.4 若者が就こうと考えている仕事
2.1 失業の可能性と読み書きの習熟度合い
3.1 中等教育におけるキャリアガイダンスの提供
5.1 パートタイムないしフルタイムで就業する15~19歳の学生(見習い実習生を含む)
BOX一覧
1 働くために学ぶ(Learning for Jobs):OECDレビュー
1.1 働くために学ぶ(Learning for Jobs):OECDレビュー
1.2 職業教育訓練を定義する
1.3 OECD若者にとっての仕事(Jobs for Youth)レビュー
1.4 米国におけるキャリア・技術教育
1.5 見習い訓練――学習と労働の融合
1.6 定着対策とセカンドチャンスの機会
1.7 OECD職業教育訓練制度国際比較調査
2.1 競争は職業教育訓練の提供を改善するのに役立つか
2.2 成功裏にコースを修了することを促す手段として基礎スキルの援助を行う
2.3 「キャリア技術教育における数学(Math-in-CTE)」:米国における、職業教育訓練への基礎スキルの統合
3.1 英国およびスイスにおけるキャリアアドバイザーの訓練
3.2 スイスのキャリアガイダンス
3.3 さまざまな国におけるキャリア情報
3.4 就労経験
4.1 米国サウスカロライナ州DIRECTプログラム
4.2 スイス連邦職業教育訓練研究所
4.3 企業に属する職業訓練指導員になるための準備
4.4 教員と労働者のペア形成:フィンランドにおける職業教育訓練機関と産業界の協力
5.1 韓国における職場訓練
5.2 スイスにおける職場訓練の質管理
5.3 職場訓練のための契約
5.4 スイスにおける見習い訓練制度の費用と便益
5.5 見習い訓練制度に関与する外部団体
6.1 事業主と組合を関与させる制度的枠組み事例
6.2 英国における雇用主の関与
6.3 資格枠組みと資格制度
6.4 並行する資格制度に取り組む
6.5 サスカチュワン州(カナダ)では、見習い実習生はどのようにアセスメントされるのか
6.6 テキサス州ベストプラクティス(最良実践事例)情報提供センター
6.7 進路調査
6.8 政策の査定・評価
前書きなど
訳者あとがき
はじめに
本書は、OECDが2010年秋に発刊した、“Learning for Jobs”の全訳である。OECD加盟国中、オーストラリア、オーストリア、ベルギー(フランダース地域)、チェコ、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、韓国、メキシコ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国(イングランドおよびウェールズ)、米国(サウスカロライナ州およびテキサス州)に対して2007年末から2010年にかけて行われた国別政策レビュー、中国とチリに対する特別研究、そして、OECD加盟34カ国を対象にした国際職業教育訓練制度調査結果等に基づく一連の研究などを踏まえ、若者に対する職業教育訓練の実態と政策について、総合的に取りまとめられたものである(若者を主眼とした報告書であることを明確にするため、邦題は、「若者の能力開発――働くために学ぶ」とした)。
日本においては、職業教育と職業訓練とは通常別途に議論されているが、近年OECD諸国では、VET(職業教育訓練:Vocational Education and Training)という一固まりで政策論議されることが多い。欧州諸国等では、初期職業教育訓練(Initial Vocational Education and Training: IVET)と継続職業教育訓練(Continuing Vocational Education and Training: CVET)に通常明確に分かれている。初期職業教育訓練は、一般に就学年齢の青年を対象とし、学校教育の範疇ないしその延長線上で、通常は職業生活に入る前に行われるものである。他方、継続職業教育訓練は、初期職業教育訓練のあとに、または職業生活に入ったあとに行われる教育・訓練で、離職者訓練、技能向上訓練等である。企業や国・自治体だけでなく多様な機関が訓練を提供している。
本書は、若者向けの初期職業教育訓練をどのようにして労働市場の要件によりよく対応させるかを詳しく探ることを通じて、学習と仕事の間のギャップに橋を架けることを目的としている。本プロジェクトへの日本の不参加は大変残念であるが、若者に対する職業教育訓練の重要性は日本においても大変重要であり、翻訳版の出版は日本の政策論議に大きく貢献するであろうと判断しチャレンジした。いざ着手してみると、職業教育訓練の分野については定訳が少なく、また、訳文だけでは日本の読者にとってはわかりづらいであろうと思われる個所も多く見つかり、翻訳作業には予想以上に苦心した。翻訳作業は、序文から第3章までを上西充子法政大学准教授が、第4章から第6章ならびに別添Aと用語解説を岩田が、別添Bはほぼ半分ずつの割り振りで当初の翻訳作業を分担したが、その後お互いに何度も手を入れて修正している。上西准教授の丁寧かつ粘り強い訳業に心から感謝したい。
なお、原書(英語版ならびにフランス語版)が出版されたのは2010年秋であるが、OECDにより本プロジェクトと並行して実施された「若者にとっての仕事(Jobs for Youth)」レビューは、2010年12月に発行された(邦訳は、『世界の若者と雇用』として明石書店から2011年12月に出版された)。また、後期中等教育(日本の高校段階)と高等教育の境界をまたぐ、米国のコミュニティカレッジ等の中等後教育段階の職業教育訓練を検討する新たな政策レビューである「学校の先のスキル(Skills Beyond School)プロジェクト」が2011年初めにスタートし、2012年9月現在、17の国・地域別レビューとキャリアガイダンス等の個別分析が進行中で、本書と同様の統合報告書が2013年中に発行される予定である。
(…後略…)