目次
監訳者はしがき
日本に関する基本統計
要旨
評価と勧告
第1章 日本経済の回復:自律的で持続的な景気拡大とデフレの終焉を目指して
はじめに
第1節 2008年の世界的経済危機からの日本経済の回復
1.1 輸出の急増:中国の貢献
1.2 強力で敏速な政策的対応
1.3 労働市場の好転と国内需要の増加
第2節 日本の短期経済見通し
第3節 金融・為替政策
3.1 日本銀行による物価安定達成のための最近の措置
3.2 金融政策の枠組みの改革
3.3 為替政策
第4節 日本の中期経済見通し:成長を持続させ財政問題に取り組む
第2章 日本の財政政策:持続可能性のために
はじめに
第1節 2010年までの財政の動向
1.1 新政権の財政政策
1.2 2010年度予算
第2節 2010年「財政運営戦略」
2.1 2011年度予算
2.2 「財政運営戦略」の暫定的評価
2.3 赤字削減が失敗する可能性
第3節 構造財政赤字の克服と財政の持続可能性の確保
3.1 適切な財政目標
3.2 急速な人口高齢化の下での社会保障支出のコントロール
3.3 他の分野での支出削減の達成
3.4 政府収入の増加
3.5 増税の適切なタイミング
第4節 財政政策の制度基盤の改革
第5節 結論
第3章 日本の新成長戦略:需要と雇用を創造するために
はじめに
第1節 新成長戦略の概要
1.1 7つの成長のエンジンと21の戦略的プロジェクト
1.2 新成長戦略と規制改革
第2節 新成長戦略の分野ごとの政策
2.1 グリーン成長とイノベーション
2.2 医療改革
2.3 アジア経済戦略
2.4 地域開発
2.5 金融部門の改革
第3節 結論
第4章 日本の教育改革
はじめに
第1節 日本の教育制度の概観
1.1 教育支出
1.2 日本の教育制度の仕組み
第2節 教育の成果を改善するための政策
2.1 幼児教育・保育により多く投資すること
2.2 初等教育と中等教育の学校の質を改善する
2.3 高等教育の質を高めること
第3節 教育支出の効率性の向上:教育におけるバリュー・フォー・マネー
3.1 コストを削減するために保育所と幼稚園を統合する
3.2 学校を統合する
3.3 教員が教育により専念できるようにし、教員をより有効に使うこと
3.4 高等教育機関に関する規制を自由化すること
第4節 家計に対する負担の軽減
4.1 幼児教育・保育の費用における公的支出の割合を増加させること
4.2 塾への依存を減らすこと
4.3 高等教育の費用における家計の負担を軽減すること
第5節 教育における不平等の是正
第6節 職業教育・訓練の強化
第7節 イノベーションにおける教育制度の役割の向上
第8節 結論
第5章 日本の労働市場改革:成長と公平性の改善のために
はじめに
第1節 労働市場の二極化
1.1 正規労働者と非正規労働者との比較
1.2 非正規労働者の増加を説明できる要因
1.3 非正規労働者の割合の上昇に関連した課題
1.4 労働市場の分断化:非正規雇用と正規雇用との間の移行の欠如
1.5 進行する労働市場の二極化の解決に向けた政策
第2節 労働市場への参加促進
2.1 女性の労働参加率の引き上げ
2.2 高齢労働者の効率的活用の促進
2.3 若者の労働参加とニートの問題
第3節 結論
Box
Box1.1 東日本大震災の経済的影響
Box2.1 現政権の2009年総選挙マニフェスト実現への進捗状況
Box2.2 日本の最近の税制改革の進展:2011年度税制改正案
Box2.3 〈勧告の概要〉財政の持続可能性の達成
Box3.1 排出権取引制度と炭素税:プラス面とマイナス面
Box3.2 改革プロセスの管理:改革の実現に関するOECDの研究から得られる教訓
Box3.3 〈勧告の概要〉日本の新成長戦略
Box4.1 日本における幼児教育・保育
Box4.2 最近の日本の教育改革
Box4.3 教育における塾の役割:親たちと生徒たちの見方
Box4.4 〈勧告の概要〉日本の教育改革
Box5.1 〈勧告の概要〉日本の労働市場改革
表
表1.1 経済指標
表1.2 日本の銀行の実績
表1.3 日本銀行の経済見通し
表1.4 OECD諸国・地域のインフレ目標
表2.1 1992年からの財政の推移
表2.2 新政権の財政刺激策
表2.3 中央政府予算
表2.4 税外収入の内訳
表2.5 支出公約
表2.6 支出公約に対応する増収策
表2.7 2011年度税制改革案に基づく構造改革の再検討
表3.1 分野ごとの新しい需要と雇用の創造
表3.2 新成長戦略の戦略分野とプロジェクト
表3.3 OECD諸国における開業と廃業の容易さ
表3.4 構造改革調査:気候変動問題への政策対応の改善
表3.5 日本のエネルギー補助金
表3.6 構造改革調査:コストの抑制と質の改善のための医療制度の改革
表3.7 日本の経済連携協定
表3.8 日本の経済連携協定の効果
表3.9 特区への取り組み
表3.10 構造改革調査:金融部門の効率性の改善
表4.1 幼児期の教育・保育施設への入園
表4.2 保育所と幼稚園の比較、2007年
表4.3 幼稚園の財務状況、2009年
表4.4 塾へ通うことに伴う問題
表4.5 日本の高等教育機関、2008年
表4.6 高等教育機関の種類別の学生数
表4.7 日本の大学の1 校当たりの学生数
表4.8 家計所得に占める教育支出の割合
表4.9 学校外の教育への支出
表4.10 日本の学生向け貸与制度
表4.11 科学技術研究(R&D)資金の流れ、2007年
表5.1 雇用形態別雇用者数
表5.2 正規労働者と非正規労働者との比較
表5.3 非正規労働者を活用する企業側の理由
表5.4 非正規雇用を選んだ労働者側の理由
表5.5 過去の職歴別雇用者
図
図1.1 日本経済の回復
図1.2 輸出主導の回復
図1.3 労働市場の好転と民間消費の増加
図1.4 1995年の阪神・淡路大震災の影響
図1.5 最近の為替動向
図1.6 消費者物価の動向
図1.7 実質金利
図1.8 中央銀行のバランス・シートの国際比較
図1.9 日本の地価
図1.10 円レートの長期的な傾向
図1.11 OECD諸国間の所得格差の説明図、2009年
図2.1 OECD加盟国の公的債務
図2.2 日本のバブル崩壊後の財政動向
図2.3 支出と税収のギャップの拡大
図2.4 政府の利払い
図2.5 政府の長期財政予測
図2.6 OECD加盟国における一般政府賃金
図2.7 民間部門と公的部門の賃金・雇用の推移
図2.8 都道府県別の民間・公的部門雇用者間賃金格差
図2.9 OECD加盟国における公共投資
図2.10 消費税の逆進性と政策対応の可能性
図3.1 事業所の新設と廃業
図3.2 ネットワーク部門への参入規制
図3.3 環境関連税からの収入
図3.4 中国との財の貿易
図3.5 農業の生産者支持推定量(PSE)の国際比較
図3.6 経済のグローバリゼーション指標
図3.7 OECDの海外直接投資規制指数
図3.8 ベンチャーキャピタル投資、2008年
図4.1 総教育支出の国際比較、2007年
図4.2 教育費に占める公的支出の割合は日本では低い
図4.3 1995年から2007年の間の教育支出の増加率
図4.4 PISA調査における生徒の成績の国際比較
図4.5 学校外の教育への参加、2008年
図4.6 学校外での数学の学習活動に参加している学生の割合
図4.7 日本の高等教育部門の傾向
図4.8 就学前教育における子ども1人当たりの教育費は日本では低い
図4.9 日本の学生1人当たりの教育支出はOECD平均を上回る
図4.10 教師の授業時間数の国際比較
図4.11 予定子ども数が理想子ども数を下回る理由
図4.12 世帯収入と学校外教育支出・成績との関係
図4.13 高校卒業後の進路
図4.14 学歴別就業形態
図5.1 非正規労働者の割合は再び上昇している
図5.2 正規労働者と非正規労働者の間の著しい賃金格差
図5.3 雇用者属性調整後の就業形態別賃金格差
図5.4 相対的貧困率の国際比較、2000年代半ば
図5.5 非正規雇用から正規雇用へ移行した労働者
図5.6 日本における人口の急速な高齢化
図5.7年齢別・性別の労働参加率の変化と非正規労働者の割合
図5.8 日本における出生率と女性の労働参加率
前書きなど
OECD経済情勢審査委員会は、OECD加盟国といくつかの非加盟国の経済政策とその問題点などを徹底的に審査し、その報告書を定期的に発表している。審査においては、各国の消費需要、生産、雇用、賃金と物価、金融と資本市場、国際収支などを詳細に分析するとともに、経済動向の短期予測を行っている。このOECD年次審査は、ある国において他のOECD加盟国や開発途上国の利益と相反する政策が実施されないようにすることと、国際経済の弾力的な運営を図るべく各国の経済政策を調整することを目的としており、必要な政策勧告が盛り込まれている。日本の経済政策に対する2011年版の審査報告書は、経済回復、財政政策、新成長戦略、教育改革、労働市場改革に関する5つの章から構成されている。
第1章 日本経済の回復:自律的で持続的な景気拡大とデフレの終焉を目指して
2008年の世界的経済危機からの日本経済の回復/日本の短期経済見通し/金融・為替政策/日本の中期経済見通し:成長を持続させ財政問題に取り組む
第2章 日本の財政政策:持続可能性のために
2010年までの財政の動向/2010年「財政運営戦略」/構造財政赤字の克服と財政の持続可能性の確保/財政政策の制度基盤の改革/結論
第3章 日本の新成長戦略:需要と雇用を創造するために
新成長戦略の概要/新成長戦略の分野ごとの政策/結論
第4章 日本の教育改革
日本の教育制度の概観/教育の成果を改善するための政策/教育支出の効率性の向上:教育におけるバリュー・フォー・マネー/家計に対する負担の軽減/教育における不平等の是正/職業教育・訓練の強化/イノベーションにおける教育制度の役割の向上/結論
第5章 日本の労働市場改革:成長と公平性の改善のために
労働市場の二極化/労働市場への参加促進/結論