目次
より一層エビデンスに基づいた教育政策と実践を(放送大学学園理事:惣脇宏)
はじめに
謝辞
概要
第I部 エビデンスとして検討すべき課題と方法論の問題――問題提起
第1章 エビデンスとして検討すべき課題
第1節 エビデンスとして検討すべき課題と方法論の問題――問題提起
第2節 政策と研究の相互作用を仲介する――仲介機関の役割
第3節 エビデンスに基づいた政策研究の実践――現場からの事例
第4節 政治家の視点
第5節 結論
第2章 何がエビデンスとしてとらえられており、何をエビデンスとしてとらえるべきか
第1節 はじめに
第2節 トーマス・クックの主張
第3節 スティーブン・ゴラードの主張
第4節 合意できる点と異なる点
第II部 政策と研究の相互作用を仲介する――仲介機関の役割
第3章 WWC情報センター(米国)
第1節 WWCと科学の体系化
第2節 前提と見通し
第3節 運営方針
第4節 近年の歩み
第5節 WWCの成果物
第6節 予想されるユーザーとWWC成果物の利用について
第7節 WWCのトピックとワークフロー
第8節 結論
第4章 エビデンスによる政策と実践のための情報連携センター(英国)
第1節 目的と機能
第2節 方法
第3節 今後の課題
第5章 反復ベスト-エビデンス統合プログラム(ニュージーランド)
第1節 知識仲介へのBESアプローチ
第2節 「目的に適合した」統合方法
第3節 BES開発ガイドライン
第4節 政策、研究、実践にわたる協同的アプローチの理論的根拠
第5節 BES開発における関係者の関与の反復プロセス
第6節 活用のための戦略
第7節 政策機関の要請による仲介――エビデンスギャップが存在する場での制約と機会
第6章 カナダ学習審議会(カナダ)
第1節 カナダ学習審議会の設立
第2節 組織と具体的な活動
第3節 機会と課題
第7章 知識情報センター(デンマーク)
第1節 はじめに
第2節 デンマークにおける教育研究開発の制度的枠組み
第3節 新たな期待と要求
第4節 大学統合とグローバル経済下のデンマークの戦略
第5節 新しい解決策
第8章 知識評議会(オランダ)
第1節 はじめに
第2節 教育文化科学省は知識を扱う新しい方法を望んでいる
第3節 トップを巻き込み、知識をめぐる過剰、分断化、過程至上主義を最小化する
第4節 政府を近代化する
第5節 本質――知識に関する構造的協議
第6節 承認された知識を産出する
第7節 創造性を組織する
第9章 ソーシャル・ケア研究所(英国)
第1節 背景
第2節 社会福祉における関係者
第3節 ソーシャル・ケア研究所の責任
第4節 知識基盤を確立する
第5節 変化を達成する
第6節 仲介業務の例
第7節 結論
第III部 エビデンスに基づいた政策研究の実践――現場からの事例
第10章 大規模な政策研究プログラム――カナダの経験
第1節 主要な文化的変容
第2節 政策に主導された研究が、望ましいアウトカムに基づいた長期的視点を要請
第3節 エビデンスと政策の関係についてのより良い理解
第4節 全国的データへの公共投資
第5節 政策主導の統合政策研究プログラム
第6節 一連のエビデンスの構築
第7節 エビデンスによって主導された政策革新
第8節 カナダの子どもたちを代表する具体的結果
第9節 エビデンスの質のテスト
第11章 学ぶ人生――フィンランド全国調査プログラム
第1節 学ぶ人生――フィンランドにおける全国研究プログラム事例
第2節 プログラムを通じての協力と普及
第3節 プログラムの強みと課題
第4節 いかにしてプログラムに付加価値を加えるか
第5節 新しいイニシアチブ――プログラム後の次のステップ
第12章 英国の教育学習研究プログラム
第1節 目的
第2節 妥当性と質の向上のためのユーザー関与
第3節 プロジェクトチームによる知識の創生
第4節 テーマ別の活動による知識の統合
第5節 社会的インパクトに向けた知識の変換
第6節 専門性向上のための能力開発
第7節 持続のためのパートナーシップ
第8節 結論
第13章 政策指向の研究とエビデンスに基づくシンガポールの教育革新
第1節 背景
第2節 シンガポールの重点研究プロジェクト
第3節 主要研究プログラム
第4節 特定重点プロジェクト
第5節 エビデンスに基づく改革プログラム
第6節 報告――知識運用と制度のイノベーションに向けて
第7節 おわりに
第IV部 政治家の視点
第14章 研究に基づいたスウェーデンの政策形成――長期的見通しの必要性
第1節 政策立案と研究の速度のアンバランス
第2節 長期的な視野
第3節 研究成果の解釈が重要である
第15章 エビデンスに基づくオランダの政策――政策と同時にエビデンスに基づく実践を!
第1節 はじめに
第2節 政策的背景についての簡単な概要
第3節 国家政策を裏付ける、より確固たる知識基盤
第4節 教育実践に向けた、より確固たる知識基盤
第5節 結論
第16章 教育におけるエビデンスに基づく政策研究の重要性――ウェールズからの展望
第1節 はじめに
第2節 学習国家
第3節 エビデンスに基づく政策
第4節 さらなる施策
第5節 共に取り組む
第17章 エビデンスに基づく教育政策の促進――ポーランドの事例
第1節 背景
第2節 研究基盤
第3節 OECDと改革
第4節 EU加盟の効果
第5節 アジェンダの作成
執筆者紹介
訳者あとがき
前書きなど
OECD各国において、教育政策や制度に対し、アカウンタビリティ(説明責任)や有効性をより重要視することを求める圧力は強まる一方である。しかしながら、これまで政策決定のために入手可能であった情報は、政策に関する厳密な研究がなされなかったり、利用できる研究が矛盾していて、まとまった対応策を示唆していなかったりするために、不適切なものが多かった。可能な限り最良のエビデンスに基づいた教育政策の決定は、きわめて重要なのである。
本書は、エビデンス情報に基づく教育政策についての国際的な専門家の意見を、OECD各国から幅広く集結させたものである。本書では、教育政策立案者、研究者、教員・メディア・保護者などの関係者が最もよい効果を得るためにエビデンスを活用する場合、直面する課題を考察している。また、政策立案者と研究者との間の効果的な協同という課題に焦点を当て、主要な政策関連研究の具体事例を提供するとともに、政治家による視点についてもいくつかの角度から提示している。本書は、政策立案者、研究者、学校管理職および教育関係者が今日直面する主要な課題について斬新な展望を提供するであろう。