目次
要約
記号と略記
第1部 国家成長の主要因としての地域
1章 人口の地理的集中
2章 老年人口の地理的集中
3章 GDPの地理的集中
4章 GDP成長に対する地域的な寄与
5章 産業の地理的集中
6章 雇用変化に対する地域的な寄与
7章 特許の地理的集中
第2部 地域資産の積極的な活用
8章 1人当たりGDPの地域間格差
9章 労働生産性の地域間格差
10章 特化の地域間格差
11章 高等教育の地域間格差
12章 失業率の地域間格差
13章 労働力参加率の地域間格差 地域発展にとって鍵となる要因
14章 経済パフォーマンスの隠れた要因
15章 OECD諸国の地域別成長
16章 地域パフォーマンスと全国的要因
17章 地域的要因:1人当たりGDPと人口
18章 地域的要因:生産性と特化
19章 地域的要因:雇用、労働力参加率、高齢化
第3部 地域の厚生的基盤に関する競争
20章 アクセシビリティ:最近隣の都市からの距離
21章 教育:高等教育への進学
22章 政治:国政選挙の投票率
23章 安全:財産犯罪認知件数
24章 安全:殺人犯罪認知件数
25章 生活:持ち家率
26章 環境:自家用車保有率
27章 環境:自治体の廃棄物
第4部 保健医療の地域的焦点
28章 健康状態:年齢調整死亡率
29章 健康状態:早期死亡率
30章 健康状態:ガン発生率
31章 医療資源:医師数
32章 医療資源:看護師密度
33章 医療資源:病床数
34章 医療資源:医療技術
35章 医療以外の健康決定要因:喫煙率
36章 医療以外の健康決定要因:肥満率
出典と方法
領域区分と地域類型
指標と公式
監訳者あとがき
前書きなど
OECD諸国では、地域問題が重要な政策課題となっている。それは、ある意味では当然のことである。大部分のOECD諸国では、1998-2003年に創出された新規雇用の半分以上が、わずか10%の地域に分布していた。つまり、活力のある少数の地域が国家の成長を支えている傾向がみられるのである。政策立案者は、地域が持つ競争力の原動力についての情報を必要としているが、こうした情報をつねに入手できるとは限らない。国家の下位レベルのデータは限られているため、地域別指標を国家間で比較することは困難である。本書は、OECD諸国の地域間にみられる主要な地域類型やその動向を横断的に分析して比較することで、この問題に取り組もうと試みている。本書は、国家成長に地域が及ぼす影響を検討し、地域の競争力を強化するために利用できる未活用の資源を明らかにする。さらに本書は、地域格差を生み出している目にみえにくい要因にも注目している。たとえばそれは、高等教育や医療サービス、安全といった厚生をめぐって互いに競いあっている地域の姿である。