目次
第3版 はしがき
本書の使用方法
ウェブ資料集
PART 1 入管手続編
1. 一般的質問
2. 入管局への申請一般
3. 結婚に伴う在留資格
4. 離婚後の在留資格
5. 就労したい人の在留資格
6. 事業をしたい人の在留資格
7. 短期滞在者の在留資格
8. 永住希望
9. 上陸のトラブル
10. 在留資格の取消
11. 不法滞在
12. 難民認定
参考文献——ステップ・アップのために
POINT
旅券・渡航証明書/在留資格・査証・ビザ/定住者とは?/外国人雇用の注意点/基準省令の重要性/オールドカマーと難民/入国と上陸の違い/弁護士の依頼方法/偽装結婚/在留特別許可の申請?/日本の難民認定の状況/難民審査参与員
PART 2 渉外戸籍・国籍編
1. 一般的質問
2. 戸籍の届出一般
3. 国籍認定と本国法
4. 婚姻
5. 離婚
6. 子どもの国籍と各種手続
7. 父母不明の子どもの国籍
8. 中国残留日本人の国籍認定
9. 帰化
10. 養子縁組
11. 子の奪い合い
12. 司法共助
参考文献——ステップ・アップのために
外国法リンク集
POINT
本人確認と意思確認の違い/不受理申出/法例から通則法へ/反致/日本の協議離婚の外国での効力/国籍法違憲訴訟/300日規定問題/代理出産最高裁決定/無理な証明書の要求/国籍再取得届における住所要件の壁/フジモリ元大統領の国籍/アンデレ事件/国籍認定の齟齬/身分関係の整序/保護要件/アメリカ人と日本人の養子縁組
前書きなど
本書の使用方法
○基本的なコンセプト
本書は、もちろん当事者が自分で使っても構いませんが、主に外国人から法律相談を受ける立場にある弁護士、官公庁の職員、NGOなどを対象としています。外国人の法律相談では、大事なことを聞き漏らして、関係のない問題で悩んでいる人をよく見かけますが、そのような場合は、改めて事実関係を確認しなおす必要があります。これをマニュアル化したのが本書です。
○相談者に対する質問
相談案件が持ち込まれたら、チェックリストの番号に対応した解説を参照しながら質問し、□をチェックするか、または括弧内に必要事項を記入して下さい。本書のチェックリストだけをPDFにして、問診表と一緒に、出版社のウェブサイト〈http://www.akashi.co.jp/menue/books/2711/main.htm〉に掲載しましたので、プリントアウトして、ご利用下さい。
○アドバイス
どういうアドバイスをするのかも、解説に書いてあります。解説では、根拠となる法令や通達、さらに法務省の公式見解が示されたウェブサイトを引用しているので、それらを確認しながら、アドバイスするようにして下さい。解説はあくまで解説であり、拘束力を有するのは、法令であることを忘れないで下さい。
○資料の略語と出典
解説では、さまざまな資料を略語で引用しています。以下では、資料の種類毎に略語と出典を説明します。
条約・法令・入管ガイドライン・通達
「ウェブ資料集」に掲載したものは、略語で引用しています。多くは、信頼できるサイトへのリンクを張っていますが、原文を掲載したサイトが見つからなかったものについては、私が原文を転載しました。
その他の法令は、市販の六法を参照するか、またはウェブ資料集「電子政府」で検索して下さい。また、戸籍の先例(法務省回答など)でサイトに掲載されていないものは、「参考文献」に掲げた『戸籍実務六法』、『実務戸籍法〔新版〕』、奥田安弘「渉外戸籍入門」(さらには将来出版予定の『渉外戸籍法』)などを参照して下さい。
裁判所の判例
判例の原文は、ウェブ資料集「裁判例の検索」から入手できます。大部分の判例は、判例集にも掲載されているので、一般に使用される略語で引用しました。
その他の資料
「参考文献」のコーナーに掲載したものは、書名のみで引用しました。また、「ウェブ資料集」でリンクした他のウェブサイトや「外国法リンク集」を参照すべき場合は、→で示しています。
本書の参照箇所
本書の他の箇所を参照すべき場合も、→で示しています。たとえば、→「入管手続編」質問項目3の3となっていれば、「3.結婚に伴う在留資格」の「3.在留期間更新」を参照して下さいという意味です。
朝鮮・中国という名称
本書では、戸籍実務の用語法にしたがって、「朝鮮」とは民族名のみを意味し、韓国(大韓民国)と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の両方を含むものとします。同様に「朝鮮人」とは、本国法が韓国法である者と北朝鮮法である者の両方を含みます。また「中国」とは国名を意味し、「中国人」とは、本国法が中華人民共和国法である本土系中国人、および本国法が中華民国法である台湾人の両方を含みます。本国法の決定方法については、→「渉外戸籍・国籍編」質問項目3の2
○免責条項
本書は、原則として執筆終了時点(2007年8月末)の法令を前提としています。また本書は、法令の規定や法務省の公式見解と思われるものを前提としています。各地の入管局や法務局、市町村の現場が本書のとおりに事務処理することを保証するものではありません。ただし、事後的な救済手段は解説しました。
韓国法の改正
基準時点の例外として、2008年1月1日から施行される韓国法の改正があります。まず2005年の民法改正により、韓国の家族法が大きく修正され、大部分の規定は、公布と同時に施行されましたが、一部の規定は2008年1月1日から施行されます。本書との関連では、日本の特別養子に相当する「親養子」制度が始まるので、本書でもこれを取り入れ、従来の養子制度を「普通養子」と呼ぶことにしました。つぎに、日本と同様の戸籍制度が廃止され、個人別登録が始まります。すなわち、2007年5月17日に公布された「家族関係の登録等に関する法律」が2008年1月1日から施行されるので、これを本書に反映させました。
パレスチナ人父母の子どもの国籍
本書の執筆終了後に、パレスチナ人父母の子どもの国籍に関する通知が法務省から出されました(平19・10・3民一2120号)。従来の実務では、このような子どもは、父母がともに無国籍であるとして、日本で生まれたことを理由に、日本国籍の取得が認定されていましたが(国籍法2条3号)、今後は、日本国籍を取得しないという取扱いに改められます。しかし、この通知は、国籍法2条3号の不適用しか述べていないので、外国人登録や戸籍の届出などにおいて、一般的に「パレスチナ国籍」という記載を認めるのか、また本国法の認定においてパレスチナ暫定政府の旅券しか所持していない人を無国籍とした先例(→「渉外戸籍・国籍編」質問項目3-41)を変更するのかなど、多数の疑問が残ります。後日、戸籍の専門誌に解説が出れば明らかになるのかもしれませんが、現状では、本書の加筆修正を見送るしかありませんでした。