目次
まえがき
1 暮らしに根づくこだわり
第1章 世界一食にこだわる人びと(伊藤正)
第2章 中国人の酒と酒文化(鈴木博)
第3章 茶の歴史と今(鈴木博)
第4章 「海八珍」と中国人(竹田純一)
第5章 中国性愛の詩心——(邱海涛(納村公子訳))
第6章 おもしろ年画の技(わざ)(樋田直人)
第7章 神仙思想のルーツ(吉元昭治)
第8章 メンツ理論で解く中国人の不思議な行動(佐藤嘉江子)
第9章 中国人を虜にした「闘うコオロギ」(瀬川千秋)
第10章 「清明上河図」の楽しみ方(二角建太郎)
第11章 青花磁器はなぜ、どのように生まれたのだろう(竹田知代)
第12章 中国庭園の美(樋田直人)
2 生活にとけ込む楽しみ
第13章 神々の歴史小説『封神演義』(八木原一恵)
第14章 わらべ唄からみる生活の風景(星野孝司)
第15章 二胡の起源と音色の秘密(鈴木秀明)
第16章 庶民と京劇(金田直次郎)
第17章 雑技の成り立ち(工藤圀房)
第18章 中国仏像の歴史と発掘事情(堀進)
第19章 紫禁城左回廊を行く(松本英子)
第20章 中国象棋の由来と伝承(加藤貞敏)
第21章 中国絵画の転換期、宋代の絵画(竹田知代)
第22章 篆刻・印章の魅力(金田直次郎)
第23章 庶民の言葉遊び—歇后語、地口オチ、PUN(田口佐紀子)
3 伝統に生きる広がり
第24章 漢民族と少数民族(竹田純一)
第25章 西南少数民族のしぐさの世界(あだちがびん)
第26章 漢民族の民間信仰(川野明正)
第27章 チベット人の信仰(金子民雄)
第28章 モンゴル族の暮らしと馬(細川呉港)
第29章 少数民族の大運動会(細川呉港)
第30章 西双版納の水かけ祭り(友寄貞丸)
第31章 知られざる東巴文字の話(樋田直人)
4 日常をつなぐいとなみ
第32章 日中ビジネスと中国人の胸算用(中島恵)
第33章 世界に拡散する華人と中国経済(小林幹夫)
第34章 中国の軍隊・今と昔(竹田純一)
第35章 英雄像の浮き沈み(丹藤佳紀)
第36章 中国農村医療の“難”(名和巌郎)
第37章 中国映画 名作・佳作(田村志津枝)
第38章 暮らしを映す北京の胡同(山岸清子)
第39章 中国語の中の外来語(佐藤嘉江子)
第40章 中国のお墓と死者たち(窪徳忠)
あとがき
前書きなど
まえがき——より中国を知るために この本は、現在目まぐるしく変化する中国と、それでも依然として変わらない古い中国を身近な話題や出来事から知っていただくために編集しました。 戦後、中国と日本が国交を回復してから三〇年以上、今では日本から年間二五〇万人という観光客が中国を訪れています。そのための多くのガイドブックが出版され、観光地の案内やいわれ、簡単な歴史が要領よくまとめられています。しかし、実際に旅行に出かけてみて、名所や旧跡だけではなく、街角で見かけた風景や出来事に、「もう少し詳しく中国を知りたい、ふつうの人びとはどんな生活をしているのか、どのような歴史の中からそうした暮らしぶりや考え方が生まれてきたのか、文化のもとを知りたい」と思われた方も多いことでしょう。 本書は、そのような方々に、激変する中国のさまざまな現象、そしてまた連綿と受け継がれた伝統の両面を知っていただくための本です。 中国は多民族国家です。それぞれの民族に歴史があります。中国の領土も古来大きくなったり小さくなったりしています。統治した民族も漢民族ばかりではありません。そういった意味では、中国はたんに「国」というにはあまりにも大きく多様性に富んでいます。また、別の言い方をすれば、漢字文化と儒教文化の中心地だったとも言えるでしょう。かつて中国と朝貢関係にあった周辺の諸国も含めた一大文化圏、あるいは舞台といってもいいでしょう。 中国は、知れば知るほど奥が深く、幅も広く、そして分からないことが多い、しかしまたそれだけ楽しみも多い国です。この本はそうした中国のことを、平易に紹介しています。読者のみなさんの「中国好き」のきっかけになれれば幸いです。二〇〇五年新春東洋文化研究会(じゃすみん倶楽部)