目次
はじめに
本書の使い方
Ⅰ 日本古代史の論点
総論(告井幸男)
1 縄文時代――いつ始まったのか,農耕はあったのか,格差はあったのか(山田康弘)
2 弥生時代の列島社会――弥生文化とはどのようなものだったか(藤尾慎一郎)
3 邪馬台国――どのようにしてヤマト政権になったのか(西本昌弘)
4 古墳時代とヤマト政権――古代国家はどのように成立したのか(菱田哲郎)
5 ヤマト政権と朝鮮――任那とは何だったのか(田中俊明)
6 倭の五王――東アジアにおける位置はどのようなものだったか(森公章)
7 磐井の乱――倭国の支配体制にどのような影響を及ぼしたのか(吉野秋二)
8 部民制――ヤマト政権の支配はどのように成立,展開したか(仁藤敦史)
9 仏教伝来――倭国は仏教をどのように受容したのか(本郷真紹)
10 蘇我氏――どのような政治を行ったのか(平林章仁)
11 大化改新――古代最大の改革はあったのか(市大樹)
12 東アジアの小帝国――古代日本に小帝国主義はあったのか(田中聡)
13 壬申の乱――古代最大の内乱はなぜ起こったのか(倉本一宏)
14 律令国家論――古代国家は律令制国家なのか(吉田一彦)
15 古代の女帝――仮の“中継ぎ”だったのか(義江明子)
16 古代荘園――初期荘園とは何か(小倉真紀子)
17 国家仏教と行基――行基は変節したのか(鈴木景二)
18 古代家族論――古代の人々の生活をどうみるか(坂江渉)
19 郡司――在地首長制論は成り立つのか(小原嘉記)
20 木簡から見える古代の日本――長屋王家木簡から何がわかるか(吉川聡)
21 天智系と天武系――光仁・桓武朝は画期なのか(告井幸男)
22 平安仏教――最澄・空海は何をもたらしたか(堀裕)
23 古代の社会――土地売券から何が見えるのか(西山良平)
24 十世紀の反乱――平将門の乱・藤原純友の乱とは何だったのか(寺内浩)
25 阿衡事件――宇多天皇と藤原基経の政争だったのか(古藤真平)
26 受領――どのような役割を果たしたか(佐藤泰弘)
27 神仏習合――神と仏を結びつける思想はどのように展開されたのか(斎木涼子)
28 国風文化――摂関期文化はどのようなものだったのか(告井幸男)
29 四円寺と六勝寺――摂関期と院政期はどのような関係にあるのか(黒羽亮太)
30 平安後期の仏教――北宋・遼仏教は顕密仏教に影響を与えたのか(横内裕人)
31 武士論――武士はどのようにして出現したのか(野口実)
Ⅱ 日本中世史の論点
総論(上島享)
1 世界からみた日本中世王権の特質――日本の中世王権は世界的にみて特殊なのか(ダニエル・シュライ)
2 世界の中の日本中世宗教――その特色はいかなるものか(ブライアン・ルパート)
3 摂関政治と院政――院政は摂関政治を否定したのか(上島享)
4 荘園制の成立――「立荘論」とその課題(小原嘉記)
5 平安後期・鎌倉期の僧侶のネットワーク――どのように移動して,何をもたらしたのか(岡野浩二)
6 治承・寿永内乱――なぜ起こり,何をもたらしたのか(勅使河原拓也)
7 鎌倉幕府の全国支配――鎌倉幕府はいかにして全国を支配したのか(熊谷隆之)
8 鎌倉期・南北朝期の朝廷と公家社会――どのように変化し,何を目指したのか(金井静香)
9 鎌倉期の仏教――鎌倉期の仏教をどのように捉えるのか(坪井剛)
10 中国宋・元文化の受容――日本の社会に与えた影響は何か(榎本渉)
11 南北朝動乱の意義――日本社会をどう変えたか(亀田俊和)
12 室町幕府と全国秩序――中世後期の中央と地方の関係をどのように考えるか(堀川康史)
13 室町期の荘園制――室町時代は荘園制の時代だったのか(山田徹)
14 室町期の流通――人・モノは列島をどのように動いていたのか(伊藤啓介)
15 南北朝・室町期の仏教――「祖師」なき時代の社会と宗教(芳澤元)
16 応仁の乱の意義――歴史の転換点(早島大祐)
17 室町・戦国期の天皇・朝廷――どのような社会的役割を果たしたのか(末柄豊)
18 戦国期畿内の政治と権力――畿内政治史をいかに描くのか(佐藤稜介)
19 中世後期の東国の政治と社会――鎌倉府から戦国期への東国史をどう描くのか(木下聡)
20 戦国大名の権力と文芸――地域権力と京都はいかなる関係にあったのか(尾下成敏)
21 中世の身分制と差別――中世における身分と差別をどのようにみるか(島津毅)
22 中世の都市――その特質と実態をどのように描くのか(高橋慎一朗)
23 中世の村落と信仰・儀礼――人々にとっての信仰・儀礼とは(大河内勇介)
24 中世の神祇・神道――中世人にとっての神とは何か(伊藤聡)
25 中世史料の多様性――全体を描く素材の広がりをどう捉えるか(藤原重雄)
26 中世の文字文化――文章・文体から中世社会の何がわかるのか(田中草大)
27 中世の合戦――どのように行われ,いかに変化したのか(トーマス・コンラン)
28 中世城館の機能と特質――中世城館をどう位置づけるか(福島克彦)
29 中世の「家」と女性――中世社会を特徴づけるもの(伴瀬明美)
30 環境史に参画する――中世史研究をどのように変えるのか(橋本道範)
Ⅲ 日本近世史の論点
総論(岩城卓二)
1 織豊政権――近世の成立をどう捉えるか(谷徹也)
2 江戸幕府の全国統治――幕府はいかにして諸大名を統合していたのか(三宅正浩)
3 村と百姓――なぜ近世の人口の8割は百姓なのか(牧原成征)
4 幕藩権力の都市支配――都市の支配に,町人はどのように関わったのか(牧知宏)
5 海禁・日本型華夷秩序――対外関係をどのように称すか(木土博成)
6 江戸幕府による朝廷の位置づけ――幕府は近世の朝廷に何を求めたのだろうか(村和明)
7 幕藩権力の寺社支配――幕府はどのように寺社を支配したのか(朴澤直秀)
8 キリシタンと科学伝来――宣教師はなぜ西洋科学を紹介し,どのように受容されたのか(平岡隆二)
9 江戸幕府の法――幕府はどのように法を整備・運用したのか(小倉宗)
10 参勤交代――参勤交代はどのように形骸化していったのか(藤本仁文)
11 幕藩関係――幕府と藩はどのように政治交渉していたのか(荒木裕行)
12 藩財政――大名は「倒産」するのか(伊藤昭弘)
13 儒礼の実践――儒学者はどのようにして儒礼を実践したのか(田世民)
14 米市場――米はどのように売買されていたのか(高槻泰郎)
15 地方商人の商取引――地方商人はどのようにして取引したのか(東野将伸)
16 江戸の町人社会――なぜ過密で不安定な町人社会が存続できたのか(高山慶子)
17 地主と小作人――地主はどのように小作人と小作契約を結んだのか(萬代悠)
18 負担と御救――百姓は納得していたのか(福澤徹三)
19 近世後期の村社会――近世後期の村はどのような矛盾を抱えていたのか(小松賢司)
20 環境変化と農業・漁業――なぜ魚肥は高騰したのか(武井弘一)
21 土木技術――堤防はどのように構築されたのか(市川秀之)
22 武士の帯刀――帯刀は武士の特権か(尾脇秀和)
23 被差別身分――非人の情報網(高久智広)
24 近世人の仏教信仰――仏教は信仰されていたのか(上野大輔)
25 旅と観光――近世の旅行者と地域はどのような関係にあったのか(青柳周一)
26 知の形成――民衆はどのように知識を形成・継承したのか(工藤航平)
27 女性の役割――子育てと介護は女性の役割か(千葉真由美)
28 大塩事件――大塩平八郎はなぜ立ち上がったのか(松永友和)
29 幕末の畿内社会――政治の中心地となった畿内社会では何が起きていたのか(岩城卓二)
30 幕末の政治理念――近世の政治理念はいかに再編されたのか(小関悠一郎)
31 幕末の世界情勢と日本――外国船はなぜ日本に来たのか(後藤敦史)
32 幕末の天皇・朝廷の論じ方――近世後期と幕末をどうつなげるか(佐藤雄介)
Ⅳ 日本近現代史の論点
総論(塩出浩之・河西秀哉・谷川穣)
1 開国――「西洋の衝撃」を日本はどう受け止めたのか(福岡万里子)
2 明治維新――なぜ「維新」に至ったのか,何をもたらしたのか(奈良勝司)
3 文明開化――「西洋化」とどう違い,どう受け止められたのか(谷川穣)
4 条約改正と日清戦争――近代日本の形成にとって何を意味するか(五百旗頭薫)
5 自由民権運動――「民衆」をどう捉えるか(松沢裕作)
6 近代天皇制――その「近代」性とは何か(池田さなえ)
7 「武士」の近代――大名や武士はいかに近代社会へと転生したのか(内山一幸)
8 初期議会の展開――いかに議会は定着し,何を変えたのか(久野洋)
9 日露戦争と国際社会――国際政治に与えた影響とは(片山慶隆)
10 近代都市の形成――都市をつくり,変えていく力学とは(能川泰治)
11 「地方」の成立――いかに「中央―地方」関係が形成されたか(池田真歩)
12 下層社会と貧困――どう認識し,解決しようとしたのか(町田祐一)
13 交通の近代化――鉄道は人々の生活と思考をどう変えたのか(平山昇)
14 学校教育――「就学」とその経験をどう捉えるか(谷川穣)
15 アイヌと沖縄人の近代――民族のアイデンティティを生みだすのは何か(塩出浩之)
16 移民と帝国日本――人々はなぜ移民し,日本の膨張とどう関わったのか(塩出浩之)
17 新聞・雑誌メディア――社会の中でどのような役割を果たしたか(長尾宗典)
18 ナショナリズム――「日本」はどのように想像されてきたのか(中川未来)
19 資本主義の発達――その日本的特質とは何か(中西聡)
20 ジェンダーと近現代――「性」から近現代史をどう読みなおすか(藤野裕子)
21 「近代家族」――「一家団欒」像はいかに構築されたのか(田中智子)
22 植民地台湾――「台湾史」とは誰の歴史なのか(北村嘉恵)
23 植民地朝鮮――その「近代化」と「皇民化」をどう見るか(小野容照)
24 被差別部落――「部落」は近代にいかに創られ,変容したのか(佐々木政文)
25 宗教と近代社会――それは旧時代の遺物なのか(永岡崇)
26 社会主義・マルクス主義――その理念がもたらした可能性と問題は何か(梅森直之)
27 近代科学――進化論から優生学へ(横山尊)
28 労働運動――労働者はどこから来て,どこへ行くのか(福家崇洋)
29 帝国憲法下の政党政治――戦前の日本は民主化したのか(村井良太)
30 大正デモクラシー――なぜ「民本主義」が唱えられ,いかに広がったか(田澤晴子)
31 大衆消費社会――人々はどのようにして「消費者」となったのか(満薗勇)
32 疾病・医療と社会――近代化は「病」と医療をどう変えたか(廣川和花)
33 近代の農村――地主―小作関係はどのように形成され,変わっていったのか(小島庸平)
34 国家神道――戦前・戦時期の神社や神職はどのような役割を果たしたのか(畔上直樹)
35 大戦間期の東アジア国際関係――ワシントン体制はどのように形成され,なぜ不安定だったか(久保田裕次)
36 昭和天皇と宮中――何を考え,どう行動したのか(茶谷誠一)
37 近現代の官僚と政党――戦前・戦後を通じた官僚と政党との関わり方とは(若月剛史)
38 軍部と政治――陸軍・海軍はいかに政治と関わったのか(森靖夫)
39 兵士の経験――兵士たちはいかにつくられ,戦ったのか(一ノ瀬俊也)
40 満洲事変から日中戦争へ――なぜ日本による侵略は拡大したか(吉井文美)
41 災害と近現代日本――災害を記憶し,記録するとは(土田宏成)
42 大東亜共栄圏――アジアの解放か支配か(安達宏昭)
43 日米開戦――「大東亜建設」か,「自存自衛」か(森茂樹)
44 戦時下の社会変容――抑圧か平準化か(佐々木啓)
45 アメリカの占領政策――なぜ解放と受け止められたのか(森口(土屋)由香)
46 象徴天皇制――天皇はいかに「象徴」となったのか(冨永望)
47 55年体制と自民党支配――なぜ自民党政権は成立し,長期化したのか(中北浩爾)
48 在日米軍基地――なぜ沖縄に集中したのか(野添文彬)
49 原子力と核――戦後になぜ原子力が定着したのか(山本昭宏)
50 在日コリアン――植民地主義の抑圧,社会的排除の中でどのように生きてきたか(外村大)
51 高度経済成長――長期の経済成長はいかにして生じ,社会はどのように変化したのか(高岡裕之)
52 戦後社会とジェンダー――戦後の中でどのように変化したのか(河西秀哉)
53 戦後学校教育の展開――教育の「大衆化」が何をもたらしたか(大島宏)
54 平和運動の戦前・戦後――その論理や担い手はどう変わったのか(黒川伊織)
55 戦後の文化運動――社会運動の中でなぜ文化が重要視されたのか(河西秀哉)
56 冷戦下の外交――日米安保体制はどのように日本外交を規定してきたか(中島琢磨)
57 東アジアの戦後処理――なぜ和解は困難なのか(浅野豊美)
58 公文書と近現代史研究――何が記録され,保存されてきたのか(瀬畑源)
59 聞き取り/オーラルヒストリー――人々の声を私たちはいかに聞き取ってきたのか(安岡健一)
60 環境問題――「問題」はいかに構成されてきたのか(原山浩介)
61 アメリカにおける日本史研究――「近代化論」をめぐりどんな議論がなされてきたのか(シェル・デイビッド・エリクソン)
人名索引/事項索引